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2023年2月21日 (火)

サウンド面がさらに進化

Title:GAMA
Musician:ゆるふわギャング

Gama

ゆるふわギャング単独名義の純粋なオリジナルアルバムとしては、実に約4年ぶりとなる新作。実は昨年6月にリリースされていたのですが、リアルタイムではチェックが漏れてしまっており、遅ればせながら久々の新作をチェックしました。

ゆるふわギャングは実生活でも恋人どおし(という書き方はいまでもOKなんですよね?)のラッパー、Ryugo IshidaとNENEと、プロデューサーAutomaticによるユニット。トラップを取り入れつつ、独特の酩酊感あるサウンドが特徴的なHIP HOPユニット。ゆるふわギャング単独名義となる「Mars Ice House」「Mars Ice House Ⅱ」はいずれも独特のサウンドが魅力的で、私もリアルタイムで聴いてすっかり彼らの世界観に魅了されました。

そして今回の新作に関していえば、このサウンドの独自性をさらにつき進めた感のあるアルバムに仕上がっていました。全体的な印象としては純粋なトラップというよりも、もっとエレクトロ路線にシフトしたのが本作の大きな特徴。1曲目の「INTRO」からして、細かいリズムをベースとしながらもエレクトロサウンドのドリーミーな音が楽曲全体をコーティングしています。

その後も「E-CAN-Z」では、彼ららしい酩酊感もあるエレクトロサウンドでちょっとコミカルに聴かせてくれますし、「LAV」などもドリーミーなエレクトロサウンドが魅力的。アルバム全体としてトラップ的なビートを入れつつもエレクトロのサウンドが幻想感を作り出している、独特の作風が大きな魅力となっています。

このエレクトロ路線で一番特徴的なのは「Step」でスペーシーなサウンドが繰り広げられるこの曲は、なんとあのナカコー作曲による作品。そういわれると往年のスーパーカーを彷彿とさせる路線の曲にも感じられます。彼らのエレクトロ路線が顕著に感じさせる作品になっています。

また、他にも「Drug」ではノイジーなビートが展開されたり、「Sorayama Shoes」ではホーンセッションを入れて哀愁感あるトラックが印象的だったり、酩酊感を覚えるドリーミーな路線を軸にしつつバリエーションもあるトラックを最後まで楽しませてくれます。またダウナーな「Amethyst」のようなトラップの王道を行くような曲も展開されています。

一方で、「Mars Ice House」では大きな特徴となっていた、北関東のヤンキー的な不良の日常という歌詞の世界は、「Ⅱ」に引き続き今回も希薄。全体的に抽象的な歌詞が多く、ここらへん、以前のようなリリックよりもトラックに主軸を置いていることも感じます。もっとも今回のアルバムに関しては、このトラックの独自性が非常に強く、むしろ抽象的な歌詞の方がサウンドを邪魔せずにすっきりと収まっているようにも感じました。

ちょっとチェックが遅くなってしまったのですが、今回のアルバムも申し分ない傑作に仕上がっていたと思います。またサウンド面ではさらに独自の進化を遂げた作品になっていたと思います。まだまだ成長を続ける彼ら。これからの活躍からも目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

ゆるふわギャング 過去の作品
Mars Ice House
Mars Ice House II
CIRCUS CIRCUS(ゆるふわギャング&Ryan Hemsworth)


ほかに聴いたアルバム

BLOODIEST/聖飢魔Ⅱ

80年代から90年代にかけて一世を風靡したヘヴィーメタルバンド、聖飢魔Ⅱ。1999年の解散後もしばしば再結成してライブを行っていたり、なによりボーカルのデーモン閣下のソロでの活躍もあり、リアルタイムで彼らの活躍を知らない人でもご存じの方は多いのではないでしょうか。解散後も再結成時のミサ(=ライブ)の模様を収録したミサ教典(=ライブアルバム)のリリースはあったのですが、純然たるオリジナル作品としての大教典(=アルバム)としては、実に23年ぶりとなる作品となるそうです。

本編の方は、正統派ともいえるヘヴィーメタルといった印象。目新しさはありませんが、逆にファンにとっては期待通りの作品といった感じではないでしょうか。ベテランの彼ららしい安定した仕事ぶりを楽しむことが出来ます。ただ、ユニークに感じたのは初回盤についてきた「地獄のBONUS TRACKS」なる付属盤。再結成以降に発表した作品をまとめたのですが、ハードロック色が強かったり、曲によってはブルースからの影響も感じるなど、意外なほど幅広い彼らの音楽性を感じます。その実力を強く感じる内容になっていました。

次のオリジナルアルバムはいつになるのかわかりませんが、おそらく今後も断続的に再結成して活動を続けていくんだろうなぁ。ライブの評判もいいみたいなので、一度見てみたいのですが・・・。次回の再結成時には・・・。

評価:★★★★

聖飢魔Ⅱ 過去の作品
XXX-THE ULTIMATE WORST-

ブギウギ ワンダー☆レビュー/スターダストレビュー

スタレビの初期のナンバーにホーンセッションを取り入れてブギウギ調にまとめた企画盤的なミニアルバム。ブギウギといっても戦前のブルースではなく、笠木シズ子の「東京ブギウギ」につながるような音楽性が特徴的。ホーンセッションで非常に明るいポップソングにまとめられており、素直にウキウキ楽しめそうな音楽に。彼らのライブでも盛り上がりそう。

評価:★★★★

スターダストレビュー 過去の作品
31
ALWAYS
BLUE STARDUST
RED STARDUST

太陽のめぐみ
B.O.N.D
Stage Bright~A Cappella & Acoustic Live~
SHOUT
スタ☆レビ-LIVE&STUDIO-
還暦少年
STARDUST REVUE 楽園音楽祭 2018 in モリコロパーク
スターダスト☆レビュー ライブツアー「還暦少年」
年中模索
STARDUST REVUE「楽園音楽祭 2019 大阪城音楽堂」
Mt.FUJI 楽園音楽祭2021 40th Anniv.スターダスト☆レビュー Singles/62 in ステラシアター

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