KANの歌詞の魅力をあらためて実感
新年2発目の通常更新は、最近読んだ音楽関係の書籍の紹介です。
KANの歌詞を集めた「詩集」、「きらむの和歌詞」。先日行われたKANのライブの物販で購入した1冊。その時のライブレポートでもチラリと取り上げましたが、その後、無事(?)読み終わりましたので、今回は同書の感想となります。
基本的に今回のこの書籍は、簡単に書いてしまうと、彼が書いた歌詞が並べてあるだけ。そこにKAN自ら書いた、その歌詞の背景の説明などが書かれています。そのため本を読み進めるというのは、基本的にはKANの歌詞を読み進めるという形となります。もともとKANというミュージシャンは、その歌詞が魅力的で、かつ、しっかりとその歌詞を聴かせるスタイルの曲が多いだけに、今回あらためて歌詞を「本」という形で書いて、「これ、こんな歌詞だったのか!」なんていう驚きはありませんでした。
ただそれでも、あらためて彼の歌詞をこのような形で読み進めていくと、新たな発見も少なくありませんでした。抒情性ある歌詞が多いという印象もさることながら、ロマンチックな歌詞が多いということはあらためて強く実感します。また、彼の「知る人ぞ知る」的な名バラードである「1989(A Ballade of Bobby&Olivia)」も、歌詞を読むと、ビリー・ジョエルからの影響が歌詞の側面からも顕著であることを強く感じます。
また、今回のこの歌詞集の目玉とも言えるのがKANちゃん自身による歌詞の解説でしょう。あらためて、彼はこうやって歌詞を書いているんだ、この歌詞にはこういう背景があるんだ、ということを知ることができ、ファンならば間違いなく必読といえる内容となっています。その中で特に印象に残っているのが、彼の奥様への想いをのせた歌が非常に多いという点。KANちゃんが既婚者という事実はファンなら百も承知の話ですが、正直、ライブなどでは奥様の話をしたことがほとんど記憶にありません。ただ、この歌詞集では多くの曲の背景として奥様(「愛妻」と書かれています)とのエピソードが書かれており、当たり前といえば当たり前なのですが、奥様への愛情が歌詞に与えた影響の大きさをあらためて感じました。
ただ、そんなKANの歌詞集ですが、賛否両論があるのが、ほぼ彼の歌詞を並べただけの内容で税込3,000円というお値段。KAN自らの歌詞解説は確かに読み応えはあるものの、300ページある内容のうち30ページ程度で、ボリューム的にはちょっと物足りない点が否めません。率直な印象として、歌詞解説がこのボリュームでこの値段というのは高いかな、というのは感じてしまいます。
もっとも一方で、このKANによる歌詞解説自体はファンなら必読とも言えるないようで、3,000円という値段はともかく、まずはチェックしたい内容なのは間違いないでしょう。ファンであっても正直、ちょっとお高めという印象を受けてしまうようにも思うのですが、個人的にはファンとしての「お布施」的な意味も込めて買いました(笑)。
そんな訳で、正直なところファン以外にはお勧めするのはかなり厳しい1冊だと思います。これを買うくらいならば、KANのベスト盤を1枚買うことをお勧めします。なにげにKANの曲はサブスク解禁されていないようですし・・・。ただファンにとっては、読んでおきたい1冊だと思います。あえて「購入して損はない」とまでは言いませんが、お布施の意味を込めて・・・。1,500円くらいだったら、文句なしでお勧めできたのですが・・・。
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