思いのこもったライブパフォーマンス
Title:Live At Yankee Stadium
Musician:Billy Joel
昨年、ソロデビュー50周年を迎えたBilly Joel。それを記念し、昨年、フィルムコンサート「ビリー・ジョエル:ライヴ・アット・ヤンキー・スタジアム」が日程限定で劇場公開されました。こちらは1990年6月23日、24日にニューヨークはヤンキースタジアムで行われたスタジアムライブの模様を収録したもの。2008年に閉場した旧ヤンキー・スタジアムの長い歴史の中で、初となるロックのライブだったとか。そしてその後にリリースされたのが本作。CD2枚+DVD1枚という今回のアルバムは、CDではそのヤンキースタジアムでのライブから22曲を収録。DVDはそのフィルムコンサートをそのまま収録した内容となっています。
さて、Billy Joelのライブ盤というと、率直に言ってしまって「またか」という印象も受けてしまいます。主に80年代に圧倒的な人気を得て、現在でも多くのファンをかかえるBilly Joel。ただ、現在ではポピュラーミュージシャンとして新曲のリリースはストップ。ライブの方はコンスタントに実施している「現役」のミュージシャンではあるものの、新作のリリースが望めないような状況である一方、熱烈なファンをいまだに多く抱えるがゆえに、多くのライブアルバムが企画され、リリースされている状況。何年か毎にライブアルバムがコンスタントにリリースされている状況です。
ただ、もっともライブ盤としてはどれも高いクオリティーを保っているのは間違いありません。ロックミュージシャンというよりも、やはりポップスのミュージシャンとしての側面の強い彼は、ロックバンドのような、緊迫感あるパフォーマンスでバンドとしての一瞬の奇跡を聴かせるというよりは、卒なく高いパフォーマンスを維持している感も強いため、ライブアルバムもベスト盤のような感覚で楽しむことが出来ます。今回のライブアルバムに関しても、選曲はほぼベスト盤のような内容。そのため、ビリーの新たなベストアルバム的な感覚で、その良質なポップソングを楽しむことが出来ました。
一方、DVDに収録されているフィルムコンサートの方は、一応、ドキュメンタリー的なテイストは取っているものの、基本的にはライブ映像をそのまま収録されているような内容。その当時のパフォーマンスをそのまま体験できるような映像となっていました。私は映画館でこの映像を見ることが出来なかったのですが、映画館だったら、まるでその現場にいるような感覚で楽しめたんだろうなぁ、とあらためて残念に感じました。
また、そのドキュメンタリー部分では、彼の今回のライブに対する意気込みを知ることが出来ます。ニューヨーク出身の彼にとってヤンキー・スタジアムは自分のふるさとのスタジアムであり、それだけに思い入れの深い場所。このライブに対する力の入れようを感じさせるインタビューも強く印象に残りました。
そんな訳で、彼としては非常に力の入ったパフォーマンスでBilly Joelの魅力をあらためて感じることが出来るライブアルバム。DVDの映像を含めて、聴きごたえ、見ごたえのあるライブ盤に仕上がっていました。ちなみに今回のライブですが、以前、VHSとDVDでリリースされたことがあるそうですが、その時は12曲のみの抜粋版だったそうで、今回のライブ盤では「完全版」をうたっています。ただ、今回のライブ盤も演奏された全22曲を収録したものの、2日間のパフォーマンスからの抜粋。2日間のパフォーマンスのすべてを収録されたものではありません。なんとなく、また何年か後に、2日間のパフォーマンスのすべてを収録した、本当の意味での「完全版」がリリースされそう。それはそれで楽しみではあるのですが。
評価:★★★★★
BILLY JOEL 過去の作品
LIVE AT SHEA STADIUM
She's Always a Woman to Me:Lovesongs
A Matter of Trust: The Bridge to Russia
Live Through the Years
JAPANSESE SINGLES COLLECTION-GREATEST HITS-
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