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2023年1月24日 (火)

ラストアルバム

Title:.jp
Musician:bonobos

2001年に結成し、2003年にメジャーデビュー。レゲエを軸とした独特のサウンドで大きな注目を集めましたが、ここ最近は若干活動は低迷。ライブを中心とした活動を続けていたものの、残念ながら今年3月のライブを最後に解散することを発表。本作がラストのオリジナルアルバムとなります。

さてそんな彼らはオリジナルアルバムとして前作となる「23区」でジャズやソウルの要素を多く取り入れたシティポップ路線にシフト。その後リリースされたEP盤「FOLK CITY FOLK ep」でもその路線を維持していましたが、今回のアルバムも基本的にその方向性を踏襲したアルバムになっていました。本作の冒頭を飾る「永久彗星短歌水」もホーンセッションとスペーシーなエレクトロを取り入れつつ、ファンキーなリズムで聴かせるソウルテイストの強い作品。「YES」もピアノを取り入れつつ、ジャジーなサウンドが特徴的ですし、「電波塔」もメロウなAORナンバーに仕上げています。

そんな中、今回のアルバムで特徴的とも言える点が2つあり、まず1点目はスペーシーな作風であるという点。タイトルからして「永久彗星短歌水」なんていう、若干意味不明な単語の羅列ながらも「宇宙」的な曲名の作品からスタートしますし、その後中盤にも「おかえり矮星ちゃん」なんていう曲も登場。こちらもエレクトロジャズの要素の強い作品になっています。さらにサウンド的にも「KEDAMONO」などもスペーシーなシンセの音が流れるフュージョン風の作品になっていたり、エレクトロベースな作品がスペーシーな雰囲気を醸し出している曲が目立ちました。

そしてもう1点がアルバム全体としてホーンセッションを取り入れた賑やかな作風になっている点でした。1曲目「永久彗星短歌水」もそうですし、続く「Not LOVE」もホーンにエレクトロサウンドも加わった賑やかな楽曲。前述の「KEDAMONO」もホーンセッションで賑やかなアレンジになっていますし、「アルペジオ」も同様にホーンセッションを入れて賑やかで明るいナンバーとなっています。

このスペーシーなサウンドもそうですし、またホーンセッションを取り入れたサウンドも同様ですが、結果としてアルバム全体として賑やかでちょっと聴いた感じだと祝祭色すら感じさせる作風に仕上がっている今回の作品。このアルバムがラストという事実からすると、ある意味、真逆とも言える方向性とも言えるかもしれません。ただ、そんなサウンドを取り入れながらも、メロディーラインを含め、どこかメランコリックで哀しげな雰囲気も感じる点もあり、ある意味、bonobosらしいラストアルバムと言えるかもしれません。

最後の最後まで傑作アルバムをリリースしてきた彼ら。これが最後というのは本当に残念に感じますが、オリジナルアルバムとして完成に6年以上の月日を要したことを考えると、やはりやりたいことはやりつくした感もあるのかもしれません。今後はメンバーの新たな活躍を祈りつつ、本当にいいバンドだったなぁ、ということをあらためて実感したラストアルバムでした。

評価:★★★★★

bonobos 過去の作品
Pastrama-best of bonobos-
オリハルコン日和
ULTRA
HYPER FOLK
23区
FOLK CITY FOLK.ep


ほかに聴いたアルバム

AGE OF LOVE/Hump Back

3ピースガールズバンドHump Backの新作は彼女たち初となる5曲入りのEP盤。短い内容ながらも、彼女たちらしい力強くパンキッシュなギターロックが並ぶ作品に。いかにも若者らしい青春讃歌的な歌詞は、むしろもっと上の世代の共感も受けそうな、どこか70年代フォークからの繋がっりすら感じられる哀愁感も漂います。5曲ながらも彼女たちの魅力がしっかり伝わる作品でした。

評価:★★★★★

Hump Back 過去の作品
人間なのさ
大阪城ホール単独公演”拝啓、少年少女たちよ”
ACHATTER

A Tribute to Ryuichi Sakamoto - To the Moon and Back

現在、がん治療で療養中の坂本龍一。昨年末には配信限定のピアノコンサートも実施し話題となりました。そんな彼の生誕70周年を記念してリリースされたトリビュートアルバム。さすがに世界的な評価を受ける教授だけに参加したメンバーも豪華。THUNDERCATやDEVONTE HYNES、日本からもコーネリアスや大友良英も参加。さらに元JAPANのDavid Sylvianも10年ぶりにその歌声を披露して話題となっています。そんな彼らが手掛ける曲は全体的に静かな雰囲気の中で、エレクトロサウンドを奏でる実験的なナンバー。それぞれの個性もしっかりと発揮しており、坂本龍一の原曲の良さを生かしつつも、それぞれの個性をアピールしたトリビュートになっていました。

評価:★★★★★

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