シンプルだがしっかりと心に響く
Title:Big Time
Musician:Angel Olsen
毎年、12月頃に発表される各種メディアの年間アルバムベスト10。ランキングを眺めて、チェックが漏れていた作品を遅ればせながら聴いてみるのが私の毎年の恒例なのですが、今回紹介するのはそんなアルバムの1枚。年間ベスト10の参考として各種メディアの年間ベスト10をまとめたサイト「AOTY 2022」のランキングを使用させていただいています。
といっても実は今年、珍しいことに1位から10位までのアルバムは既にチェック済。あらためてチェックした今回のアルバムは14位にランクインした1枚。アメリカの女性シンガー、Angel Olsenのニューアルバム。前作「All Mirrors」も高い評価を受け、当サイトでも紹介していたのですが、本作はリアルタイムでは聴いておらず、遅ればせながらこのタイミングでチェックしました。
基本的にアルバムは、全編メロディアスでフォーキーなポップソングがメイン。アコギやピアノなどを用いたアコースティックなサウンドがメインとなっており、彼女の包容力のある歌声とマッチして、シンプルながらも暖かさを感じる楽曲が並びます。前作「All Mirrors」ではエレクトロサウンドを取り入れていたりしたのですが、今回のアルバムはフォーキーな作品がメイン。ある意味、奇をてらわない楽曲が主軸となっています。
アルバムとしてはまず1曲目「All The Good Times」が魅力的。ちょっとけだるさを感じさせつつも郷愁感のあるメロディーとサウンドがっ胸に響くような楽曲で、後半はホーンセッションも入り、どこか感じる祝祭色あるサウンドも印象に残ります。続くタイトルチューン「Big Time」は、まさにフォークソングの王道を行くような作品になっており、3拍子のリズムでしんみり聴かせる歌は、郷愁感あふれる作品に。シンプルながらもインパクトも十分な楽曲になっています。
中盤で印象に残るのが「All The Flowers」でしょう。静かなストリングスやピアノの音色をバックに、ファルセット気味で切なく歌い上げるボーカルが印象に残る作品。メロディーラインも非常に切なく、しんみりと聴かせる作品になっています。
終盤には「Go Home」のような、ピアノやストリングスで分厚いサウンドを聴かせつつ、力強く歌い上げるようなダイナミズムを感じさせるような曲も登場したりして、アルバムにバリエーションを加えています。これに続く「Through The Fires」も同じく分厚いストリングスでスケール感を覚えるような作品に。比較的、シンプルな楽曲が並ぶ今回のアルバムの中で、一つの山場となっていました。
ラスト「Chasing The Sun」もピアノとストリングスをバックに、彼女の力強いボーカルでしっかりと聴かせる作品に。その歌声が大きな印象を残しつつ、アルバムは幕を下ろします。
全体的にフォーキーな作風でシンプルな楽曲が並ぶ作品なのですが、バリエーションをまじえながらもインパクトあるメロディーラインも魅力的な作品になっている今回のアルバム。決して派手さはありませんが、しっかりと心に響いてくるようなそんなアルバムに仕上がっていました。年間ベストレベルの傑作というのも納得な1枚。シンプルなポップソングを聴きたいのならば、文句なしにお勧めの作品です。
評価:★★★★★
Angle Olsen 過去の作品
All Mirors
ほかに聴いたアルバム
King’s Disease III/Nas
グラミー賞を受賞した2020年のアルバム「King's Disease」から続く3枚目のアルバムとなるNasの最新作。正直、作品としての目新しさはあまりありませんが、ピアノが入ったリズミカルなトラックからトラップ、さらにはジャジーなトラックまでバラエティー富んだ作品で、その力強いラップも加わり、最後まで楽しめるアルバムに。レジェンドラッパーらしい、安定感のある作品に仕上がっていました。
評価:★★★★
NAS 過去の作品
Untitled
Distant Relatives(Nas&Damian Marley)
Life Is Good
Nasir
King's Disease
King's Disease II
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