多くの豪華ミュージシャンがゲストで参加
Title:The Blues Don't Lie
Musician:Buddy Guy
数多くのロックミュージシャンに影響を与えてきたブルース。"The blues is the roots; everything else is the fruits."と語ったのは、ブルース界の裏番長ことウィリー・ディクソンですが、現在では残念ながら決して活気に満ちたジャンルではなく、ブルースの巨匠と言われるミュージシャンたちのほとんどが鬼籍に入ってしまいました。そんな中、ブルース界最後のリビング・レジェンドとも言えるのが彼、Buddy Guy。なんと、現在、御年86歳!それでもコンスタントに活動を続け、なんと4年ぶりとなるニューアルバムをリリースしてきました。
そんな彼のニューアルバムは、まさにリビング・レジェンドというその経歴を裏付けるがごとく、様々なミュージシャンたちがゲストとして参加しているのが特徴的です。彼と並び、おなじく最後のリビング・レジェンドとも言えるボビー・ラッシュや、あのエルヴィス・コステロにジェイムス・テイラー。また同じく大御所のソウルミュージシャン、メイヴィス・ステイプルズなど、豪華なゲストが多く参加しており、いかに多くのミュージシャンたちが彼を慕っているのかわかります。
そして肝心の内容の方ですが、アルバムの冒頭を飾る「I Let My Guitar Do The Talking」から、いきなり力強いギターをギュインギュインと聴かせてくれ、80代半ばにして現役のブルースギタリストであることを力いっぱい主張しています。さらに続くタイトルチューン「Blues Don't Lie」では、こちらも80代半ばとは思えないような声量があり、艶のあるボーカルを存分に聴かせてくれます。現役のブルースシンガーとして衰えは全く感じさせません。
その後も「Backdoor Scratchin」では非常に力強いパワフルなギターの演奏を聴かせてくれたり、ビートルズのカバー「I've Got a Feeling」もシャウト気味の力強いボーカルを聴かせてくれたりと、その衰えのなさに驚かされます。本編ラストとなる「King Bee」もギター1本で聴かせるミディアムブルースで、静かに聴かせるボーカルは、ともすれば歌い上げるタイプの曲以上に、ボーカリストとしての力量が試されるのですが、こちらについても聴いていて不安定さを全く感じさせず、しっかりとその歌声を聴かせてくれます。
さらにゲストのパフォーマンスも大きな魅力。メイヴィス・ステイプルズがそのボーカルを聴かせる「We Go Back」は、こちらも80歳を超えても今なお衰えを感じさせない、彼女の感情たっぷりのパワフルな歌声が耳を惹きます。エルヴィス・コステロが参加した「Symptoms Of Love」はコステロらしさも垣間見れるロッキンなナンバーですが、こちらも力強いサウンドが非常に魅力的な作品となっています。
正直なところ、楽曲自体は王道のブルース路線といった感じで目新しさは全くありませんし、新たな挑戦みたいな部分はほとんどありません。ただ、若干ボーカルに不安定さを感じ、寄る年波も感じてしまった前作に比べると、本作ではボーカルの安定感が増して、むしろ若返った印象すら受けてしまいます。86歳にしてこれだけのアルバムをリリースできること自体、驚いてしまいます。
さすがに大規模なツアーからの引退は宣言しているそうで、もう日本で彼のパフォーマンスを見るのは難しいのでしょうが、でも、これだけの現役感があれば、まだ次のアルバムも期待できちゃいそう・・・。なにより現役で活動を続けているという事実自体うれしいので、評価は下のような評価で。あまりご無理なさらずに、でもいつまでもお元気で!!
評価:★★★★★
Buddy Guy 過去の作品
LIVING PROOF
Live at Legends
RHYTHM&BLUES
THE BLUES IS ALIVE AND WELL
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