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2023年1月 2日 (月)

なんと、今年で最後・・・(T T)

本年初の通常更新となります。例のよって、特に新年第1弾としてこれを選んだ訳ではありませんが、新年一発目にちょうどよいセレクトとなりました。

Title:2023-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

毎年、当サイトでも紹介し、私の部屋の壁を飾ってきたブルースカレンダー。2013年版から買い続けてきて今年でちょうど10冊目になるのですが、非常に残念ながら今年で最後になってしまうそうです。私が買い始めてちょうど10年なのですが、このブルースカレンダー自体はちょうどこれで第20弾。ということは20年にわたって発行されてきたというだけにとても残念なのですが・・・。冒頭の説明文によると、ネットの普及で紙媒体のカレンダーが売れなくなってきたこと、またストリーミングの普及でCDで聴くというスタイルが失せつつあること、それが今回、発行終了となる要因ということで、時代の流れを感じてしまいます。とはいえ、やはりパッと見てわかる紙のカレンダーは部屋にひとつほしいところなので、来年からはどうしよう・・・。

そんな訳でラストとなってしまったブルースカレンダーですが、特典のCDの充実さは今年も変わりありません。毎年、戦前ブルースの貴重な音源を収録したオムニバスCDが付いてくる(というより、こちらが本体?)このブルースカレンダー。まず今回の注目株はJ.T."Funny Paper"Smithの「Old Rounder's Blues」。彼は「Spoonful」や「Killing Floor」でおなじみのかのハウリン・ウルフより先にハウリン・ウルフを名乗った「オリジナル・ハウリン・ウルフ」だとか。今回収録されたのは、そんな彼の初公開音源だそうです。ただ、「ハウリン・ウルフ」を名乗っていた割には、予想以上に爽やかさを感じるボーカル。別に唸り声をあげている感じもなく、ちょっとイメージとは異なったかも・・・。

さらにPlayboy Fullerなる人物の音源も今回の発掘音源。ネット上で探してもほとんど情報は出てこず、手元にあるブルースリスナーのバイブル的存在「ブルースCDガイド・ブック」にもその名前は登場していないという、かなりのレア度。比較的甲高いボーカルに、ピアノとギター、さらにブルースハープも交えたサウンドが特徴的。ギュンギュンとうねりをあげるギターもインパクトあるブルースを4曲も今回収録しています。

ただそれ以上に今回のアルバムで印象に残ったのは女性のブルースシンガーによる作品でした。まず3曲目にブルースの女帝、Bessie Smithの「Shipwreck Blues」が収録。かなりどすの効いた力強いボーカルが、他のブルースシンガーたちを圧倒する内容になっており、まさに「女帝」という異名にふさわしい、パワフルなパフォーマンスを聴かせてくれます。

また、こちらは「ブルースの母」と呼ばれるMa Rainyの「Big Boy Blues」も印象的。こちらはどちらかというと感情たっぷりに包み込むようなボーカルスタイルが魅力的。確かに、こちらは「母」と呼ぶにふさわしい包容力あるボーカルが魅力的。本作の中でもそのボーカルの魅力が際立った内容となっていました。

そんな訳で今回も全25曲1時間16分にも及ぶボリューミーな内容になった本作。これだけ魅力的な音源があるのにこれが最後というのはあまりにも残念なのですが・・・ただ、時代の流れには逆らえませんね。20年という長きにわたり、素晴らしい音源を世に送り出してくれて、ありがとうございました。しかし、本当に来年から部屋のカレンダー、どうしよう・・・?

評価:★★★★★

2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2014-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2015-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2016-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2017-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2018-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2019-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2020-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2021-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2022-Classic Blues Artwork from the 1920s Calender


ほかに聴いたアルバム

Pigments/Dawn Richard and Spencer Zahn

ニューオリンズ出身のシンガーソングライターで、女優、ダンサー、モデルさらにはアニメーターとしても活躍しているDawn Richardと、ニューヨークを拠点に活動するマルチ奏者、Spencer Zahnによるコラボ作。クラリネットやサックスを用いたサウンドで、ダウナーかつドリーミーな世界を構築。そこにDawn Richardのメロウなボーカルが入るスタイル。独特な世界が繰り広げられる作品になっています。

評価:★★★★

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