極上のポップアルバム
Title:SONGS
Musician:スカート
シンガーソングライター、澤部渡のメジャー4枚目となるオリジナルアルバム。毎回、シンプルで上質なポップスソングを聴かせてくれる彼。今回の作品は「SONGS」という非常にシンプルなタイトルがついた今回のアルバムですが、その単純なタイトルがある意味、自信の表れとも言える非常に良質な楽曲が並ぶ、極上のポップアルバムに仕上がっていました。
アルバムはまずピアノが入って、爽やかながらも切なさも感じられる「十月(いちおう捨てるけどとっておく)」からスタート。続く「駆ける」もバンドサウンドを前面に持ってきていますが、切ないメロディーラインが魅力的な楽曲。比較的ロックテイストの強いサウンドからスタートし、ダイナミズムも感じさせる出だしとなっています。
それに続く「ODDTAXI」はメロウなサウンドを聴かせるAORテイストの強い楽曲にシフト。ゲストラッパーとしてPUNPEEも参加し、ちょっとけだるさを感じさせるラップも聴かせてくれます。
個人的に今回のアルバムでお気に入りが中盤の「標識の影・鉄塔の影」で、メロディアスでちょっと切なさも感じさせるギターポップの作品。歌詞もノスタルジックな風景描写となっていて、決して派手な作品ではありませんが、強く印象に残ります。また「Aを弾け」もモータウン風の軽快なビートを聴かせる明るいギターポップのナンバーで、こちらも印象に残る軽快なポップソングになっています。
本作の中でちょっとユニークなのが「私が夢からさめたら」でしょうか。メランコリックなメロディーが印象的なAORチューンに仕上がっており、女性目線の歌詞も併せて、ちょっと歌謡曲寄りの作風になっているのが特徴的。続く「背を撃つ風」もピアノが入って爽快でメロディアスなギターポップ。途中に入る女性コーラスも印象的です。
終盤も、ノスタルジックな歌詞とメロが印象的な「しるしをたどる」も耳を惹きますし、ミディアムチューンの「窓辺にて」も切ないメロディーラインが印象的。ラストを締めくくる「海岸線再訪」も切ないメロとピアノが印象に残るギターポップの作品となっていました。
ほどよくインパクトがあるギターサウンドを軸としつつ、AORの要素も取り入れたバラエティー富んだポップソングが特徴的。全体的に切なさを感じさせるメロディーラインとなっており、決して派手なサビを持っているわけではないのですが、しっかりと印象に残るメロディーを書いてくるあたりに、メロディーメイカーとしての実力を感じさせます。アルバム毎に最高傑作を更新している感もあり、今回のアルバムもオリジナルアルバムとしての前作「トワイライト」を上回る傑作に仕上がっていました。ポップス好きには文句なしにお勧めの1枚です。
評価:★★★★★
スカート 過去の作品
CALL
20/20
トワイライト
アナザー・ストーリー
ほかに聴いたアルバム
今回はここで、人気上昇中のラッパー、PUNPEEの2枚のEP盤を紹介
The Sofakingdom/PUNPEE
まずは5曲入りのEP「The Sofakingdom」。
Return of The Sofakingdom/PUNPEE
そして同作の「付録」的位置づけとなる、同じく5曲入りEP「Return of The Sofakingdom」。実は、「Return of~」のリリースで、「The Sofakingdom」がリリースされていたことを遅ればせながら気が付き、「The Sofakingdom」は2020年のリリースながらも遅ればせながら聴いてみました。どちらも力強いビートをバックに、ラップというよりもメランコリックなメロディーが印象に残るポップテイストの強いアルバムに。「The Sofakingdom」ではKREVAや、実の弟である5lackが「Return of~」では漢 a.k.a. GAMIが、といった感じで豪華なゲストも魅力的。ただ、「The Sofakingdom」以上に「Return of~」の方がバラエティーに富んだ作風になっており、メロディーのインパクトも強化。「付録」的位置づけながらも、「Return of~」の方が本家を上回るような出来だったような・・・?
評価:
The Sofakingdom ★★★★
Return of The Sofakingdom ★★★★★
PUNPEE 過去の作品
MODERN TIMES
MODERN TIMES-Commentary-
焦年時代(PUNPEE&BIM)
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