80年代のマイケルのすごさがわかる
Title:Thriller 40
Musician:Michael Jackson
80年代に一世を風靡し、「キング・オブ・ポップ」と称され、全売上枚数の総数は4億枚を超えているというマイケル・ジャクソン。日本でも圧倒的な知名度を誇るシンガーなだけに、いまさら説明する必要はないでしょう。そんな輝かしい業績を誇る彼ですが、そんな中でも最も売れた、彼を代表するアルバムと言えば間違いなく1982年にリリースされたアルバム「スリラー」でしょう。発売から現在に至るまで7,000万枚という驚異的な売上を記録して「史上最も売れたアルバム」とされる本作。日本でもミリオンセラーを記録するなど、大ヒットを記録しました。
本作は、そんなポップス史上に残るアルバムのリリースから40年を経てリリースされた記念盤。2008年には25周年記念盤がリリースされており、本作が「記念盤」としてリリースされるのは、それ以来2度目となります。25周年記念盤は当サイトでも取り上げているのですが、それからもう15年も経ってしまったんだ・・・月日が経つことの速さにあらためて驚いてしまいます・・・。
そんなこともあって久しぶりに「スリラー」を聴いたのですが、まさにインパクトの塊というのが率直な感想。すべての曲がフックの効きまくったサビを持っており、メロディーラインは一度聴いたら忘れられないようなインパクトを持っています。またさらに言えば、ある種、わかりやすいポップであるということに、何ら疑いを持っておらず突き進んでいるというのも大きな特徴のように感じます。自分の音楽に対して圧倒的な自信を持ち、さらには輝かしい未来に対しても無条件で信じているような・・・そんなキラキラするような明るさをこのアルバムからは感じることが出来ます。
今回の40周年記念盤では、CDでは全2枚組となり、Disc2では「スリラー」の収録曲として検討された曲のデモ音源などが収録されています。そんな中でも特に興味深いのが「スリラー」のタイトルチューンであり、これまた大ヒットした「Thriller」の原曲の「Starlight」なる曲。もともと「Thriller」は「Starlight」という曲で作成されたそうですが、もっと怖い雰囲気を出してほしいという要望から「Thriller」という歌詞に書き換えられたのだとか。確かにポップな曲調でありながらも、歌詞から醸し出す怖い雰囲気がちょうどよいスパイスになっているからこそ、同曲は大ヒットをおさめたのでしょうね。
他にも「Human Nature」に取って代わられてしまった「Carousel」や、YMOのカバー曲で、候補曲だったものの「スリラー」に収録されなかった「Behind The Mask」、さらにファンキーでリズミカルなエレクトロチューン「Sunset Driver」など、落選曲もインパクト十分で、この曲だけを集めても十分1枚、大ヒットアルバムを生み出せそうな感じすらあります。それだけその当時、マイケルの勢いはすさまじかったということを物語っています。
ちなみに配信ではさらに14曲も追加。フィジカルよりも配信の方が曲数が充実しているという点が今どきらしいのですが・・・こちらは「スリラー」収録曲もデモ音源やリミックス音源などで、貴重度としてはCDのDisc2に比べると劣るのですが、それでも聴きごたえのある内容。CD盤を購入しても、配信部分のみ別途、ストリーミングで聴くことが出来る・・・ということなのでしょうか。
さて、ご存じと思いますが、このアルバムで頂点を極めたマイケルですが、90年代以降はスキャンダルにまみれてしまい徐々に活動が停滞してしまいます。さらに本格的な活動再開を発表した矢先の2009年に、50歳という若さで急逝という悲劇が訪れてしまいます。彼の死後は評価が再び高まりますが、2019年に彼の性的虐待を告発したドキュメンタリー映画が公表されて話題となったのは記憶に新しいところ。コンプライアンス、特に子供への性的虐待について、より厳しくなってきた昨今なだけに、このドキュメンタリー映画で一時はマイケルがポップスの世界から抹殺されてしまうのではないか、という危惧も生まれたのですが、ドキュメンタリーの内容自体に確固たる証拠もなかったことから、この40周年記念盤のリリースに象徴されるように、最悪の事態は免れたようです。
あらためて80年代のマイケルのすごさを実感できた40周年記念盤。これだけのモンスターはもうポップスシーンには登場しないんでしょうね。今聴いても全く輝きが衰えていないインパクトの塊の1枚。そのポップな世界に酔いしれる作品でした。
評価:★★★★★
MICHAEL JACKSON 過去の作品
Thriller(25th Anniversary Edition)
MICHAEL JACKSON'S THIS IS IT
KING OF POP
MICHAEL
XCAPE
ほかに聴いたアルバム
Song of Salvation/Dream Unending
ドゥームメタルバンドの1stアルバム・・・というよりも、それぞれ別のデスメタルバンドで活動していたDerrick VellaとJustin DeToreによるユニットらしいです。メタルということでともすれば敬遠しがちなのですが、ただこのバンドの特徴としてメランコリックなサウンドにデス声が重なるという独特なスタイル。ヘヴィーなサウンドの中に美しさが同居するという独特のサウンドで、その絶妙なバランス感に耳が惹きつけられます。メタルを普段聴かないようなリスナー層でも、そのサウンドを楽しむことが出来る作品です。
評価:★★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2023年」カテゴリの記事
- マッドチェスタームーブメントの楽曲を網羅的に収録(2023.12.24)
- 全盛期oasisの充実ぶりを物語る名盤(2023.12.15)
- 荒々しさを感じる初期ライブ盤(2023.12.12)
- 新曲が加わり大幅にボリュームアップ!(2023.12.11)
- 本来の意味での・・・「エモい」アルバム(2023.12.03)
コメント