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2023年1月 9日 (月)

前作よりも分厚いサウンドでドリーミーに

Title:And in the Darkness, Hearts Aglow
Musician:Weyes Blood

前作「Titanic Rising」が大きな話題を呼んで、一躍注目を集めたアメリカはカリフォルニア州サンタモニカ出身の女性シンガーソングライター、ナタリー・メーリングのソロプロジェクト、ワイズ・ブラッドの約3年7ヶ月ぶりとなるニューアルバム。前作は、各種メディアにも非常に高い評価を得て、2019年の年間ベストに軒並み、上位にランクイン。いままでほとんど無名のミュージシャンのようでしたが、その名前を一気に知らしめました。

楽曲は、清涼感ある美しいボーカルでゆっくり聴かせるフォーキーで暖かい楽曲がメイン。今回のアルバムでも1曲目「It's Not Just Me,It's Everybody」は、まさにそんな彼女らしい、ピアノで聴かせるフォーキーな楽曲でスタート。その暖かさを感じさせるサウンドとメロディーラインは、聴いているこちらがほっこりと安心させられます。

ただ、2曲目以降は、フォーキーな作風と美しいメロディーラインはそのままなのですが、分厚いサウンドでダイナミックさを感じさせる楽曲が並びます。「Children of the Empire」は爽快でメロディアスな歌がメインながらもストリングスのサウンドを重厚に聴かせてくれますし、続く「Grapevine」も、最初はアコギで静かにスタートしつつ、中盤からストリングスやコーラスライン、バンドサウンドなどが加わり、重厚なサウンドが楽曲を美しく彩ります。

その後も、荘厳さを感じさせるミディアムチューン「God Turn Me Into a Flower」や打ち込みのリズムが印象的な「Twin Flame」などバラエティー富んだ展開を聴かせつつ、終盤の「The Worst Is Done」は再びシンプルなサウンドで爽やかなメロディーラインを聴かせるフォーキーなポップチューンに。ただ、この曲を含むアルバム全体としてメロディーラインは至って人懐っこく、いい意味で広い層に受け入れられそうなポピュラリティーを感じます。音楽マニア受けが先行しており、売上的にはまだまだな彼女ですが、今後の十分なヒットも見込める予感もします。

ラストの「A Givin Thing」も、まさにこのアルバムのラストを飾るにふさわしい、ピアノと重厚なコーラス、シンセのサウンドという分厚いサウンドをバックに、彼女の美しい歌声でしんみりメロディアスに歌い上げる楽曲。ドリーミーさを感じさせるサウンドも魅力的で、思わず聴き入ってしまう楽曲に仕上げています。

そんな感じで前作以上に重厚なサウンドでドリーミーに聴かせるサウンドが特徴的な本作。ただ、フォーキーで暖かい雰囲気とメロディアスな美しいメロディーラインはそのままで、その歌声に聴き惚れるという点では前作と全く同様なアルバムと言えるでしょう。前作に引き続き、年間ベストレベルの傑作アルバムであることは間違いないと思います。今回も大きな注目をあつめている本作。彼女の活躍はまだまだ続きそうです。

評価:★★★★★

Weyes Blood 過去の作品
Titanic Rising


ほかに聴いたアルバム

Los Angeles Forum - April 26, 1969/The Jimi Hendrix Experience

タイトル通り、1969年4月26日にロサンジェルス・フォーラムという屋外競技場で行われたライブの模様を収録したライブ盤。The Jimi Hendrix Experience名義の3枚のアルバムをリリースした後のパフォーマンスである一方、6月にはノエル・レディングがバンドを脱退しており、決してバンドとしていい状況ではなかったことを伺わせますが、パフォーマンスとしてはそんなことは微塵も感じさせない、迫力あるパフォーマンスが楽しめます。特に当時、ロサンジェルス・フォーラムのようなアリーナでのライブパフォーマンス黎明期ということもあったのですが、それでも録音状態は良く、ジミヘンのギターパフォーマンスに酔いしれることの出来るライブ盤になっていました。

評価:★★★★★

Jimi Hendrix 過去の作品
VALLEYS OF NEPTUNE
People,Hell And Angels
MIAMI POP FESTIVAL(THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE)
BOTH SIDES OF THE SKY
Live in Maui

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アルバムレビュー(洋楽)2023年」カテゴリの記事

コメント

「不安定で取り返しのつかない時代の意味を暗闇の中で探している」 というナタリー・メリング(Natalie Mering)の宗教的な苦悩は多くのリスナーにも共有されると思います。
カレン・カーペンターの霊魂が憑依したようなヴォイスは時々ゾッとするほど荘厳で美しい。

「カレン・カーペンターの失われた曲を(レイ・マンザレクの伴奏で)歌うエンヤ」というジル・メイプス(Jill Mapes)のレヴューには笑っちゃいましたが^^

(https://pitchfork.com/reviews/albums/22463-front-row-seat-to-earth/)

投稿: sknys | 2023年1月10日 (火) 22時31分

>sknysさん
美しい彼女のボーカルには本当に惹かれますよね。

投稿: ゆういち | 2023年2月10日 (金) 23時56分

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