« タイアップ効果でよりポピュラリティーが増した作品 | トップページ | クリスマスソングがランクアップ »

2022年12月27日 (火)

未来を見据えた30周年の締めくくり

Title:楽しいお仕事愛好会
Musician:ウルフルズ

今年、メジャーデビュー30周年を迎えたウルフルズ。昨年から今年にかけて、3枚のセルフカバーアルバムをリリースしてきましたが、その締めくくりとしてリリースされたのが30周年記念盤としての約3年ぶりとなるオリジナルアルバム。最近、2005年のシングル「暴れだす」がM-1のPVに使われて話題となった彼らですが、まだまだ現役バンドとしてのパワーを感じさせる作品となっています。

ウルフルズといえば、ソウルやブルースなどのブラックミュージックやルーツミュージックからの影響が強いバンドです。今回のアルバムも1曲目であり、リードトラックである「ツーベーコーベー」もまさにそんな彼らのルーツミュージックからの音楽的影響の強い作品。軽快なピアノにギュインギュインと力強く聴くきかせるにギターサウンド、さらにソウルフルなボーカルという、ルーツ志向のロックンロールナンバー。ユーモラスな歌詞も含めて、ウルフルズの真骨頂ともいえる楽曲となっています。

続く「よんでコールミー」はメランコリックで懐かしさを感じる楽曲にビートルズからの影響を強く感じさせますし、「踊れ」もパワフルなボーカルを聴かせるソウルフルな、いかにもウルフルズらしい楽曲。この前半に感じては、いかにもウルフルズらしい作品が並びます。また、タイトルチューンである「楽しいお仕事愛好会」は、ウルフルズとしての活動を振り返る歌詞が特徴的。途中、彼らの過去の楽曲タイトルがアルバムに織り込まれており、彼らのウルフルズに対する思いも感じることが出来ます。

しかし後半については、ブラックミュージック、ルーツミュージックからの影響に留まらない、ウルフルズの幅広い音楽的影響を感じさせました。「きみんちのイヌ」などはまさにそんなナンバーで、GSあたりからの影響を感じさせるメランコリックで歌謡曲テイストの強い楽曲。また「黒田の子守唄」は沖縄民謡風の楽曲に。彼ららしいブギウギ風の「コミコミ」のような楽曲を挟みつつ、様々な音楽からの影響を感じさせる展開となっていました。

そしてラストはバリバリのJB風のファンクナンバー「続けるズのテーマ」へ。まさにウルフルズの王道を行くようなナンバーで、歌詞も30周年を迎えたウルフルズのこれからの未来を見据えたナンバーになっています。ある意味、過去を振り返る「楽しいお仕事愛好会」と対比的な楽曲で、30周年記念盤のラストを飾るにふさわしい、30周年以降のウルフルズを感じさせる楽曲となっています。

ウルフルズらしい楽曲をちりばめつつ、一方ではソウルやルーツ志向以外の彼らの音楽的嗜好も垣間見れるアルバム。歌詞の内容も含めて、実に30周年記念盤としてふさわしいアルバムとなっています。これからの彼らにも期待できそうな傑作でした。

評価:★★★★★

ウルフルズ 過去の作品
KEEP ON,MOVING ON
ONE MIND
赤盤だぜ!
ボンツビワイワイ
人生
ウ!!!
ウル盤
フル盤
ズ盤


ほかに聴いたアルバム

10の足跡/湯川潮音

なんと約10年ぶりとなるシンガーソングライター湯川潮音のニューアルバム。ほとんどが1発録りによる作品で、ヴァイオリンやチェロ、バンジョーやサックス、フルート、さらにはリコーダーやユーフォニウムといった多種多様な楽器を用いたサウンドが特徴的。ただ、基本的にアコースティックな作風となっているため、アコースティックギターを中心とした静かな作風にまとめあげられています。一方で彼女の特徴であり魅力でもあるファンタジックな世界観は健在で、彼女らしさを強く感じる作品に仕上がっていました。

評価:★★★★★

湯川潮音 過去の作品
灰色とわたし
Sweet Children O'Mine
クレシェンド
濡れない音符
セロファンの空

超天獄/大森靖子

約2年ぶりとなるオリジナルアルバム。彼女らしいバリエーションのある分厚いサウンドで、勢いもあるパンキッシュで、サイケデリックな要素も入ったある種のヒステリックさも魅力的な楽曲が並びます。彼女の主張を赤裸々に綴った歌詞も大きな魅力なのですが、ただ今回のアルバムに関しては、その歌詞のインパクトが少々薄かったような。彼女のアルバムは、1曲2曲、聴いていてハッとするような歌詞に出会えるのですが、今回のアルバムに関しては残念ながらそういう要素を感じませんでした。

評価:★★★★

大森靖子 過去の作品
洗脳
トカレフ(大森靖子&THEピンクトカレフ)
TOKYO BLACK HOLE
kitixxxgaia
MUTEKI
クソカワPARTY
大森靖子
Kintsugi
PERSONA#1

|

« タイアップ効果でよりポピュラリティーが増した作品 | トップページ | クリスマスソングがランクアップ »

アルバムレビュー(邦楽)2022年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« タイアップ効果でよりポピュラリティーが増した作品 | トップページ | クリスマスソングがランクアップ »