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2022年12月25日 (日)

YUKIの全てがつまた6時間

2002年のソロデビューから今年で20年目を迎えたYUKI。今回紹介するのはソロデビュー20周年を記念してリリースされた配信限定のベストアルバムです。

Title:YUKI 20th Anniversary The Singles Collection 2002-2022「Tears of JOY」
Musician:YUKI

Yukisingles

まずこちらがシングルコレクション。デビューシングル「the end of shite」から、現時点での最新シングル「鳴り響く限り」までがリリース順に収められています。

Title:YUKI 20th Anniversary Coupling + Remix Collection 2002-2022「Ode to JOY」
Musician:YUKI

Yukicoupling

こちらは彼女のシングルのカップリング曲、全曲を収録したカップリング曲集と、リミックス音源を加えた、いわゆるB面ベストとなります。

彼女はもともと5周年、10周年、15周年とそれぞれベストアルバムをリリースしていますので、今回のアルバムはその流れでのリリースとなります。ただ、5年前にリリースしたシングルコレクション「すてきな15才」は10周年のベストアルバム「POWERS OF TEN」以降のシングルをまとめたアルバムだったため、デビュー以来すべてのシングルを収録したオールタイムのシングルコレクションは、「POWERS OF TEN」以来ということになります。シングルコレクション「Tears of JOY」は全41曲3時間強、B面ベスト「Ode to JOY」は全42曲3時間20分というボリューム感となり、すべて合わせると6時間超え(!)の、まさにYUKIの全てがわかるアルバムとなっていました。

そんな訳で、いきなり「YUKIの全てがわかる」なんて大言壮語な表現をしてしまいましたが、ただ一方、6時間聴いても、正直なところYUKIというミュージシャンの音楽的な方向性がいまひとつ捉えきれないという印象を受けてしまいました。というのも、デビュー以来、彼女が歌ってきた曲のタイプはバラバラ。YUKIといえばこういうタイプの曲、といった明確なものがありません。

以前にも書いたことがあるのですが、いわゆるJ-POPバンドと目されていたジュディマリ解散後は、いかにもサブカルチャー方面を志向した楽曲から並びます。デビュー作「the end of shite」はあきらかなオルタナ系ギターロック、「プリズム」は比較的シンプルなポップなのですが、「66db」はエレクトロアレンジを取り入れて、新たなサウンドへの挑戦もられます。「JOY」なんかもエレクトロダンスチューンに仕上げられており、2000年代初頭の流行にのったような方向性になっています。

その後もダブも取り入れたレゲエ風の「メッセージ」、ちょっとジャジーな「COSMIC BOX」、トランシーな「誰でもロンリー」、エレクトロサウンドにミニマルなコーラスを入れて挑戦的な作風を感じさせる「好きってなんだろう...涙」などなど、最近でも「My lovely ghost」もハウスミュージックの要素を取り入れるなど、自由な作風が続いています。

B面ベスト「Ode to JOY」では、その自由な作風という方向性はさらに顕著で、特に序盤はサブカル寄りの方向性が目立ちますし、ラテン風の「恋人よ」、ブルージーな「AIR WAVE」、軽快なエレクトロポップ「裸の太陽」「just life!all right!」など、バラエティー富んだ作風が並びます。ただ、自由度が高いミュージシャンの場合、このカップリング曲でよりぶっ飛んだ作風を聴かせてくれたりするのですが、彼女の場合、もともとシングルで自由度の高いポップスを聴かせてくれるため、ある意味、カップリング曲との差がさほど大きくありませんでした。それでも後半のリミックスではtofubeatsややけのはら、Mighty Crownといったミュージシャンがそれぞれ自らのフィールドでYUKIの曲を調理。さらなる幅広い音楽性を聴かせてくれます。

ただ一方で、これだけ幅広い音楽性を見せながらも、全体的にはYUKIとしての色も感じられるのは、やはりボーカリストとしての彼女の魅力が大きいように感じます。かわいらしい彼女のボーカルはジュディマリ時代からも「ロリータボイス」として注目を集めていましたが、この独特な声が幅広い音楽性の楽曲に統一感を与えている印象を受けます。そして50歳となった今でも、この声が全く衰えていないという事実に驚かされます。ルックスも年齢を感じさせませんし、いやはや(誉め言葉ですが)バケモノかよ・・・(笑)。いや、この状態を保つためには相当の努力をしていることは想像に難しくありませんが、ここらへんがソロデビューから20年を経て、いまだに高い人気を維持している大きな要因なのでしょう。

まさにYUKIとしての魅力のつまった6時間。かなりフルボリュームの内容なので、一気に聴き切るのは難しいかもしれませんが、どちらかというとプレイリスト的な作品なので、気になる部分をピックアップして聴いてみるのも悪くないかも。まだまだ彼女の活躍は続きそうです。

評価:どちらも★★★★★

YUKI 過去の作品
five-star
うれしくって抱きあうよ
megaphonic
POWERS OF TEN
BETWEEN THE TEN
FLY
まばたき
YUKI RENTAL SELECTION
すてきな15才
forme
echo(Chara+YUKI)
Terminal


ほかに聴いたアルバム。こちらはYUKIの旦那様のバンドです。

TODAY/真心ブラザーズ

約2年ぶりとなる真心ブラザーズのニューアルバム。前作「Cheer」はポップ方面にシフトした作品になっていましたが、今回は郷愁感あふれるブルージーな「一触即発」からスタートし、全体的に落ち着いた大人な雰囲気のアルバムに仕上がっています。「ブレブレ」みたいな陽気なロックンロールナンバーもあり、ある意味YO-KINGらしいユーモラスなこの曲は、真心らしい諧謔性も備えたポップになっているのですが、全体的には地味という印象を受けてしまう作品に。もっとも大ベテランの彼らだからこそ、一定以上の水準のアルバムに仕上がっているのは間違いないのですが。

評価:★★★★

真心ブラザーズ 過去の作品
DAZZLING SOUND
俺たちは真心だ!
タンデムダンデイ20
GOODDEST

Keep on traveling
Do Sing
PACK TO THE FUTURE
FLOW ON THE CLOUD
INNER VOICE
トランタン
Cheer

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