命を懸けた渾身のパフォーマンス
Ryuichi Sakamoto:Playing the Piano 2022
会場 オンライン 日時 2022年12月11日(日)24:00~
今回は坂本龍一の約2年ぶりとなる配信ライブ「Playint the Piano 2022」のライブレポート。現在、がん闘病中の彼。今回の配信ライブはリアルタイムでの配信ではなく、1日に数曲ずつ収録された映像をつなぎあわせた形でのライブとなりました。会場は坂本龍一本人が「日本でいちばんいいスタジオ」と語る東京渋谷のNHK放送センター509スタジオで、今回のライブに関して彼は「ライヴでコンサートをやりきる体力がない――。この形式での演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」と語っており、まさに命すらかけた渾身のパフォーマンスとなりました。
「最後かもしれない」という話もあり、ともすれば重苦しいイメージの中でのライブになってしまうのかも・・・そんなイメージすらあったのですが、そんなイメージを変えたのが事前に配信されたメッセージビデオでした。
「通常のコンサートのように楽しんでいただければ」という教授からのメッセージで、最後は「Enjoy!」というメッセージで締めくくられています。重苦しく考えることなくライブを楽しめばいいんだ!そう強く感じられた教授からのメッセージでした。
当日は夜24時からの回を視聴。時間になるとおもむろにライブがスタート。詳細については公式サイトで全曲解説が行われているのでご参考にしていただければと思いますが、個人的な感想を・・・。映像はほぼ白黒のモノトーン。1曲目は「Improvisation on Little Buddha Theme」からのスタートですが、ほぼ坂本龍一の手元をアップする映像となっていました。
個人的に特に前半で印象に残ったのが「Lack of Love」で、数少ない音をゆっくり聴かせる作品なのですがそのパフォーマンスは緊迫感があふれ、ゾクゾクと来るものがありました。その後は「Solitude」と続き「Aubade 2020」で雰囲気は一転。軽やかなパフォーマンスに、どちらかというと黒を基調とした映像が続いた前半から、白い壁をバックに教授の姿も映し出した映像に変わりました。
その後も「Ichimei - Small Happiness」「Aqua」と続き、おなじみのYMOのナンバー「Tong Poo」へと続きます。原曲と異なりゆっくりとピアノで聴かせるパフォーマンスなのですが、この曲も含めて、がん闘病中ですっかり痩せてしまっている彼ですが、パフォーマンス自体には正直ほとんど衰えを感じさせません。曲によってはむしろパフォーマンスに力強さすら感じられ「Enjoy!」というメッセージの通り、聴いている最中は、彼のおかれた状況を忘れさせ、そのパフォーマンスを楽しむことが出来る内容となっていました。
さらに演奏は「The Wuthering Heights」「20220302 - sarabande」「The Sheltering Sky」と続き、これまたおなじみの「The Last Emperor」。力強いパフォーマンスを楽しませてくれた後は、さらに代表曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」と続きます。こちらに関してはYou Tubeで配信されているようですので、見逃した方も是非ともチェックしていただければ・・・。闘病中であることを感じさせないその会パフォーマンスに胸があつくなる思いでした。
ラストは「Opus - Ending」で締めくくり。映像ではスタッフのクレジットが重なる形となります。そして最後は引きの映像から、坂本龍一本人がおもむろに椅子から立ち上がると、歩いて静かに去っていきました。その歩いて去っていくというラストには、まだまだ彼が生きて歩んでいくんだ、という意識をかんじさせます。これが「最後」という話をしていましたが、ひょっとして本人はこれが本当に最後にするつもりはないのかもしれません。そう感じさせるエンディングでした。
パフォーマンスは1時間10分程度。上にも書いた通り、がん闘病中ということを感じさせないような力強い生命力がみなぎるパフォーマンスでした。本人は「これが最後かも」と言っているのですが、これがいわゆる「終わる終わる詐欺」になることを心から願って。素晴らしいステージに、教授のメッセージの通り、心から楽しめたステージでした。
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