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2022年12月20日 (火)

一気に注目度がアップ!

Title:Endure
Musician:Special Interest

本作がオリジナルアルバムとしては3作目となる、ニューオリンズ出身のノー・ウェーヴパンクバンド、Special Interestのニューアルバム。ここで紹介するのはこれが2作目となりますが、前作「The Passion Of」を紹介した時点では、日本はおろか、海外でもほとんどネット上に情報が上がっておらず、どんなバンドなのかほとんど謎・・・という状況でした。しかし、前作の評価が高かった影響で、知名度は一気に上昇。前作の段階ではなかったWikipedia(英語版)も無事、作成され、本作ではなんと輸入盤使用ながらも解説をつけた国内仕様のCDもリリース。現時点で彼らについて検索をかけると、日本でのインタビュー記事までアップされており、ここ2年で一気に知名度があがったことが伺えます。さらに本作では名門ラフトレードと契約。まさに今、最も注目されるバンドのひとつとなってきています。

もっとも基本的なスタイルは前作から大きく変化はありません。ハイテンポかつ強烈なドラムのビートにシャウト気味のボーカルが加わるパンキッシュなサウンド。本作も1曲目「Cherry Blue Intention」から疾走感あふれるビートが繰り広げられ、いきなりリスナーのテンションは上がりまくります。続く「(Herman's)House」はヘヴィーなギターリフとボーカルの力強いシャウトが特徴的な楽曲。パンキッシュという以上にヘヴィーなロック路線が特徴的な作品となっています。

その後もメタリックなビートでダウナーに聴かせる「Love Scene」や同じくノイジーなビートでインダストリアル色も強い「My Displeasure」など、ヘヴィーで緊迫感あふれるサウンドを聴かせてくれるのが大きな特徴的。前作同様、最後まで耳の離せないアルバムになっていました。

ただもうひとつ大きな特徴だったのが、そんな緊迫感あふれるサウンドの中で、意外とポップという側面を感じられる点でした。例えば「Foul」はヘヴィーでパンキッシュなバンドサウンドの中で繰り広げられる男女の掛け合いのボーカルにテンポ良さを感じますし、「Midnigh Legend」に至っては、エレクトロアレンジのディスコチューンに仕上がっているほど。「Kurdish Radio」もダークでメタリックなサウンドながらも、力強さを感じつつ伸びやかな「歌」も聴かせるナンバーとなっています。

今回のアルバムは前作以上にバリエーションも増え、かついい意味で聴きやすさも増した作品となっていました。ラフトレードに移籍し、また世間からの注目もグッとましたことから、以前より、よりリスナーや「マス」を意識したような曲づくりにシフトした、といった感じでしょうか。もちろん、前作に引き続き今回も文句なしの傑作アルバム。国内でもグッと注目度が高くなっただけに、来年のフジかサマソニあたりで初来日となりそう。これからの活躍にも注目です。

評価:★★★★★

Special Interest 過去の作品
The Passion Of


ほかに聴いたアルバム

As Above,So Below/Sampa The Great

アフリカのザンビアに産まれ、ボスワナに育ち、現在はオーストラリアを拠点に活動しているという、ユニークな経歴を持つ女性ミュージシャン/ラッパーの2枚目となるオリジナルアルバム。トライバルなリズムにリズミカルなラップ、さらに伸びやかなボーカルを聴かせてくれる曲調で、ちょっと怪しげな雰囲気を醸し出しつつ、トライバル的な要素とスタンダードなポップの流れを上手く取り込んだ独特のサウンドを繰り広げています。これからさらなる注目が集まりそうなシンガーです。

評価:★★★★★

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