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2022年11月19日 (土)

キュートでドリーミーなギターポップが壺をつく

Title:Blue Rev
Musician:Alvvays

バンド名の綴り的にはかなり奇妙な感じがするかもしれませんが、これでオールウェイズと読むカナダを拠点とする5人組インディーポップバンド。同作は約5年ぶりのアルバムとなるのですが、前作「Antisocialites」はカナダのグラミー賞に相当するジュノー賞を受賞し、一躍注目を集めるバンドに。さらに2019年にはフジロックへも出演するなど、日本でも注目を集めていました。

ただ、私が彼女たちを聴くのは本作がはじめて。彼女たちの音楽はシューゲイザーの影響を強く受けたバンド。さらに影響を受けたバンドとしてTEENAGE FANCLUBの名前をあげているそうで、個人的にTEENAGE FANCLUBの影響下にあるバンドって、すごく壺なバンドであることが多く・・・実際、今回はじめて聴いたこのアルバム、個人的に壺にはまりまくりなアルバムでした。

アルバムの前半は特にシューゲイザーからの影響が顕著。1曲目「Pharmcist」はギターのホワイトノイズに包まれつつ、疾走感あるギターロックにポップなメロディーラインという、シューゲイザーからの影響を強く感じさせる楽曲。さらに耳を惹くのが3曲目「After The Earthquake」でメロディアスでキュートさを感じさせるギターサウンドは、明確にTEENAGE FANCLUBからの影響を感じさせます。軽快でポップなメロディーラインとほどよくノイジーなバンドサウンドが耳を惹くポップソングに仕上がっています。

特にボーカルのモリー・ランキンのキュートなボーカルを生かしたポップソングも多く、「Many Mirrors」などもノイジーなギターサウンドに彼女のボーカルが映えるキュートなドリームポップに。アルバムの前半はギターのホワイトノイズを効果的に聴かせつつ、キュートなポップソングにまとめあげたギターポップ路線の曲が並ぶ作品になっています。

しかし、アルバムの中盤でガラリと作風が変わります。後半のスタートとなる「Very Online Guy」はシンセのサウンドを軸としつつ、メランコリックなメロを聴かせるシンセポップに。続く「Velveteen」も打ち込みのリズムなエレクトロなサウンドが目立つ、80年代的な懐かしさも感じさせるシンセポップになっています。

さらに後半になると、疾走感あるギターサウンドでパンキッシュな要素も感じる「Pomeranian Spinster」、また再びシューゲイザーの影響を強く感じるドリーミーな「Belinda Says」と再びギターサウンドでドリーミーに聴かせるポップチューンが続きます。終盤、分厚いギターサウンドをバックにメランコリックに聴かせる「Lottery Noises」などと続き、アルバムは幕を下ろします。

アルバム全体としてノイジーなギターサウンドとポップなメロディーライン、さらにキュートなボーカルを聴かせるドリーミーなポップソングがとても心地よく、まさに個人的に壺をつきまくる傑作アルバムに仕上がっていました。もちろん、個人的な好みだけの話ではなく、ポップなメロディーラインとドリーミーなサウンドがバランスよく絶妙に組み合わさった非常に良くできたアルバムであることは間違いなく、メロディーラインのインパクトも十分。文句ないに年間ベスト盤候補になりうる傑作アルバムだったと思います。ちょっと懐かしい要素も感じさせつつ、聴いていて素直に気持ちよくなる作品でした。

評価:★★★★★

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