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2022年11月22日 (火)

まさか「メロン牧場」で・・・。

今回は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

電気グルーヴが長年、音楽誌「ROCKIN'ON JAPAN」誌で掲載している連載を1冊にまとめた「電気グルーヴのメロン牧場-花嫁は死神7」。タイトル通り、これが7冊目となります。

電気グルーヴといえば2019年3月にピエール瀧がコカイン所持で逮捕され、大きな衝撃が走りました。その逮捕を受け、電気グルーヴのCDが販売停止となり、ストリーミング等も配信停止となる事態となり、賛否両論が巻き起こりました。そんな中、あまり話題にはなかなかったものの、「表現の自由」の矜持を見せたのが出版界で、逮捕直前に発売された6巻目も販売休止にならず、また他の書籍類も一切、販売停止等の処置は取られませんでした。実際、この出版会の処置についてはメンバー、特に石野卓球も相当感謝しているようで、以前紹介したリットー・ミュージックの「電気グルーヴのSound & Recording 〜PRODUCTION INTERVIEWS 1992-2019」でも感謝の意を表していますし、本書でも「やっぱり今回電気グルーヴが復活するにあたって、いちばん力になったのが、リットーミュージックとロッキング・オン社(p93)」と「死の商人だから(p94)」と茶化しながらも、律儀に感謝しているあたりが、(リットーミュージックのムック本の感想でも書いたのですが)石野卓球の律儀な性格を感じてしまいます。

さて、そんな6冊目から約2年8ヶ月ぶりに発売された今回の7冊目ですが、今回の「メロン牧場」、まさか

「メロン牧場」を読んでいて、涙腺が緩むことになるとは思いませんでした!

「メロン牧場」を読んでいて、親孝行しなけりゃいけないな、と思うことになるとは思いませんでした!

・・・詳しくはネタバレになってしまうので、同書を読んでほしいのですが、ただ一言言えるのは、前回以上に非常に読み応えのある1冊になっているという点でした。

なんといっても今回の「メロン牧場」では大きなポイントとなるのが、ピエール瀧逮捕前後の回が収録されている点。さすがに逮捕直後の2019年4月号、5月号は休みとなっているのですが、6月号はまだ瀧が釈放される前で石野卓球1人でしゃべっています。ピエール瀧が逮捕された直後、ワイドショー近辺の「相方である石野卓球も謝罪すべき」という圧力に負けず、主にTwitterを中心に正常営業の悪ふざけのツイートを続け賛否両論を集めた彼(・・・というよりはファンからの圧倒的な賛同と、石野卓球を全く知らなかったような層からの反発、といった感じでしょうか)ですが、ここではそういう言動を取った理由についても(もちろんいつも通りに半分茶化した感じではありますが)しっかり語られています。

そこにはしっかりとした石野卓球なりの考えがあり、かつ、一本筋が通った確固たるスタンスを感じます。もちろん、その考え方についても賛否あるかもしれませんが、少なくとも、世間の空気と同調圧力という、理屈のない訳の分からない感情論で叩いていたワイドショー近辺とは勝負にならなかったな、ということを強く感じます。

また、立派に感じたのは、そんな石野卓球のスタンスをしっかりと引き継ぎつつ、ピエール瀧を逮捕前と全く変わらないスタンスで受け入れたロッキング・オン(というかインタビュアーの山崎洋一郎)のスタンスで、ピエール瀧復帰の第一声から「お務め、ごくろうさまでした!(p52)」といつも通りのジョークからスタートし、いつも通りの「メロン牧場」が展開していきます。最近ではすっかりアイドル誌になってしまってロックのかけらも感じられない「ROCKIN'ON JAPAN」には霹靂としていたのですが、ここのスタンスに関しては、ロック誌として最後に残されたような矜持も感じました。

そんなピエール瀧の逮捕にまつわる本人の裏話もあったり、今回の逮捕にあたっての電気グルーヴの事務所独立の話もあったり、以前の「メロン牧場」は電気グルーヴの日常にまつわる「ネタ」をグダグダと話している内容だったのですが(今回もそういうグダグダ話もありましたが)この7冊目に関しては、電気グルーヴや石野卓球近辺で大きな事件・出来事が相次ぎ、それだけに非常に読み応えのある内容でしたし、電気グルーヴのファンなら必読の1冊となっていました。

そんな訳で、いつもの「メロン牧場」に増して読み応えのあった1冊。帯の紹介に「今回の『メロン牧場』はいつもよりドラマティックで笑いながらもちょっと泣けます」という煽り文に全くの偽りがないところが驚くべきところ。心よりお勧めしたい1冊です!

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