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2022年11月28日 (月)

自由度の高いエレクトロの傑作

Title:Cherry
Musician:Daphni

Caribou名義でも活動しているカナダのエレクトロミュージシャン、Dan Snaith(ダン・スナイス)のソロプロジェクト、Daphni(ダフニ)のニューアルバム。Daphni名義のオリジナルアルバムとしては3枚目となるアルバムで、特に2017年にリリースされた前作「Joli Mai」は、各種メディアの年間ベストでも上位にランクインするなど、高い評価を受けるアルバムになりました。

・・・と言っても私自身、彼のアルバムを聴くのは今回がはじめて。どんなアルバムであるのか、よくわらかないまま今回アルバムを聴いてみたのですが、本作に関して、彼自身「このアルバムを統一したり、まとまらせたりするような明確なものは何もない。ただ作っただけなんだ」と語っているようで、実際にアルバム全体として特に統一感もあるわけではない、自由度の高いアルバムに仕上がっていました。

アルバム冒頭の「Arrow」はハウス系のリズミカルなミニマルナンバーになっていますし、続くタイトルチューンの「Cherry」は同じくミニマル系のナンバーなのですが、硬度のあるサウンドが繰り返されるテクノ系の楽曲に仕上がっています。かと思えば続く「Always There」はちょっとエキゾチックなサウンドが入ったメランコリックなナンバーで、1曲目2曲目とは明確に方向性が異なり、まさに自由度の高い作品ならではの展開となっています。

その後もスペーシーなエレクトロチューンの「Crimson」「Arp Blocks」に、ボーカルをサンプリングしてリズミカルに聴かせるミニマルテクノ「Mania」、疾走感あるサウンドにリズミカルなバンドサウンドが加わり、AOR的な様相も感じさせる「Take Two」、エレクトロサウンドにメロウさも感じさせる「Clavicle」に、同じくピアノとサンプリングされたボーカルでメロウさを感じさせる「Cloudy」と続いていきます。

かと思えば終盤はメタリックなビートで力強く聴かせる「Karplus」、ピアノの音色が入って力強いビート感の「Amber」と続き、続き、ラストはピアノを入れて軽快にリズミカルに聴かせる、タイトル通り、将来への希望を感じるような「Fly Away」と続きます。最後まで、前述の彼のインタビュー通り、自由度の高い作品に仕上がっていました。

ただ、統一感が本当にないかと言えば、アルバム全体で言えば、やはりミニマルなサウンドが一つの軸になっています。また、リズミカルな4つ打ちのビートは基本的に良い意味で変なひねりもなく、ポップで聴きやすい作風に仕上がっていた点もひとつの統一軸でしょう。さらにアルバム全体としてメロディアスなメロディーラインがしっかりと流れており、その点もポップで聴きやすいという印象を受けた大きな要素。全体的にいい意味でリスナーを選ばない、比較的広いリスナー層にお勧めできるアルバムになっていたと思います。

高い評価も納得の傑作アルバム。全14曲入り47分程度のアルバムの長さも最後まで楽しむにはちょうどよい長さですし、難しいこと抜きに、そのミニマルなサウンドを最初から最後まで楽しめる作品に仕上がっていました。

評価:★★★★★

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