新進気鋭のジャズギタリスト
今回紹介するのは、新進気鋭のジャズギタリストとして最近注目を集めているMary Halvorsonが2作同時にリリースした最新アルバムです。
Title:Amaryllis
Musician:Mary Halvorson
まずこちらの作品では彼女を中心に、Patricia Brennan (ヴィブラフォン)、 Nick Dunston (ベース) 、 Tomas Fujiwara (ドラムス) 、 Jacob Garchik (トロンボーン) 、 Adam O'Farrill (トランペット)という6人組で構成されたアルバム。
Title:Belladonna
Musician:Mary Halvorson
そしてこちらのアルバムは、ギターとストリングスカルテットのために作曲された曲から構成されています。
今回のアルバムではじめて、アメリカのノンサッチ・レコードと契約。本作がその第1弾となる作品になります。ノンサッチ・レコードといえば、最初はクラシック音楽からスタートしながらも、その後ロックやジャズ、エレクトロや現代音楽、さらにはワールドミュージックまで手を広げ、ある意味、カテゴライズが難しいミュージシャンも多く擁するレーベルですが、彼女に関して言えば、まさにノンサッチ・レコードとの契約が非常にピッタリ来るミュージシャンと言えるかもしれません。
特に「Amaryllis」に関しては、王道路線のジャズを奏でていたかと思えば、突如、フリーキーなサウンドが展開されるのも特徴的。現代音楽的な要素も強く、ジャズに留まらない自由度の高い音楽性が大きな魅力となっています。一方、「Belladonna」に関しても、ストリングスで優雅なサウンドをメロディアスに奏でているかと思えば、微妙に歪んだフレーズが飛び込んでくるのも特徴的。さらに「Haunted Head」ではノイジーなギターが入ったり、ラスト「Belladonna」では後半、サイケデリックなギターフレーズが登場したりと、こちらもジャンルにとらわれない自由度の高い音楽性が特徴となっています。
また、どちらもポピュラリティーを感じるメロディアスなフレーズが流れている点も大きな特徴で、その点、聴きやすさも感じるアルバムになっています。ただその一方で、このメロディーラインも微妙に歪みを感じられ、一筋縄に行かない点も大きな特徴。ポップで聴きやすさを感じつつ、その中にある微妙な渋みが一つの魅力に感じられました。
ジャズをベースにしつつ、ロックやポップス的な要素もあり、なおかつ現代音楽の要素も感じられるアルバムになっているため、ジャズに限らず、その実験性に反して意外と幅広いリスナー層が楽しめるアルバムになっていると思います。これから彼女が、ジャズというジャンルに限らず、さらなる注目を集めそうな、そんな予感のする作品でした。
評価:どちらも★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Unwanted/Pale Waves
イギリスはマンチェスター出身のインディーロックバンドによる3枚目のアルバム。デビュー作は80年代90年代のちょっと懐かしい雰囲気を持ったエレクトロポップが魅力でしたが、前作は何の変哲もないシンセポップバンドになってちょっとがっかりしました。3枚目となる今回のアルバムも、良くも悪くも売れ線といったイメージのシンセポップ。前作よりインパクトは増した感もあるのですが、よくありがちな平凡なポップミュージックといった印象が。本国では本作も最高位4位にランクインするなど、しっかり売れているようですが、このままだとちょっと厳しいような印象が・・・。
評価:★★★
Pale Waves 過去の作品
My Mind Makes Noises
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