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2022年10月30日 (日)

ポップなメロディーの強度がさらに増した傑作

Title:Keep On Smiling
Musician:TWO DOOR CINEMA CLUB

Keeponsmiling

約3年ぶり・・・というから、ちょっと久しぶりとなるイギリスは北アイルランドのインディーロックバンド、TWO DOOR CINEMA CLUBのニューアルバム。非常に軽快なポップチューンで人気を集める彼ら。特にオリジナルアルバムとして前作となる「False Alarm」や、その後リリースされたEP盤「Lost Songs(Found)」では、いい意味であか抜けたポップソングを楽しめる作品となっており、次の作品にも期待を抱かしてくれました。

そしてリリースされた今回のニューアルバムですが、そんな前作までで感じた期待をそのまま引き継ぐような、ポップで楽しいアルバムに仕上がっていました。オープニング曲から続いてはじまる事実上の1曲目「Blue Light」は、80年代ポップスをそのまま継承したようなダンサナブルなシンセポップ。まずはウキウキとした気分で楽しませてくれます。続く「Everybody's Cool」も、MVが作成されたアルバムの代表曲の1曲ですが、こちらもメロディアスで楽しい気分に浸れるシンセポップチューン。序盤からいきなりインパクトあるメロディーが耳に残る楽曲からスタートします。

この80年代っぽい軽快なシンセポップというのは、以前からのTWO DOOR CINEMA CLUBの特徴でしたが、今回のアルバムではその傾向がさらに強化。加えてメロディーラインのインパクトがさらに強まった印象を受けます。「Everybody's Cool」と同様、MVが作成された「Lucky」も、同じく80年代風のシンセポップなのですが、ちょっとメランコリックさを感じるメロディーラインが大きなインパクトに。しんみり聴かせる「High」なども、やはりシンセのサウンドもそうですし、ちょっとAORテイストを感じさせるメロディーラインも実に80年代的。どこか懐かしさも感じさせます。

そしてアルバムの中でも大きな核となっているのが、先行シングルでもある「Wonderful Life」でしょう。こちらも80年代風の軽快なエレクトロポップ。ダンサナブルなリズムが楽しく、洋楽としては珍しく、わかりやすいサビの部分を持ったインパクトあるメロディーラインが特徴的。ワクワク感の止まらない作品になっています。

80年代を感じさせるシンセポップを主軸に、ポップなメロディーラインが大きなインパクトを持つ楽曲が並ぶ今回のアルバム。なんといってもメロディーラインのインパクトが、いままでのアルバム以上に強く、よりポップなアルバムに仕上がっていたように感じます。前作「False Alarm」でポップなメロディーラインの強度がより増した、という印象を受けましたが、今回のアルバムではさらに進化したようにすら感じました。インディーロックという枠組みにとらわれず、より広い層が楽しめる、そんな傑作でした。

評価:★★★★★

TWO DOOR CINEMA CLUB 過去の作品
Tourist History
Beacon
Gameshow
False Alarm
Long Songs(Found)


ほかに聴いたアルバム

The Elephant Man's Bones/Roc Marciano&The Alchemist

ニューヨークのアンダーグラウンドシーンで活躍するラッパーRoc Marcianoと、ロサンジェルスを拠点に活動を続け、様々なミュージシャンへのプロデュースに加えて、エミネムのDJとしても知られるThe Alchemistが組んでリリースした作品。不穏な雰囲気をベースとしつつも、メロウなトラックやジャジーなサウンド、ミニマルなトラックなど様々に展開するサウンドに耳を惹かれる作品に。淡々としたRoc Marcianoのラップも大きな魅力。

評価:★★★★★

Heaven Come Crashing/Rachika Nayar

ニューヨークはブルックリンを拠点に活動しているプロデューサーによる2枚目のアルバム。ゆっくり聴かせるドリーミーなエレクトロサウンドが心地よいアンビエントな作品。ノイズやトランスを取り入れたり、バンドサウンドを入れてきたりと、なかなかバラエティーに富んだユニークな構成もおもしろいところ。ポップなメロもしっかりと流れており、いい意味での聴きやすさも感じる作品でした。

評価:★★★★★

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