前作とは対照的
Title:Entering Heaven Alive
Musician:Jack White
ご存じThe White Stripeのギタリストとしてデビューし、ソロ活動後も様々な名曲を世に送り出し続けているJack White。今年4月にはアルバム「Fear of the Dawn」をリリースしたばかりですが、そこからわずか3ヶ月、早くもニューアルバムをリリースしました。もっとも、前作をリリースした段階で本作のリリースと、前作と合わせて2部作となるアナウンスはあったので、そういう意味でわかりきったリリースではあったのですが・・・1年のうちにフルアルバムを2作もリリースするあたり、彼の活動に勢いがあることを感じさせます。
その前作「Fear of the Dawn」ではゴリゴリのギターリフを前面に押し出したヘヴィーなロックを聴かせてくれました。いわばJack Whiteのパブリックイメージに沿ったアルバムであった、と言えるかもしれません。そして今回のアルバムは、前作とはある意味、対極的な位置にいるアルバムと言えるでしょう。アコースティックなサウンドをメインとしてゆっくり聴かせる楽曲がメイン。Jack Whiteのイメージからすると、若干意外性すら覚える作品かもしれません。
実際、アコギとピアノでしんみり聴かせる冒頭の「A Tip from You to Me」はどちらかというとフォークソングの様相が強い作品に。さらに「All Along the Way」「Love is Selfish」はギターのアルペジオでしんみり聴かせる作品となっており、ギターをゴリゴリ聴かせるJack Whiteのイメージからは、かなりかけ離れたものとなっています。
中盤の「I've Got You Surrounded(With My Love)」は本作で唯一、歪んだギターサウンドを前に押し出した作品になっています。ただ、この曲に関しても、ちょっとレトロな雰囲気のロックを聴かせる作品に。後半も、力強いピアノを前面に押し出した「A Tree on Fire from Within」やフォーキーに聴かせる「Please God,Don't Tell Anyone」など、アコースティックな雰囲気でフォーキーに聴かせる作品がメインのアルバムとなっています。
ただ、そんな聴かせるアルバムでありつつ、物足りなさはほとんど感じませんでした。フォーキーな作品ですが、その根底にはJack Whiteらしい、しっかりとルーツミュージックを土台として積み上げた音楽性をしっかりと感じられます。また、メロディーラインはしっかりとポップにまとまっており印象的。なによりもJack Whiteのメロディーメイカーとしての実力を感じさせるアルバムになっていました。
前作「Fear of the Dawn」とは対照的な作品でしたが、この前作と本作を合わせて、Jack Whiteというミュージシャンがそのようなミュージシャンなのか、しっかり理解できるようになっていた作品だったと思います。そういう意味でも、この2枚の作品を2部作としてリリースするJack Whiteの意図もよくわかるような気がしました。この2作品、両方とも合わせて、お勧めです。
評価:★★★★★
Jack White 過去の作品
BLUNDERBUSS
Lazaretto
Boarding House Reach
Fear of the Dawn
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