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2022年9月13日 (火)

これが「ラスト」というのは残念・・・

Title:ブリトラ埋蔵金ファイナル
Musician:ブリーフ&トランクス

「半径5メートル以内の日常生活」をテーマに、ユーモラスな楽曲をフォーキーに歌うデゥオ、ブリーフ&トランクス。2000年に解散後、2012年に再結成。以降、コンスタントな活動を続けていたのですが、メンバーの細根誠が花屋に専念するために脱退を表明。今後は伊藤多賀之のソロユニットとして活動を続けていくそうですが、2人での活動は残念ながら、このアルバムがラストとなります。

せっかく活動を再開したのに、また脱退しちゃうのかぁ・・・とかなり残念に思うのですが、彼らの最初にメジャーデビューした1998年から最初の解散2000年までがわずか3年。一方、再結成からは既に10年の月日が経過しており、なにげに最初の活動よりも再結成後の活動の方がはるかに長く活動を行っている事実に、軽く衝撃を覚えました。年ととると、やはり時間がたつのが短く感じてしまいんですね・・・。

さて、本作はそんな彼らの2人としてはラストとなるアルバム。2019年にリリースした「ブリトラ埋蔵金」の続編となるような作品で、主に伊藤多賀之のソロ時代の作品をブリトラとして再録音した作品になっているそうです。おそらく細根誠が脱退する前に、伊藤ソロ作をブリトラとして録っておきたいという意図があったのでしょう。しかし、正直言って、これを作品として発表してよかったの?というような、かなり残念な作品になっていました。

まずなんといってもネタとして練り切れていないまま発表された作品があまりにも目立ちます。全21曲中6曲もデモ音源が収録されているのですが、いずれも楽曲として完成されておらず、ひとつのネタを軽く曲にのせた程度であり、オチもありません。特に「節電屋敷(Demo)」はネタ的にもブリトラらしいのですが、オチがなく宙ぶらりんの状態なので、聴いていてかなり物足りなさを感じます。

「ものまねアワー2022」も、単なる似てるかどうかわからないものまねをし合うだけのかなり内輪ネタ的な要素が強い曲で、「マニア向けの曲」と紹介されていますが、それ以前にプロとしてこういう作品を世に出すのはどうなんだろう?また、かなり気になったのが「メンズ差別」で、日常で女性が優遇されている、と思われるシーンを描写しているのですが、これ、反フェミニズムをこじらせた一部のネット住民がネット上で主張しているようなネタみたいで、「単なるネタだよ」と言われればその通りかもしれないのですが、かなり微妙に感じます。正直、ブリトラっていままでも、女性の外見をネタにするような曲もあって、薄く男女差別的な部分を感じないわけでもなかっただけにかなり気になりました。このアルバムでも「抱かれて3万円(Demo)」とかも、若干女性蔑視的な視点が入っているし。

曲によっては二番煎じ的な部分はあるものの「かかとスケスケ」だとか「スペアキー」みたいにブリトラらしいユニークな視点で日常を描いたコミカルな曲も少なくはないものの、オリジナルアルバムの1枚としてリリースするには、ネタの練りこみ不足が目立ち、かなり微妙な作品になっていたように感じます。こういうアルバムはファンクラブ限定とかでリリースするか、例えばファンへのサービスとして無料ダウンロードみたいな形でリリースすべきだったのでは?ブリトラが2人のうちにリリースしておきたかった、という趣旨はわからなくもないのですが、最後がこれ、というのはかなり残念に感じてしまいました。特に前作「パペピプペロペロ」はネタとしてかなり切れ味の優れた傑作だっただけに、最後に1から、純然たるブリトラのオリジナルアルバムを聴きたかったなぁ。

2人での作品としては、あとラストライブの模様を収録した作品がリリースされるそうなので、そちらには期待したいところ。また、伊藤多賀之のネタとしては脂にのっているようですので、今後のソロプロジェクトとしてのブリトラにも期待したいところです。ブリトラとしての名前を残して置く、ということはひょっとしたら単発的に細根誠の復活もありえるかもしれませんし。また、細根誠の花屋としての今後の活躍にもエールをおくりつつ、3年+10年以上にわたって、ユニークな曲を届けてくれて、どうもありがとうございました。

評価:★★★

ブリーフ&トランクス 過去の作品
グッジョブベイベー
ブリトラ道中膝栗毛
ブリトラ依存症
手のひらを満月に
ブリトラBESTバイブルⅠ~家族で聴いても恥ずかしくない曲集~
ブリトラBESTバイブルⅡ~ひとりでこっそり聴いた方がいい曲集~
ブリトラ埋蔵金
パペピプペロペロ

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