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2022年8月10日 (水)

リアムのボーカリストとしての魅力を感じる2作

今年6月、oasisが1996年にライブを行い、大きな話題となったネプワースの舞台に、ソロとして再び立つなど、ソロミュージシャンとしても活躍を続ける元oasisのご存じリアム・ギャラガー。oasis解散後は、直後に結成したビーディ・アイの評価も決して高くなく、当初はお兄ちゃんに後れを取っていた感はあったのですが、ここ最近、徐々に人気をあげ、ソロミュージシャンとしても確固たる地位を築きつつあります。

そんな彼が、2020年12月にロンドン・テムズ川で行ったストリーミングライブのライブ音源を収録したライブアルバムがリリースされました。

Title:Down by the River Thames
Musician:Liam Gallagher

このライブアルバムの大きな特徴は、彼のソロ時代の作品もoasis時代の作品も、惜しみなく披露している点。1曲目はいきなり「Hello」からスタートしていますし、前半は「Columbia」「Fade Away」とoasis時代の代表曲を連発しますし、さらに後半は「Morning Glory」「Cigarettes&Alcohol」「Supersonic」「Champagne Spernova」と、これまたoasisの代表曲が連発されます。「Champagne Supernova」では、ギターでしんみり聴かせる原曲と異なり、ピアノを用いたアレンジとなっており、原曲とはまたことなる魅力を感じる作品になっています。

さらに「Headshrinker」なんていう、シングルのB面集「The Masterplan」収録の曲(もともとはシングル「Some Might Say」のカップリング)まで収録。知る人ぞ知る的な曲まで登場してきます。

一方ではそんなoasisの名曲の間にはリアムのソロ曲も登場。序盤の「Hello」に続いて「Wall of Glass」「Halo」など登場。数多くのoasisの代表曲に続けてラストに登場するのは、これまたリアムのソロ曲「All You're Dreaming Of」で締めくくられています。oasisの曲とリアムのソロ曲が並んでいることによって、どうだ、俺の曲もoasis(ノエル)の曲に負けていないだろう、というリアムの主張を感じさせます。

確かにリアムソロ曲も十分魅力的なのは間違いありません。疾走感あるロックチューンである「Halo」にしろ、バラードナンバーにしろ「All You're Dreaming Of」にしろ、十分なインパクトのある楽曲ですし、リアムの魅力もしっかりと出している楽曲に仕上がっています。ただ、それでも思ってしまうことは、やはりoasisの曲はあらためて名曲ばかりだな・・・ということでした。

そして、またあらためて感じるのはボーカリストとしてのリアム・ギャラガーの魅力。リアムソロ曲ももちろんなのですが、彼の、しゃがれ声ながらも力強く、そしてどこか色っぽさを感じさせるがあるからこそ、リアムソロ曲はもちろん、oasis曲も含めて、その魅力が100%発揮されるんだろうなぁ、ということを強く感じました。

評価:★★★★★

そんなライブアルバムと同日リリースとなったのが、リアム・ギャラガーソロ名義で3枚目となるオリジナルアルバムです。

Title:C'MON YOU KNOW
Musician:Liam Gallagher

当然のごとく全英チャートで1位を獲得した本作。子供のコーラスをバックに、荘厳な雰囲気でスタートする1曲目「More Power」からスタートし、2曲目はギターサウンドで軽快に、ちょっとメランコリックなメロも魅力的な「Diamond In The Dark」へと展開。ここ最近の彼の勢いを背景としたようなインパクトある曲が続き、正直、ソロデビュー後、個人的にはいまひとつピンと来なかった彼のソロアルバムの中では、かなり期待できるスタートとはなっていました。

ただ、その後に関しては、残念ながらいまひとつ尻すぼみ気味だった点が否めません。今回のアルバムの大きな特徴として、様々な作風の曲が収録されていたという点でした。ストリングスも入って伸びやかに歌い上げる「Too Good For Giving Up」や、カントリー風の「World's In Need」、ストリングスでゆったりとした雰囲気で聴かせる「Oh Sweet Children」など、バリエーション豊富。ラストの「Wave」はリアムらしいギターリフを入れた力強いロックチューンになっていますが、全体的にはストリングスを入れて分厚くしたサウンドが特徴的の作風に仕上がっています。

ノエルが様々な作風に挑戦した時には、それを揶揄するような発言をしていたのですが、彼自身がこのように様々な作風に挑戦しているという点、やはりお兄ちゃんがうらやましかったんだろうなぁ、と相変わらず素直になれないリアムらしさを感じたのですが(笑)、ただ、残念ながらそれが成功しているかというと、かなり微妙な感じが。特に、いろいろとストリングスを放り込んできて、分厚くしたアレンジは、ある意味、J-POP的な感じすらしますし、そのJ-POPと同様、少々大味という印象も受けてしまいました。

同時リリースのライブ盤とほぼ同時に聴いたということから特に感じてしまうのですが、やはりoasis時代の曲に比べて物足りなさは否めませんでした・・・。決して悪いアルバムではないですし、なによりもリアムのそのボーカルは、ボーカルだけで十分すぎるほど魅力的なのですが、あらためてリアムのボーカル&ノエルの作曲というoasisのタッグは本当に奇跡的だったんだな、ということを感じてしまいます。変なプライドを捨てて、素直にoasisを再結成してほしいと感じてしまうのですが・・・ただ人気面では絶好調なだけに、今はちょっと難しいのかなぁ。

評価:★★★★

Liam Gallagher 過去の作品
AS YOU WERE
Why Me?Why not.
Acoustic Sessions
MTV Unplugged(Live At Hull City Hall)

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