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2022年8月 9日 (火)

どちらかというと90年代J-POPを彷彿

Title:FREEDOM!
Musician:ベッド・イン

90年代バブルの空気をそのまま現在に再現した、「地下セクシーアイドルユニット」ベッド・イン。ちょっと意外なことに、既に結成10年が経過した中堅ユニットで、本作は結成10周年の記念アルバムだそうです。ちょっと意外なことに、約4年半ぶりとなるちょっと久々のニューアルバム。この間リリースされたのが、ロックをテーマとしたミニアルバム「ROCK」と、カバーアルバムでしたので、純粋なオリジナルとしては久々、ということになるのでしょう。

その直近でリリースされたミニアルバム「ROCK」は、タイトル通り、80年代後半のバンドブームから90年代のJ-POPあたりをモチーフとしたロックな作品となっていました。今回のアルバムは、その影響でしょうか、前作「TOKYO」以上に、ロック路線の強い作風となっています。さらにロックといっても、どちらかというと90年代J-POPをイメージさせるようなサウンド。いきなり1曲目に来るタイトルチューンの「FREEDOM!」に2曲目「女神-GODDESS-」はいずれもハードロックテイストの強い作品で、バブル期のイメージというよりも、どちらかというと90年代J-POPをイメージさせます。「GALAXY POLICE~夜を飛び越えて~」も、最初の打ち込みは小室系(というよりはTWO-MIXあたりを思い出した・・・)。イントロでメランコリックな男性ボーカルが入ってくるのも、完全にglobeのパロディーですね。

後半の「君にこの愛を」なんかも、こちらも爽やかなメロディーラインといい、「Wow Wow」と盛り上げさせるパターンと言い、完全にバンドブームあたりの楽曲のパロディー。個人的にはピンクサファイヤあたりを彷彿とさせました。バブル絶頂期というよりも、むしろバブルが崩壊してきた90年代前半をイメージさせる作風は、個人的にちょうど中高生あたりによく聴いていた楽曲を思い出させてくれます。アラフォーもしくはもっと上のアラフィフ世代にとっては、ノスタルジックなイメージを彷彿とさせるのではないでしょうか。

歌詞にしても「Midnight Taxi」とのような、真夜中にタクシーを走らせるイメージといい、「シャンパンみたいな恋」と、恋をシャンパンに例えているあたり、バブリーな感じを彷彿とはさせるのですが、前作「TOKYO」ほどは、バブルな単語や80年代パロディーをこれでもかというほど並べている感じはありません。

ただラストの「Congratulations!~ウチらハイパー☆バブル~」はバブルを意識した作品で、「ポケベル」「5時から男」みたいな、バブルを彷彿とさせる単語が並びつつ、サウンドもユーロビート。バブルの空気を今に再現したような、彼女たちらしい作品に仕上がっていました(まあ「ポケベル」も最盛期はバブル崩壊後なのですが・・・)。

終始バブル期のパロディーを意図した「TOKYO」に比べると、どちらかというとバブルばかりを意識するのではなく、80年代から90年代のサウンドを再現しようとした作品になっていた本作。40代半ばの私くらいの世代にとっては、非常に懐かしさを感じさせるアルバムだったのではないでしょうか。前作「TOKYO」のようなパロディーという側面に関しては、ちょっとおもしろさが薄れてしまった感も否めないのですが、90年代J-POPに若い頃に慣れ親しんだ層なら、懐かしさを感じつつ楽しめるアルバムではないでしょうか。彼女たちはライブが最高に楽しいのですが、この曲も是非、ライブでも聴いてみたいなぁ。

評価:★★★★

ベッド・イン 過去の作品
TOKYO
Endless Bubble~Cover Songs vol.1~
ROCK


ほかに聴いたアルバム

Break and Cross the Walls II/MAN WITH A MISSION

昨年11月にリリースしたアルバム「Break and Cross the Walls Ⅰ」に続く連作アルバム第2弾。今回もアレンジャーに大島こうすけや、前作に引き続きBoom Boom Satellitesの中野雅之が参加。英語詞の曲と日本語詞の曲がほぼ交互に並ぶ内容となっています。彼らの作品は、前作は間違いなく傑作でしたし、ここ最近、出来のよい作品が続いていたのですが、今回の作品は曲のよってカッコいい作品と平凡な作品の差が大きかったのが、残念ながら以前の彼らに戻ってしまった感も。概して英語詞の曲は疾走感あるロックでかっこよかったのに対して、日本語詞の曲にかんしては平凡なJ-POPという印象が・・・。悪いアルバムではなかったのですが、前作が傑作だっただけに期待していたのですが、ちょっと惜しい感じのする1枚でした。

評価:★★★★

MAN WITH A MISSION 過去の作品
Trick or Treat e.p.
MASH UP THE WORLD
Beef Chicken Pork
Tales of Purefly

5 Years 5 Wolves 5 Souls
The World's on Fire
Out of Control(MAN WITH A MISSION x Zebrahead)
Dead End in Tokyo European Edition
Chasing the Horizon
MAN WITH A "B-SIDES & COVERS" MISSION
MAN WITH A "REMIX" MISSION
MAN WITH A "BEST" MISSION
ONE WISH e.p.
Break and Cross the Walls Ⅰ

あたらしいともだち/GOING UNDER GROUND

現在は事務所を離れ、バンド運営をメンバーのみで行っているというGOING UNDER GROUNDのニューアルバム。そのため本作は、CDは基本的にライブ会場や通販のみでの販売。ただし、サブスク等の配信は行っているので、配信を通じて比較的容易にチェックすることが出来るのはうれしい限り。事務所を離れて本当の意味でのインディーな活動を行っている彼らですが、楽曲の内容はいつも通りのGOING UNDER GROUND。どこかノスタルジックな雰囲気漂うメロディーラインと歌詞に、ほどよく分厚くノイジーなバンドサウンドという、彼ららしいスタイルは以前から全く変わりません。結果として若干「大いなるマンネリ」的になっている部分は否めませんが、それを差し引いても彼ららしい良質なポップアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

GOING UNDER GROUND 過去の作品
おやすみモンスター
COMPLETE SINGLE COLLECTION 1998-2008
LUCKY STAR
稲川くん
Roots&Routes
Out Of Blue
真夏の目撃者
FILM
ALL TIME BEST~20th STORY + LOVE + SONG~

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