デビュー35周年映画のサントラ的アルバム
Title:SQUARE,TRIANGLE,CIRCLE&FUTURE
Musician:OUTRAGE
名古屋を拠点に活動を行っている、現在4人組みのスラッシュメタルバンド、OUTRAGE。1982年に結成後、1987年にインディーで、さらに翌年にはメジャーデビュー。その後、1991年にリリースされた4thアルバム「The Final Day」は日本国内のみならず海外でもリリースされるなど、高い評価を受けたそうです。その後も活動の場をインディーズに戻したり、ボーカルの橋本直樹が一時的に脱退するなど、紆余曲折を経ながら現在も活動を続けて、先日、デビュー35周年を記念した映画「鋼音色の空の彼方へ」が公開されました。本作は、その映画に合わせてリリースされたアルバム。劇中に流れる、メンバー選曲による音源がメインであるものの、新曲であり、同映画のテーマ曲「Phycho Flowers」「Summer Rain」が収録されているほか、インディーデビュー前というかなり貴重なデモ音源、さらにはメジャーデビュー直後のライブ音源も収録されているという、かなり貴重な音源集となっています。
個人的にメタルというジャンルはほとんど聴かないですし、OUTRAGEというバンドにもほとんど思い入れはありませんでした。ただ、この映画「鋼音色の空の彼方へ」は気になり、実際に映画館に見に行き、その内容をすっかり気に入ってしまったことは、以前、このサイトでも取り上げた通り。当然、それに引き続いて、サントラ的にリリースされたこのアルバムも聴いてみました。
映画は気に入った、とはいえ、メタルというジャンル自体はさほど好んで聴くタイプではないため、最初はそれなりに身構えて聴き始めました。しかし1曲目であり、新曲「Phycho Flowers」は疾走感あるハードロックテイストの要素も多分に含まれており、思っていたよりも聴きやすく、また、もともと彼らの演っているスラッシュ・メタルというジャンル自体、ヘヴィーメタルにハードコア的な要素も加えたようなジャンルだそうで、比較的ハードコアの要素も強く、そういう意味でも抵抗感なく楽しめることが出来ました。
また、映画のテーマ曲でもう1つの新曲「Summer Rain」も非常にスケール感の大きなバラードナンバーとなっていますし、「Great Blue」のようなメランコリックに聴かせる楽曲もあったりと、バンドとしてのバリエーションも感じさせます。また選曲的にはインディーデビュー作に収録されている「Under Control Of Law」や、デビュー前の同曲のデモ音源をはじめ、バンドの初期の作品も少なくありませんが、今の曲と聴いても見劣りありません。デビュー直後からバンドとして完成されていたんだな、ということを感じさせます。
とはいえもっとも、メタルバンドゆえの、いかにもメタリックな様式美的なサウンドも少なくありませんし、個人的にはまったかといわれると、若干違和感を覚えた部分も少なくはありません。まあ、ここらへんは個人的な好みの部分も大きいのですが・・・。ただ、名古屋が誇る実力派バンドのひとつであることは間違いないでしょう。デビューから35周年で既に大ベテランの彼らですが、その活躍はまだまだ続きそうです。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
Anniversary/Special Others
デビュー15周年を迎えたSpecial Othersが、15周年イヤーの最後を締めくくるべくリリースした8枚目となるオリジナルアルバム。エレピとギターを用いたメロディアスなセッションは基本的にスペアザらしい作品。終始メロディアスで楽しい雰囲気の楽曲が多く、最初から最後まで楽しめる作品に。ちょっとバラエティーに乏しい感じも否めないのですが、ただライブでは終始楽しめそうだなということを感じる作品でした。
評価:★★★★
SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE
SPECIAL OTHERS
Have a Nice Day
Live at 日本武道館 130629~SPE SUMMIT 2013~
LIGHT(SPECIAL OTHERS ACOUSTIC)
WINDOW
SPECIAL OTHERS II
Telepathy(SPECIAL OTHERS ACOUSTIC)
WAVE
COVER JUNGLE 1/T字路s
ブルースデゥオT字路sによる、タイトル通りのカバーアルバム。「三百六十五歩のマーチ」「星影の小径」「愛のメモリー」など歌謡曲のスタンダードやRCサクセションの「スローバラード」、さらにはかなり意外なところではTheピーズ「そばにいたい」やザ・クロマニヨンズ「ユウマヅメ」といったカバーにも挑戦しています。ブルースというイメージからするとちょっと意外性のある選曲もあるのですが、ギターやホーン、サックスなどシンプルな哀愁感たっぷりのサウンドもさることながら、伊東妙子のパワフルなボーカルも印象的。彼女たちらしい、独特の哀愁感たっぷりのカバーに仕上がっていました。
評価:★★★★★
T字路s 過去の作品
PIT VIPER BLUES
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