WEEZERに夏を感じる
Title:SZNZ:SUMMER
Musician:Weezer
日本でも高い人気を誇るアメリカのパワーポップバンド、WEEZERの7曲入り新作EP。前回も紹介しましたが、四季の節目に合わせて4枚のEPシリーズ「SZNZ」をリリース。前回、春分の日に第1弾「SZNZ:Spring」をリリースしましたが、6月21日夏至の日に第2弾アルバム「SZNZ:Summer」がリリースされました。「サプライズリリース」という紹介記事もありましたが、ある意味、予定通りのリリースです。
今回のアルバムは、インスピレーションの源のひとつとして、ヴィヴァルディの「四季」があげられていました。前作「Spring」では、日本人にもおなじみヴィヴァルディ「四季」のうち、第1番「春」の第1楽章という、もっとも世に知られているフレーズがつかわれましたが、今回も1曲目「Lawn Chair」もヴィヴァルディの「四季」のフレーズからスタートします・・・スタートするのですが、なぜか使われているのは「夏」ではなく、第4番「冬」の第2楽章。日本ではかつて「白い道」という名前で歌詞がつけられてNHK「みんなのうた」でもカバーされたことあるので、おなじみの方も少なくないでしょう。ただ、どちらかというと優しく暖かい雰囲気の、いかにも「冬」といったイメージのこの曲を、なぜ「夏」で取り上げる???
もっとも、この曲をギターアレンジでポップでまとめあげた後は、いつも通りのWEEZER節とも言える、バンドサウンドにポップでキュートなメロディーラインというスタイルの曲が続きます。続く「Records」はまさにそんなWEEZERらしい分厚いバンドサウンドが特徴的。「Blue Like Jazz」は、タイトルとは異なりジャズ的な要素はなく、かなり不穏で哀しげな雰囲気のメロとダイナミックなサウンドを聴かせる楽曲に。「The Opposite Of Me」もWEEZERらしい分厚いバンドサウンドで疾走感あるメロディーと、WEEZERらしい曲が続きます。
その後もオーケストラアレンジからスタートしつつも、楽曲がスタートするといつものWEEZER路線の「What's The Good Of Being Good」。メランコリックなメロディーラインがポップでインパクトある「Cuomoville」(途中、転調するあたり、微妙にJ-POPからの影響も?)と続き、ラストを締めくくる「Thank You and Good Night」はWEEZER好きにはたまらない疾走感あるロックサウンドにキュートなメロディーが載る陽気なポップスロックチューン。最後までWEEZERらしい作品が並んでいます。
そんな感じで、前作WEEZERらしいパワーポップが続いた本作ですが、全体的に爽やかさを感じた前作と比べて、今回はやはり「夏」というイメージだからでしょうか、分厚いサウンドで塗り固められたような、そんな印象を受ける作品になっていました。そのためもあってか、少々、アルバム全体としてはサウンドがひとつの音の塊みたいに耳に入ってきてしまっており、イメージとしてのべっとした作風になってしまったようにも感じます。サウンドとしては少々抜けが悪いような印象でしょうか。正直なところ、少々野暮ったさも感じてしまいました。
WEEZERらしさは感じられる作品なのですが、よく出来ていたかというと「悪くはないけど・・・」といった感のある微妙な作風だったように思います。悪いアルバムではないのですが、ここ最近、良作が続いていただけにちょっと残念。おそらく次は秋分の日に「Autumn」がリリースされるのでしょうが、そちらに期待したいところ。さて、そちらの出来栄えは・・・?
評価:★★★★
WEEZER 過去の作品
WEEZER(Red Album)
RADITUDE
HURLEY
DEATH TO FALSE METAL
Everything Will Be Alright in the End
WEEZER(White Album)
Pacific Daydream
Weezer(Teal Album)
Weezer(Black Album)
OK HUMAN
Van Weezer
SZNZ:SPRING
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