とにかく楽しい
Title:Life Is Yours
Musician:Foals
前作「Everything Not Saved Will Be Lost - Part 2」では自身初となる全英チャート1位を記録。また2020年にはBRITアワードを受賞するなど、名実ともにイギリスで国民的人気バンドとなった4人組ロックバンド、Foals。日本でも今年、4度目となるフジロック出演を果たし、さらにはグリース・ステージ出演と、日本でもその人気は着実に伸ばしつつあります。
そんな彼の、「Everything Not Saved Will Be Lost - Part 2」から約3年ぶりとなる本作。前作は2部構成となっており、「Part 1」は80年代ニューウェーヴの影響を受けたようなエレクトロポップ、「Part 2」はバンドサウンドを押し出したロック色の強い構成となっており、Foalsの音楽性の広さを感じさせる試みとなっていました。それに続く本作は、「Part 1」からの流れを感じる作品に。80年代のニューウェーヴの影響を強く受けた作品となっています。
1曲目のタイトルチューン「Life Is Yours」はまさにそんなニューウェーヴチューン。かなり底抜けに明るいエレクトロポップとなっていて、聴いていて素直にウキウキするポップスに。さらに続く「Wake Me Up」は軽快なダンスチューン。こちらも80年代色の強いエレクトロチューンとなっており、ある種のなつかしさすら感じます。3曲目「2am」も同じくテンポよいエレクトロチューンなのですが、こちらは少々メランコリック色を感じるメロディーが特徴的。この絶妙な哀愁感もまた、80年代の空気が感じられます。
その後も80年代的なニューウェーヴのエレクトロポップが並びます。「2001」はタイトルとは裏腹に、こちらも軽快な80年代的なダンスチューン。2001年がまだちょっと先の未来だった80年代っぽいレトロフューチャー風味も感じさせます。
基本的にミディアムチューンの「Flutter」を挟みつつも、後半も軽快なエレクトロポップの路線が続きます。同じく軽快でダンサナブルな「Looking High」や、メロウなメロディーラインにちょっとシティポップ的な要素も感じる「Crest of the Wave」などを挟み、トランシーでダンサナブルな「The Sound」はライブで盛り上がりそう。最後はニューウェーヴ以上にテクノ色が強い「Wild Green」で締めくくり。最後までエレクトロポップ路線を貫いたアルバムとなっています。
全編80年代ニューウェーヴの影響を強く感じる作品ということで、あの時代らしい陽気な雰囲気もアルバム全体から感じられる、聴いていて素直にウキウキしてくるアルバムになっていました。ただ、軽快で明るいエレクトロサウンドに耳を惹かれつつ、メロディーラインの美しさという面では前作の方が上だったなぁ。そのため、若干薄味に感じてしまった部分も否めませんでした。もっとも、その点を差し引いても十分すぎるほど楽しめるアルバム。楽しいポップなアルバムを難しいこと抜きに楽しみたい、という方にはうってつけの傑作です。
評価:★★★★★
FOALS 過去の作品
TOTAL LIFE FOREVER
Holy Fire
Everything Not Saved Will Be Lost Pt.1
Everything Not Saved Will Be Lost Pt.2
ほかに聴いたアルバム
Broken Hearts Club/Syd
もともとHIP HOPユニット、Odd Futureのメンバーとしても活躍していたアメリカ・ロサンジェルス出身のシンガーソングライター、Sydの2枚目となるアルバム。ウィスパー気味のボーカルで、ファルセットも上手くもちいつつ、美しく聴かせるメランコリックなメロディーラインが印象的。一方、エレクトロ主体のサウンドについては、ちょっとチープに感じる部分もあり、そこらへんが惜しさを感じました。
評価:★★★★
Remember Your North Star/Yaya Bey
アメリカはワシントンを拠点に活動をするシンガーソングライターでマルチアーティストのYaya Bey。エレピやオーガニックテイストのサウンドをバックに、メロウなソウル、HIP HOP、ジャズなどの要素も取り入れた楽曲をしんみりと聴かせてくれます。18曲入りながら全34分という長さのため展開も早く、様々なタイプの曲が次々と展開していくイメージ。しっかりと聴かせる大人の女性シンガーといったイメージの1枚です。
評価:★★★★★
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