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2022年8月

2022年8月31日 (水)

今週もAdoが快進撃

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週もまた、Adoの快進撃が続きますが、とりあえず1位は初登場曲でした。

今週1位初登場は日本の男性アイドルグループINI「Password」が獲得。オーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」から登場したグループ。CD販売数、ラジオオンエア数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数で1位を獲得。ダウンロード数5位、ストリーミング数15位、You Tube再生回数36位となり、総合順位で1位に。オリコン週間シングルランキングでは同曲を含むシングル「M(Password)」が初動売上49万5千枚で1位初登場。前作「I」の58万1千枚(1位)よりダウンしています。

そしてここからはAdoの快進撃。まずベスト3では、「新時代(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が先週からワンランクダウンの2位、「私が最強(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」もワンランクダウンの3位に。「新時代」はダウンロード数、ストリーミング数及びYou Tube再生回数が先週と変わらず1位、「私は最強」もストリーミング数が先週と変わらず2位に。ただダウンロード数は4位から6位、You Tube再生回数は8位から10位にダウンしています。これで「新時代」は12週連続のベスト10ヒット&4週連続のベスト3ヒットとなっています。

4位以下もAdoの曲がズラリ。4位に「逆光(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が先週と同順位をキープ。5位にも「ウタカタララバイ(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」がこちらも先週と同順位をキープしており、これで今週も2位から5位までAdoの曲がズラリと並んでいます。さらにあと1曲、「Tot Musica(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が6位からランクダウンしたものの8位にランクイン。これで今週もベスト10のうち5曲までがAdoの曲という快挙を成し遂げています。

特にストリーミング数で「逆光」3位、「ウタカタララバイ」4位は先週から変わらず。ストリーミング数では1位から4位までAdoの曲が並んでおり、こちらが大ヒットの大きな要因となっています。ただ、先週ベスト10入りしてきた「風のゆくえ(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」は今週11位にダウン。残念ながら2週連続の6曲同時ランクインはなりませんでした。

一方、4位以下ですが、初登場は1曲のみ。10位に韓国の女性アイドルグループBLACKPINKの配信限定シングル「Pink Venom」がランクイン。You Tube再生回数で2位を獲得したほか、ラジオオンエア数で7位にランクイン。ただしダウンロード数は26位、ストリーミング数及びTwitterつぶやき数は14位に留まり、総合順位もこの位置となりました。

またロングヒット曲ですが、先週9位までダウンして、ここまでかと思われたTani Yuuki「W / X / Y」は今週6位に再度ランクアップ。特にストリーミング数が6位から5位と再度ランクアップしています。これで21週連続のベスト10ヒットとなりました。

SEKAI NO OWARI「Habit」は先週から変わらず7位をキープ。この曲のヒットの最大の要因だったYou Tube再生回数が7位から9位にダウンと、徐々に下落してきていますが、一方、ストリーミング数は先週と変わらず8位をキープしています。これでベスト10ヒットは16週連続になります。

セカオワとデッドヒートを繰り広げていたOfficial髭男dism「ミックスナッツ」は8位から9位にダウンと、若干差がついてしまいました。ただストリーミング数は先週と変わらず7位をキープと、まだ底力を感じます。これで20週連続のベスト10ヒットとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2022年8月30日 (火)

偉大な2人のミュージシャンの共演

Title:Carry Me Home
Musician:Mavis Staples&Levon Helm

もともとザ・ステイプルス・シンガーズの一員として知られ、齢80歳を超えた今でも精力的な活動を続ける女性ボーカリスト、メイヴィス・ステイプルズ。この年になっても数年に1度、アルバムをリリースし続けるなど、現役の活動を続ける彼女ですが、本作は、もともと2011年に、The Bandのドラマー、リヴォン・ヘルムと録音したアルバム。もともと、The Bandの名盤「ラスト・ワルツ」で共演したこともある2人は、40年近く、友人関係にあったとか。このアルバムを録音して約1年後、ヘルムは亡くなってしまい、残念ながら本作が彼にとって最後の録音音源となりました。その後、10年以上、お蔵入りになっていた理由は不明なのですが、このたびようやく音源としてリリースされたのが本作となります。

今回のアルバムは基本的にカバーアルバムとなり、ザ・ステイプル・シンガーズや、リヴォン・ヘルムの曲をセルフカバーしているほか、ニーナ・シモンの「I Wish I Knew How It Would Feel to Be Free」や、ローリング・ストーンズも演奏した「You Got to Move」、ボブ・ディランの「You Got to Serve Somebody」、The Bandの「The Weight」などもカバーしています。ただ、基本的にはメイヴィスのボーカルを軸として、バンドセッションにホーン、コーラスを取り入れた正統派サザン・ソウル的なカバー。カバーは前述の通り、ロックやフォークなどを取り入れつつも、どの曲も、ソウル、ブルース風のカバーに仕上げられています。

そのためこのアルバムで最大の魅力となっているのは、なによりもメイヴィス・ステイプルズのボーカル。彼女のアルバムはここのサイトでも何度も取り上げているのですが、(失礼ながら)その体格を生かした非常にパワフルなボーカルを聴かせてくれる一方で、やさしく繊細な歌声も聴かせてくれ、緩急つけた表現力豊かなボーカルが非常に魅力的。このアルバムでもそんな彼女のボーカルの魅力がいかんなく発揮されています。

1曲目「This Is My Country」から、まさにそんなメイヴィスのボーカリストとしての魅力がさく裂した楽曲に。比較的落ち着いて聴かせるボーカルながらも、所々にパワフルなこぶしを効いたボーカルが登場してきます。「Hand Writing On The Wall」も軽快なカントリー風のアレンジながらも、こぶしをきいたパワフルなボーカルが大きな魅力。かと思えば、しんみり聴かせるブルース風の「Move Along Train」では低音部をしっかりと静かに聴かせてくれており、このしっかりと楽曲を低音で支えるボーカルに彼女の底力を感じます。

最後の「The Weight」でも様々なゲストがボーカルとして参加し、にぎやかな雰囲気を醸し出しますが、最後の締めはやはり、彼女の力強いパワフルなボーカルで締めくくり。まさに大団円という名前にふさわしいラストとなっています。

そしてもう一方の本作の主役であるリヴォン・ヘルム。メイヴィスの力強いボーカルが目立つため、パッと聴いた感じ、決して目立たないのですが、それでもドラムとしてアルバムの屋台骨をしっかりと支えています。特に「This May Be The Last Time」ではミディアムテンポながらもドラムスでしっかりとしたグルーヴを作り出しており、彼の実力を感じせせます。これが彼にとって最後の録音となってしまったのですが、この時点において、ドラマーとしての衰えは全く感じられませんでした。

今となっては非常に貴重な音源となった本作。レジェンドともいえる2人のミュージシャンの共演という貴重な本作で、ロックリスナー、ソウルリスナーともに聴く価値のある素晴らしい内容となっていました。これが最後の共演となってしまったというのは今さらながら非常に残念なのですが、偉大なる2人のミュージシャンの共演に心から酔いしれることが出来る、そんなアルバムでした。

評価:★★★★★

Mavis Staples 過去の作品
One True Vine
If All I Was Was Black
Live In London
We Get By


ほかに聴いたアルバム

Meet The Moonlight/Jack Johnson

サーフ・ミュージックの第一人者、Jack Johnsonによる約5年ぶりのニューアルバム。ちょっと意外なことに今回は、Alabama ShakesやJohn LegendなどのプロデューサーもつとまえたBlake Millsをプロデューサーに起用した作品に。ただ基本的にはギターをメインとしたオーガニックな雰囲気のサウンドで暖かく聴かせるというスタイルに大きな変化はなく、彼の良質なサーフ・ロックを楽しめる作品になっています。メランコリックに聴かせるメロディーも魅力的で、いい意味で安心して聴ける1枚でした。

評価:★★★★

Jack Johnson 過去の作品
SLEEP THROUGH THE STATIC
To The Sea
All The Light Above It Too
The Essentials

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2022年8月29日 (月)

ボカロP時代の曲をカバー

Title:MEMORIES2
Musician:ネクライトーキー

ポップスバンド、ネクライトーキーのニューアルバムは全8曲入りのミニアルバム。ネクライトーキーといえば、もともと「石風呂」名義でボカロPとして活躍していた朝日が、「石風呂」での楽曲をバンドで演奏するためにはじめたバンドだとか。本作は、その朝日が、ボカロP「石風呂」名義で発表した曲を、ネクライトーキーがカバーしたアルバム。インディーズ時代の2019年に第1弾がリリースされており、本作はその第2弾アルバムとなるそうです。

個人的に今回のアルバムで一番うれしいかったのが1曲目「君はいなせなガール」で、元東京カランコロンのせんせいこと日本松ひとみがボーカルとして参加しています。もともと朝日がこの頃、東京カランコロンの曲をよく聴いており、この曲も、ボーカルとしてせんせいをイメージして作られた曲だとか。個人的にここでもよく取り上げていたとおり、東京カランコロンは大好きなバンドだったのですが、ネクライトーキーも東京カランコロンの影響を受けていたバンドだったとは・・・。どちらもいい意味で底抜けに明るいポップソングを奏でるバンドなだけに共通項も強く感じます。

この曲に限らず、ほかの曲もネクライトーキーらしい、陽気で楽しいポップソングばかり。前述の通り、もともとネクライトーキーが石風呂の曲を歌うために結成されたバンドなだけに当たり前なのですが、ネクライトーキーの曲として全く違和感もありませんし、曲調とボーカルもっさの声質もピッタリとマッチしています。「ロック屋さんのぐだぐだ毎日」みたいなバンドサウンドを力強く聴かせつつコミカルに聴かせる曲も、ネクライトーキーらしさを感じますし、「午前3時のヘッドフォン」「壊れぬハートが欲しいのだ」のような分厚いバンドサウンドを押し出したギターロックチューンなどは、ロックバンドによるカバーならではといった感じもします。

ポエトリーリーディング的な要素を入れた「深夜の街にて」ような曲もはさみつつ、最後の「だれかとぼくら」もダイナミックなバンドサウンドを入れつつ、メロディアスでポップなメロと力強いボーカルが印象的。最後まで石風呂こと朝日の書く、底抜けに楽しくポップなメロディーラインに、バンドの奏でる明るくも分厚いバンドサウンド、そしてもっさのアニメ声っぽさも感じるかわいらしいボーカルがピッタリとマッチした曲が並びます。ネクライトーキーの曲として文句なし楽しめるアルバムでした。

個人的に直近のオリジナルアルバム「FREAK」ですっかりネクライトーキーにはまってしまったのですが、今回のアルバムでよりネクライトーキーの魅力を強く感じることが出来ました。そして個人的には東京カランコロンとのつながりを知れたこともうれしかった・・・。これからの彼女たちの活躍も楽しみになるミニアルバムでした。

評価:★★★★★

ネクライトーキー 過去の作品
FREAK


ほかに聴いたアルバム

ミックスナッツEP/Official髭男dism

現在、大ヒット中の「ミックスナッツ」を含む、ヒゲダンの4曲入りのEP。表題曲はジャズの要素をしっかりと入れつつ、幅広くアピールできるインパクトあるポップチューンにまとめているあたりヒゲダンの力量を感じます。微妙に複雑なコード進行に耳が惹かれる「Anarchy」に、ピアノとホーンで楽しくまとめたポップチューン「Choral A」、そしてちょっとジャジーな要素を入れつつメロウに聴かせる「破顔」まで、それぞれヒゲダンの魅力をしっかりと感じられる曲が並びます。まだまだ彼らの勢いを感じさせるEPでした。

評価:★★★★

Official髭男dism 過去の作品
エスカパレード
Traveler
TSUTAYA RENTAL SELECTION 2015-2018
Official髭男dism one-man tour 2019@日本武道館
Traveler-Instrumentals-
HELLO EP
Editorial

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2022年8月28日 (日)

WEEZERに夏を感じる

Title:SZNZ:SUMMER
Musician:Weezer

日本でも高い人気を誇るアメリカのパワーポップバンド、WEEZERの7曲入り新作EP。前回も紹介しましたが、四季の節目に合わせて4枚のEPシリーズ「SZNZ」をリリース。前回、春分の日に第1弾「SZNZ:Spring」をリリースしましたが、6月21日夏至の日に第2弾アルバム「SZNZ:Summer」がリリースされました。「サプライズリリース」という紹介記事もありましたが、ある意味、予定通りのリリースです。

今回のアルバムは、インスピレーションの源のひとつとして、ヴィヴァルディの「四季」があげられていました。前作「Spring」では、日本人にもおなじみヴィヴァルディ「四季」のうち、第1番「春」の第1楽章という、もっとも世に知られているフレーズがつかわれましたが、今回も1曲目「Lawn Chair」もヴィヴァルディの「四季」のフレーズからスタートします・・・スタートするのですが、なぜか使われているのは「夏」ではなく、第4番「冬」の第2楽章。日本ではかつて「白い道」という名前で歌詞がつけられてNHK「みんなのうた」でもカバーされたことあるので、おなじみの方も少なくないでしょう。ただ、どちらかというと優しく暖かい雰囲気の、いかにも「冬」といったイメージのこの曲を、なぜ「夏」で取り上げる???

もっとも、この曲をギターアレンジでポップでまとめあげた後は、いつも通りのWEEZER節とも言える、バンドサウンドにポップでキュートなメロディーラインというスタイルの曲が続きます。続く「Records」はまさにそんなWEEZERらしい分厚いバンドサウンドが特徴的。「Blue Like Jazz」は、タイトルとは異なりジャズ的な要素はなく、かなり不穏で哀しげな雰囲気のメロとダイナミックなサウンドを聴かせる楽曲に。「The Opposite Of Me」もWEEZERらしい分厚いバンドサウンドで疾走感あるメロディーと、WEEZERらしい曲が続きます。

その後もオーケストラアレンジからスタートしつつも、楽曲がスタートするといつものWEEZER路線の「What's The Good Of Being Good」。メランコリックなメロディーラインがポップでインパクトある「Cuomoville」(途中、転調するあたり、微妙にJ-POPからの影響も?)と続き、ラストを締めくくる「Thank You and Good Night」はWEEZER好きにはたまらない疾走感あるロックサウンドにキュートなメロディーが載る陽気なポップスロックチューン。最後までWEEZERらしい作品が並んでいます。

そんな感じで、前作WEEZERらしいパワーポップが続いた本作ですが、全体的に爽やかさを感じた前作と比べて、今回はやはり「夏」というイメージだからでしょうか、分厚いサウンドで塗り固められたような、そんな印象を受ける作品になっていました。そのためもあってか、少々、アルバム全体としてはサウンドがひとつの音の塊みたいに耳に入ってきてしまっており、イメージとしてのべっとした作風になってしまったようにも感じます。サウンドとしては少々抜けが悪いような印象でしょうか。正直なところ、少々野暮ったさも感じてしまいました。

WEEZERらしさは感じられる作品なのですが、よく出来ていたかというと「悪くはないけど・・・」といった感のある微妙な作風だったように思います。悪いアルバムではないのですが、ここ最近、良作が続いていただけにちょっと残念。おそらく次は秋分の日に「Autumn」がリリースされるのでしょうが、そちらに期待したいところ。さて、そちらの出来栄えは・・・?

評価:★★★★

WEEZER 過去の作品
WEEZER(Red Album)
RADITUDE
HURLEY
DEATH TO FALSE METAL
Everything Will Be Alright in the End
WEEZER(White Album)
Pacific Daydream
Weezer(Teal Album)
Weezer(Black Album)
OK HUMAN
Van Weezer
SZNZ:SPRING

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2022年8月27日 (土)

とにかく楽しい

Title:Life Is Yours
Musician:Foals

前作「Everything Not Saved Will Be Lost - Part 2」では自身初となる全英チャート1位を記録。また2020年にはBRITアワードを受賞するなど、名実ともにイギリスで国民的人気バンドとなった4人組ロックバンド、Foals。日本でも今年、4度目となるフジロック出演を果たし、さらにはグリース・ステージ出演と、日本でもその人気は着実に伸ばしつつあります。

そんな彼の、「Everything Not Saved Will Be Lost - Part 2」から約3年ぶりとなる本作。前作は2部構成となっており、「Part 1」は80年代ニューウェーヴの影響を受けたようなエレクトロポップ、「Part 2」はバンドサウンドを押し出したロック色の強い構成となっており、Foalsの音楽性の広さを感じさせる試みとなっていました。それに続く本作は、「Part 1」からの流れを感じる作品に。80年代のニューウェーヴの影響を強く受けた作品となっています。

1曲目のタイトルチューン「Life Is Yours」はまさにそんなニューウェーヴチューン。かなり底抜けに明るいエレクトロポップとなっていて、聴いていて素直にウキウキするポップスに。さらに続く「Wake Me Up」は軽快なダンスチューン。こちらも80年代色の強いエレクトロチューンとなっており、ある種のなつかしさすら感じます。3曲目「2am」も同じくテンポよいエレクトロチューンなのですが、こちらは少々メランコリック色を感じるメロディーが特徴的。この絶妙な哀愁感もまた、80年代の空気が感じられます。

その後も80年代的なニューウェーヴのエレクトロポップが並びます。「2001」はタイトルとは裏腹に、こちらも軽快な80年代的なダンスチューン。2001年がまだちょっと先の未来だった80年代っぽいレトロフューチャー風味も感じさせます。

基本的にミディアムチューンの「Flutter」を挟みつつも、後半も軽快なエレクトロポップの路線が続きます。同じく軽快でダンサナブルな「Looking High」や、メロウなメロディーラインにちょっとシティポップ的な要素も感じる「Crest of the Wave」などを挟み、トランシーでダンサナブルな「The Sound」はライブで盛り上がりそう。最後はニューウェーヴ以上にテクノ色が強い「Wild Green」で締めくくり。最後までエレクトロポップ路線を貫いたアルバムとなっています。

全編80年代ニューウェーヴの影響を強く感じる作品ということで、あの時代らしい陽気な雰囲気もアルバム全体から感じられる、聴いていて素直にウキウキしてくるアルバムになっていました。ただ、軽快で明るいエレクトロサウンドに耳を惹かれつつ、メロディーラインの美しさという面では前作の方が上だったなぁ。そのため、若干薄味に感じてしまった部分も否めませんでした。もっとも、その点を差し引いても十分すぎるほど楽しめるアルバム。楽しいポップなアルバムを難しいこと抜きに楽しみたい、という方にはうってつけの傑作です。

評価:★★★★★

FOALS 過去の作品
TOTAL LIFE FOREVER
Holy Fire
Everything Not Saved Will Be Lost Pt.1
Everything Not Saved Will Be Lost Pt.2


ほかに聴いたアルバム

Broken Hearts Club/Syd

もともとHIP HOPユニット、Odd Futureのメンバーとしても活躍していたアメリカ・ロサンジェルス出身のシンガーソングライター、Sydの2枚目となるアルバム。ウィスパー気味のボーカルで、ファルセットも上手くもちいつつ、美しく聴かせるメランコリックなメロディーラインが印象的。一方、エレクトロ主体のサウンドについては、ちょっとチープに感じる部分もあり、そこらへんが惜しさを感じました。

評価:★★★★

Remember Your North Star/Yaya Bey

アメリカはワシントンを拠点に活動をするシンガーソングライターでマルチアーティストのYaya Bey。エレピやオーガニックテイストのサウンドをバックに、メロウなソウル、HIP HOP、ジャズなどの要素も取り入れた楽曲をしんみりと聴かせてくれます。18曲入りながら全34分という長さのため展開も早く、様々なタイプの曲が次々と展開していくイメージ。しっかりと聴かせる大人の女性シンガーといったイメージの1枚です。

評価:★★★★★

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2022年8月26日 (金)

デビュー35周年映画のサントラ的アルバム

Title:SQUARE,TRIANGLE,CIRCLE&FUTURE
Musician:OUTRAGE

名古屋を拠点に活動を行っている、現在4人組みのスラッシュメタルバンド、OUTRAGE。1982年に結成後、1987年にインディーで、さらに翌年にはメジャーデビュー。その後、1991年にリリースされた4thアルバム「The Final Day」は日本国内のみならず海外でもリリースされるなど、高い評価を受けたそうです。その後も活動の場をインディーズに戻したり、ボーカルの橋本直樹が一時的に脱退するなど、紆余曲折を経ながら現在も活動を続けて、先日、デビュー35周年を記念した映画「鋼音色の空の彼方へ」が公開されました。本作は、その映画に合わせてリリースされたアルバム。劇中に流れる、メンバー選曲による音源がメインであるものの、新曲であり、同映画のテーマ曲「Phycho Flowers」「Summer Rain」が収録されているほか、インディーデビュー前というかなり貴重なデモ音源、さらにはメジャーデビュー直後のライブ音源も収録されているという、かなり貴重な音源集となっています。

個人的にメタルというジャンルはほとんど聴かないですし、OUTRAGEというバンドにもほとんど思い入れはありませんでした。ただ、この映画「鋼音色の空の彼方へ」は気になり、実際に映画館に見に行き、その内容をすっかり気に入ってしまったことは、以前、このサイトでも取り上げた通り。当然、それに引き続いて、サントラ的にリリースされたこのアルバムも聴いてみました。

映画は気に入った、とはいえ、メタルというジャンル自体はさほど好んで聴くタイプではないため、最初はそれなりに身構えて聴き始めました。しかし1曲目であり、新曲「Phycho Flowers」は疾走感あるハードロックテイストの要素も多分に含まれており、思っていたよりも聴きやすく、また、もともと彼らの演っているスラッシュ・メタルというジャンル自体、ヘヴィーメタルにハードコア的な要素も加えたようなジャンルだそうで、比較的ハードコアの要素も強く、そういう意味でも抵抗感なく楽しめることが出来ました。

また、映画のテーマ曲でもう1つの新曲「Summer Rain」も非常にスケール感の大きなバラードナンバーとなっていますし、「Great Blue」のようなメランコリックに聴かせる楽曲もあったりと、バンドとしてのバリエーションも感じさせます。また選曲的にはインディーデビュー作に収録されている「Under Control Of Law」や、デビュー前の同曲のデモ音源をはじめ、バンドの初期の作品も少なくありませんが、今の曲と聴いても見劣りありません。デビュー直後からバンドとして完成されていたんだな、ということを感じさせます。

とはいえもっとも、メタルバンドゆえの、いかにもメタリックな様式美的なサウンドも少なくありませんし、個人的にはまったかといわれると、若干違和感を覚えた部分も少なくはありません。まあ、ここらへんは個人的な好みの部分も大きいのですが・・・。ただ、名古屋が誇る実力派バンドのひとつであることは間違いないでしょう。デビューから35周年で既に大ベテランの彼らですが、その活躍はまだまだ続きそうです。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Anniversary/Special Others

デビュー15周年を迎えたSpecial Othersが、15周年イヤーの最後を締めくくるべくリリースした8枚目となるオリジナルアルバム。エレピとギターを用いたメロディアスなセッションは基本的にスペアザらしい作品。終始メロディアスで楽しい雰囲気の楽曲が多く、最初から最後まで楽しめる作品に。ちょっとバラエティーに乏しい感じも否めないのですが、ただライブでは終始楽しめそうだなということを感じる作品でした。

評価:★★★★

SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE
SPECIAL OTHERS
Have a Nice Day
Live at 日本武道館 130629~SPE SUMMIT 2013~
LIGHT(SPECIAL OTHERS ACOUSTIC)
WINDOW
SPECIAL OTHERS II
Telepathy(SPECIAL OTHERS ACOUSTIC)
WAVE

COVER JUNGLE 1/T字路s

ブルースデゥオT字路sによる、タイトル通りのカバーアルバム。「三百六十五歩のマーチ」「星影の小径」「愛のメモリー」など歌謡曲のスタンダードやRCサクセションの「スローバラード」、さらにはかなり意外なところではTheピーズ「そばにいたい」やザ・クロマニヨンズ「ユウマヅメ」といったカバーにも挑戦しています。ブルースというイメージからするとちょっと意外性のある選曲もあるのですが、ギターやホーン、サックスなどシンプルな哀愁感たっぷりのサウンドもさることながら、伊東妙子のパワフルなボーカルも印象的。彼女たちらしい、独特の哀愁感たっぷりのカバーに仕上がっていました。

評価:★★★★★

T字路s 過去の作品
PIT VIPER BLUES
BRAND NEW CARAVAN

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2022年8月25日 (木)

ジャニーズ系が1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週1位を獲得したAdoに代わり、今週はジャニーズ系が1位獲得です。

今週、1位を獲得したのはジャニーズ系アイドルグループNEWS「音楽」。CD販売数及びPCによるCD読取数で1位を獲得し、総合順位でも1位獲得となりました。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上10万6千枚で1位初登場。前作「STORY」の11万5千枚(1位)からダウンしています。

2位にはAdo「ウタの歌 ONE PIECE FILM RED」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。特にダウンロード数は今週も1位をキープしており、強さを見せつける結果となっています。

3位はあいみょん「瞳へ落ちるよレコード」が初登場。CD販売数及びダウンロード数2位、PCによるCD読取数4位。オリコンでは初動売上6万1千枚で2位初登場。前作「おいしいパスタがあると聞いて」の初動12万2千枚(2位)よりダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に和楽器バンド「ボカロ三昧2」がランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数21位。ボーカロイドによる楽曲をカバーしたアルバムで、2014年にリリースした彼女たちのデビュー作「ボカロ三昧」に続く第2弾となります。オリコンでは初動売上2万枚で4位初登場。前作「TOKYO SINGING」(5位)より横バイ。同シリーズの前作「ボカロ三昧」の初動1万5千枚(5位)からはアップしています。

7位には「『ウマ娘 プリティーダービー』WINNING LIVE 07」が初登場。CD販売数9位、ダウンロード数8位、PCによるCD読取数26位。アプリゲーム「ウマ娘 プリディーダービー」に収録された曲をまとめたサントラ盤。オリコンでは初動売上8千枚で9位初登場。同シリーズの前作「『ウマ娘 プリティーダービー』WINNING LIVE 06」の初動9千枚(6位)からは若干ダウンとなっています。

8位初登場は女性アイドルグループわーすた「我々はネコである。」。CD販売数6位、ダウンロード数68位。オリコンでは初動売上8千枚で6位初登場。前作「What's "standard"!?」の7千枚(18位)から若干のアップ。

最後9位には韓国の男性アイドルグループAB6IX「SAVIOR」がランクイン。CD販売数8位。オリコンでは初動売上8千枚で8位初登場。同じ日本盤の前作「ABSOLUTE 6IX」の6千枚(15位)からアップしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評は来週の水曜日に!

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2022年8月24日 (水)

Adoの快進撃、続く

今週のHot100

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先週のHot100ではベスト3をAdoが占拠し、さらにベスト10のうち4曲まで、Adoの曲がランクインするという快挙を成し遂げましたが、今週はさらにベスト10に2曲、Adoの曲がランクイン。6曲同時ランクインという快挙を達成しています。

今週、なんとベスト3をAdoが独占。1位は先週と変わらず「新時代(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が獲得。ダウンロード数とストリーミング数は先週と変わらず1位を獲得。さらに今週You Tube再生回数も1位にアップしています。これで11週連続のベスト10ヒット&3週連続のベスト3ヒットとなりました。

2位には先週3位だった「私が最強(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」がランクアップ。ダウンロード数が28位から4位に大きくアップしたほか、ストリーミング数も3位から2位にアップしています。

さらに以下、先週2位だった「逆光(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」がランクダウンしたものの4位をキープ。先週5位だった「ウタカタララバイ(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が今週も同順位をキープしているほか、先週13位だった「Tot Musica(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が6位に、先週12位だった「風のゆくえ(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が10位にランクアップ。これでなんとベスト10のうち6曲までがAdoの曲が並ぶという快挙を達成しています。「Tot Musica」は、特にストリーミング数が14位から5位、You Tube再生回数に至っては42位から2位に一気にランクアップ。「風のゆくえ」もストリーミング数が17位から9位に、ダウンロード数が3位から2位にランクアップしています。

さて、Ado以外だと、今週唯一の初登場曲となったのが3位のKis-My-Fts「Two as One」。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数1位、ラジオオンエア数5位、You Tube再生回数63位。オリコン週間シングルランキングでも初動売上24万6千枚で1位初登場。前作「Fear」の13万枚(1位)からアップしています。

続いて、このAdoの圧倒的な物量に追いやられがちなロングヒット曲ですが、まず7位にSEKAI NO OWARI「Habit」が先週の6位からワンランクダウンでランクイン。これで15週連続のベスト10ヒットに。一方、Official髭男dism「ミックスナッツ」は4位から8位にダウン。こちらは19週連続のベスト10ヒットに。セカオワとヒゲダンのデッドヒート、先週はヒゲダンが久々にセカオワの上を行きましたが、今週は再度、セカオワが逆転してきました。ただ両者とも、若干後がなくなりつつあります。

そして9位にはTani Yuuki「W / X / Y」が7位から9位にダウン。こちらもこれで20週連続のベスト10ヒットとなりましたが、徐々に後がなくなってきました。

さらに今週、長らくロングヒットを続けてきたSaucy Dog「シンデレラボーイ」が10位から13位にダウン。ベスト10ヒットは通算28週でとりあえずはストップです。

今週のHot100は以上。Adoの快進撃は来週も続くのか、それとも?明日はHot Albums!

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2022年8月23日 (火)

新型コロナに感染してしまいました。

タイトル通りです。症状的には熱と咳だけで、既に熱もおさまってきているので、そんなにひどくはありません。

それなので、本日は通常更新はお休みです。明日はヒットチャートを更新できればよいのですが・・・。

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2022年8月22日 (月)

アメリカポピュラーミュージックを深く分析

今回も最近読んだ音楽関連の書籍です。今回読んだのは、アメリカ文学、ポピュラー音楽の研究家である大和田俊之が、現在のアメリカの音楽シーンを分析した「アメリカ音楽の新しい地図」です。

大和田氏は、ここでも紹介した「文科系のためのヒップホップ入門」の著書。アメリカのポピュラーミュージックの事情について、非常に詳しくキャッチアップしています。この本は、テイラー・スウィフト、ケンドリック・ラマー、ラナ・デル・レイ、チャンス・ザ・ラッパー、さらにはBTSまで、現在のアメリカでヒットを飛ばしているミュージシャンが、どういった社会的背景を持っているか、どのような思想の下に行動をしているのか、さらにはどうして注目を集めているのか、というのを詳しく記載しています。

アメリカの社会情勢と音楽との関わりについては、日本のメディアでも少なからず紹介されます。例えばテイラー・スウィフトがトランプ元大統領を強く批判したことは日本でもそれなりに報道されました。また、ケンドリック・ラマーの歌詞の内容についても、日本の音楽メディアでもよく話題になります。そういった意味でも、同書で紹介されている話について、全く知らなかった・・・といった感はありません。

ただ一方、ブルーノ・マーズやラナ・デル・レイを巡る背景や、HIP HOPとアジア系との関係などは、同書であらためてよく知ることが出来ましたし、なにより強く感じたのは、上記のテイラー・スウィフトやケンドリック・ラマーも含めて、アメリカのポピュラーミュージックが、アメリカの社会情勢と非常に深く結びついているんだな、ということをあらためて強く感じました。日本でも社会的なメッセージを発するミュージシャンは少なくありません。しかし、そのようなミュージシャンでも、そのメッセージを音楽活動に結びつけているミュージシャンは多くありません。例えば坂本龍一もそんなメッセージをよく発するミュージシャンの一人ですが、以前、反原発に関するフェスを行ったことはあるものの、彼の音楽自体について、社会的情勢と強くリンクしたものは、あまり多くありません。

また、アメリカの社会情勢の中で最もインパクトを与えるのが、アメリカにいる多彩な人種の影響という点も興味深く感じました。アフリカにいる黒人が音楽シーンに与える影響については、いままでも様々に言及されてきましたが、ヒスパニック系や、さらに最近、アメリカでも影響が強くなってきたアジア系の影響も記載されています。さらにはケンドリック・ラマーの作品を聴いていると感じるのですが、ブラックコミュニティー内部の問題にも言及されています。アメリカ社会が抱える多彩な人種が、ポピュラーミュージックの世界に大きな影響を与えているということを強く実感できました。

本書では、最後にCOVID-19の音楽シーンに与える影響についても記載しています。ただ、ここで興味深かったのはCOVID-19と1918年のスペイン風邪の大流行を比較していること。COVID-19の流行の際、中国やアジアに対する差別的言動が問題になりましたが、スペイン風邪の時もドイツに対する差別的言動が目立ったという点も興味深かったですし、スペイン風邪の流行の時も、同じく、コンサートなどで人が集まることが規制されていた、ということもはじめて知りました。また一番興味深かったのは、コンサートではなく家で音楽を聴く手段として、自動ピアノや蓄音機などが一気に普及したという点。今回のCOVID-19でもライブストリーミングが一気に浸透しましたが、やはり人間はいつでも音楽を求めるんだということを強く感じ、またそのような中、新たなテクノロジーで困難を乗り越えようとする人間の逞しさも感じました。

著者は慶応大学の教授ということもあり、社会学的な観点からの難しい記載も多く、若干、で、何がいいたいの?とまとめ切れていない部分も感じたのですが、その点を差し引いても、非常に興味深く読むことが出来ました。また、アメリカのポピュラーミュージックを十分理解するのは、これだけ社会的状況にも深くコミットして分析する必要があるんだな、ということも強く感じました。

このアメリカのポピュラーミュージックの分析、今後も何年かのスパンを置いて、同じような著作が読みたいな。ある意味、リアルタイムだからこそ意味のある書籍なので、今のうちにチェックすることがお勧め。アメリカのポピュラーミュージックシーンについて深く理解したいと考えている方は、必読の1冊です。

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2022年8月21日 (日)

え?HIP HOPのアルバム、ではなく・・・。

Title:Honestly, Nevermind
Musician:Drake

アメリカで絶大な人気を誇るラッパー、Drakeの7枚目となるオリジナルアルバム。6月17日に事前アナウンスなしのサプライズリリース。さらに作品を「ミックステープ」という形態でリリースすることが多い彼が、「オリジナルアルバム」として前作「Certified Lover Boy」からわずか9ヶ月というインターバルでの新たなアルバムリリースということでも話題になっています。

ただ、このアルバム、一番話題となっているのはそのサプライズリリースでもリリース間隔の短さでもありません。今回のアルバム、配信サイトのカテゴライズはHIP HOPではなくダンス。なんとラッパーの彼がハウスミュージックのアルバムをリリースしてきた、ということで大きな話題に。実際に、そういう前情報なしにこのアルバムを聴くと、全編、エレクトロサウンドのダンスチューンが並んでいることに、最初、戸惑ってしまいます。

タイトル通りのイントロに続いての事実上の1曲目となる「Falling Back」は4つ打ちの軽快なハウスチューン。完全な歌モノとなっており、ラップの「ラ」の字も出てきません。続く「Texts Go Green」も同じく軽快な4つ打ちのリズムのハウスチューン。「Currents」はメランコリックな歌がベースとなっていますが、こちらも軽快なエレクトロのリズムが入ってきています。

中盤の「Sticky」はようやくトラップのリズムが入り、ラップも登場するHIP HOPチューンが登場してきますが、後半もハウスの楽曲が続きます。特に、この曲に続く「Massive」などは、まさにトランシーなリズムも登場する典型的とも言えるハウスチューン。HIP HOPというイメージからはかなり程遠い作風に仕上がっています。

そしてラストを締めくくる「Jimmy Cooks」こそトラップの楽曲になっており、こういう曲を最後の締めくくりとしてもってくるあたりはHIP HOPミュージシャンとしての矜持も感じさせるのですが、HIP HOPの楽曲は中盤の「Sticky」とこの曲のみ。全14曲中12曲がハウスミュージックという異例の作品に仕上がっています。

ある意味、いままでの方向性をガラリと変えた作品ということもあって、非常にチャレンジングな作品とも言える本作。ただし一方で、これだけ方向性を変えつつも、Drakeとしてのイメージはしっかりと保たれた作品に仕上がっていました。

もともと、いままでの彼の作品も、メロディアスな歌を聴かせるような「歌モノ」の作品が多く、ゴリゴリのHIP HOPというよりも、むしろポップ路線というイメージを強く抱いていました。今回のアルバムも、アレンジはハウスになったものの、この「歌モノ」という路線は健在。どの曲もポップなメロディーラインがしっかりと流れていましたし、特に終盤、「Overdrive」から「Liability」まで切ないメロディーラインをしっかりと歌い上げる「歌」がなによりも印象に残る曲が続きます。HIP HOP、ハウスとジャンルこそ異なりますが、ポップな歌を聴かせるという主軸は変わらず、その点、Drakeとしてのイメージはしっかりと保たれていたように感じました。

HIP HOPではなく、ハウスのトラックが登場してきたことから非常に驚かされたアルバムになりましたが、ただ最後まで聴くと、しっかりとDrakeのアルバムに仕上がっていた本作。この挑戦心はやはり買いたい部分ですし、それだけ挑戦しながらもDrakeらしさはしっかり残しているあたり、彼のミュージシャンとしての実力、個性も強く感じることの出来るアルバムになっていました。HIP HOPリスナーのみならず、ハウス、エレクトロが好きな方、さらにはポップミュージック好き全般にお勧めできる作品です。

評価:★★★★★

DRAKE 過去の作品
Thank Me Later
TAKE CARE
Nothing Was The Same
If You're Reading This It's Too Late
VIEWS
More Life
SCORPION
Care Package
Dark Lane Demo Tapes
Certified Lover Boy


ほかに聴いたアルバム

1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs/Kula Shaker

ブリットポップ期の代表格的なバンド、Kula Shakerの約6年ぶりとなるニューアルバム。一言で言えば、彼ららしいロックチューンが並んでいます。それもイントロ、アウトロを除き、実質17曲の内容の中、フォークロック風な作品、ガレージロック風な作品、さらに彼らの個性ともいえるサイケなラーガロック風な作品と、昔ながらも彼ららしい作品が並びます。その分、若干目新しさには欠けるのかもしれませんが、Kula Shakerを聴いたな、もっといえばロックを聴いたな、と実感できるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

Kula Shaker 過去の作品
Revenge of the king
STRANGE FOLK
Pilgrim's Progress
K2.0

Janky Star/Grace Ives

ニューヨークはブルックリンを拠点に活動する女性シンガーソングライターによる2枚目のアルバム。軽快なエレクトロサウンドベースのポップソング。ボーカルは非常に爽やかで、メロディーラインにしてもエレクトロサウンドにしても、比較的シンプルで最小限の音数でまとめつつも、ポップでしっかりと聴かせるスタイルといった印象。聴いていて気持ちの良いポップアルバムでした。

評価:★★★★★

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2022年8月20日 (土)

「静」と「動」のバランスが見事

Title:Ugly Season
Musician:Perfume Genius

アメリカ・シアトルに拠点を置くシンガーソングライター、マイク・ハドレアスのソロプロジェクトPerfume Geniusのニューアルバム。毎回、非常に高い評価を受ける作品をリリースしている彼。かくいう私も前作「Set My Heart On Fire Immediately」を聴いてすっかりその作品にはまってしまったのですが、続いてリリースされた本作もまた、前作に引き続き、その魅力的な楽曲にすっかりはまってしまいました。

今回の作品は、もともと振付師のケイト・ウォリックの2019年に発表されたダンス作品「The Sun Still Burns Here」に提供する楽曲をまとめたアルバムだそうです。ただ、ダンス作品に付随するサントラ的な感じはほとんどなく、基本的には間違いなくPerfume Geniusの新作として機能する作品となっていました。

まず前作同様、なんといってもPerfume Geniusのファルセットで美しくメランコリックに聴かせる歌が魅力的。本作でも前半の「Herem」「Teeth」とストリングスやホーンなどのサウンドを幻想的に取り込みながら、美しい歌を聴かせる楽曲が並びます。前半に配された先行シングルにもなっている「Pop Song」もまた、シンプルなエレクトロサウンドに美しい歌が耳を惹く、タイトル通りのポップチューンに仕上がっています。

ただ、作品として新たな魅力を感じさせてくれるのは、ここから中盤以降。この「Pop Song」も後半に展開するに従い、トライバルなビートが入り、幻想的な雰囲気が増してきますし、続く「Scherzo」ではフリーキーなジャズ風の楽曲になっており、どこか不穏な空気感が漂います。さらに後半の目玉とも言えるのが「Eye in the Wall」で、トライバルに展開されるグルーヴィーで怪しげな曲調が強く印象に残る作品。サイケな雰囲気も漂う作品で、非常に独特な作風になっています。

この怪しげな雰囲気は続く「Photograph」も同様。どこか不穏な空気感の中、ゆっくりながらも独特のグルーヴ感を覚えるリズムも印象に残ります。さらにグルーヴィーに聴かせるという意味では続く「Hellbent」も同様。楽曲は不気味なノイズを奏でながらも、後半に至ると、ドラムのリズムなども加わり、ダイナミックに展開。こちらも独特のグルーヴ感が妙に印象に残る作品になっています。

前作同様、前半で聴かせるファルセットでメランコリックに聴かせるメロディーラインと、後半で聴かせるダイナミックでグルーヴィーなサウンドの対比が非常に魅力的。特に今回のアルバムでは前作で感じた「静」と「動」の対比が、前作以上に大きな魅力となっていたように感じました。今回のアルバムもまた、前作同様、年間ベストクラスの傑作に仕上がっていたと思います。ちなみにリリースはアナログ盤+配信のみというのは今風なリリーススタイルな感じ・・・。この魅力的な世界観を是非味わってほしい、そう感じる作品でした。

評価:★★★★★

Perfume Genius 過去の作品
Set My Heart On Fire Immediately


ほかに聴いたアルバム

Japanese Singles Collection-Greatest Hits-/Cyndi Lauper

ここでも何度か紹介した、洋楽ミュージシャンが日本でリリースしたシングル曲をまとめた「Japanese Singles Collection」シリーズ。今回は80年代に一世を風靡したシンガーソングライター、シンディー・ローパー。正直、シングル単位でしか聴いたことなかったのですが、こうやってベスト盤でまとめて聴くと、想像していたよりも素晴らしい楽曲が多いということを再認識しました。「Girls Just Want To Have Fun」「Time After Time」のようなおなじみの大ヒット曲はもちろんですが、それ以外の曲もインパクトのある良質なポップソング揃いで、あらためて彼女の魅力を強く感じました。あらためて高く評価されるべきポップスシンガーだと強く感じたベスト盤でした。

評価:★★★★★

Twelve Carat Toothache/Post Malone

今年のSUMMER SONICでヘッドライナーをつとめるアメリカのラッパー、Post Maloneのニューアルバム。HIP HOPというよりもエレクトロサウンドベースのメロディアスなポップソングがメインとなっており、いい意味で、素直で幅広い層にアピールできるようなアルバム。今年のSUMMER SONICも彼のステージで盛り上がりそう・・・。

評価:★★★★

Post Malone 過去の作品
Beerbongs & Bentleys
Hollywood's Bleeding

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2022年8月19日 (金)

貴重なインタビューは必読!

今回は、最近読んだ音楽系の本の紹介です。

日本ブルース界の第一人者、吾妻光良がブルースについてあれこれ語った1冊「ブルース飲むバカ歌うバカ」。私も購読しているブルースやソウルの専門誌「Blues&Soul Magazine」に連載しているエッセイをまとめ、もともとは2006年に販売されたもの。現在もこのエッセイは連載中なのですが、今回、電子版として復刻。ブルースに関してのエッセイ集ということで興味を抱き、今回、読んでみました。

本誌は4章から構成されており、このうち一番興味深かったのは第一章の「達人さんいらっしゃい」でしょう。様々なブルースやソウルミュージシャンへのインタビューが掲載されています。ほとんどが70年代や80年代に行ったインタビューで、もちろん鬼籍に入ったミュージシャンも多く(というよりもほとんどが・・・)、また、音楽評論家やライターによるインタビューではなく、ミュージシャンという立場から、かなりざっくばらんとしたインタビューになっているため、一味違ったインタビューになっているのが興味深く感じます。

その中でもインタビューを受けたミュージシャンたちの個性を強く感じます。例えばB.B.KINGへのインタビューに関しては、コンピューターを含め、あたらしい技術を積極的に取り入れようとしているスタイルに、彼のあくなき挑戦心を強く感じました。生涯現役を続けた彼ですが、こういう新しいことに関しての好奇心が、生涯ミュージシャンを続けた大きな要因だったのでしょう。

他に興味深かったのはゲイトマウス・ブラウンのインタビューでしょう。彼は、自分の音楽を「ブルース」という枠組みにあてはめるのを極端に嫌がったということで有名ですが、このインタビューでは、ブルースという枠組みでインタビューを行おうとする著者に対して、終始怒っています(笑)。有名なエピソードとしては知っていたのですが、本当に彼が「ブルース」という枠組みにあてはめられるのを嫌がったんだな、ということを強く感じさせるインタビューでした。

また、第二章「ブギ・トゥ・ザ 西  ブギ・トゥ・ザ 東」も非常に興味深い内容でした。著者が国内海外様々なところに旅して、そこのブルース事情について調査したエッセイ。香港やベルギー、フィリピンといった、一般的にブルースとなじみのない都市に著者が訪れて、時には現地で活躍するブルースミュージシャンたちともセッション。世界のどんな街でも、その街なりのブルースシーンというのがあるんだな、ということを知れて、非常に興味深く感じました。

ただ、そんな興味深いエッセイも多い一方、全体的に残念に感じたのは彼の書く文章が非常に読みにくかった、という点。特に70年代80年代の初出のエッセイについては、今はやりの「おじさん構文」っぽいラフな文章になっています。おそらく「おじさん構文」の元とも言われる「昭和軽薄体」からの影響を受けているのでしょう。かつ、著者はこの時、まだ20代のはずで「おじさん」と呼ばれる年齢ではなかったはず。「おじさん構文」はもともと、そのおじさんが若かった頃に「カッコいい」と思っていた文体だったという指摘は時々なされていますが、それを裏付けるような文体になっています。なお、皮肉なことに、著者がおじさんになっていくにつれて、この「おじさん構文」が少なくなっていくのですが、全体的にラフな文体になっていて、少々読みにくいなぁ、ということは最後まで否めませんでした。

また、後半については、著者の思い付きの域を得ないようなエッセイも少なくなく、正直、若干おもしろくないな、と感じさせる部分も少なくありませんでした。そういう意味でも著者の癖が強い部分も少なくありませんし、読む人を選ぶ部分がある点も否定できません。ただ、第一章のインタビュー記事を読むだけでもブルースやソウルファンにとっては読む価値のある1冊だと思います。まあ、癖の強さもある意味、著者の「味」の部分ということで・・・楽しめた1冊でした。

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2022年8月18日 (木)

アルバムチャートでもAdoが快挙!!

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot100では、Adoがベスト3を独占するという快挙を成し遂げました。一方、Hot Albumsでも見事快挙を成し遂げました。

今週の第1位はAdo「ウタの歌 ONE PIECE FILM RED」。Hot100でランクインしてきた映画「ONE PIECE FILM RED」で使用された曲を集めたアルバムです。CD販売数は2位に留まりましたが、ダウンロード数1位、PCによるCD読取数3位で総合順位1位獲得。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上10万4千枚を獲得し、2位初登場。ただし、前作「狂言」の初動14万2千枚(1位)からはダウンしています。

初登場1位も快挙なのですが、なんといっても快挙なのですが、このAdoが下したのが2位初登場B'z「Highway X」だということ。CD販売数及びPCによるCD販売数で1位を獲得し、配信を行っていないためダウンロード数は圏外。この配信がないという点が2位となった大きな理由とはいえ、あのB'zを下してのAdo1位獲得は、まさに快挙と言っていいでしょう。オリコンでは初動売上15万6千枚で1位初登場。直近のミニアルバム「FRENDSⅢ」の初動13万2千枚(1位)よりアップ。ただし、オリジナルアルバムとしての前作「NEW LOVE」の20万6千枚(1位)よりダウンしています。

3位にはジャニーズ系アイドル、なにわ男子「1st Love」が獲得。先週の7位からランクアップし、3週ぶりにベスト3に返り咲いています。

続いて4位以下の初登場盤です。5位に岩橋玄樹「How To Love」が初登場。CD販売数3位、ダウンロード数40位、PCによるCD読取数90位。King&Princeの元メンバーで、現在はジャニーズ事務所を脱退し、活動を続ける彼の、初となるソロアルバム。オリコンでは初動売上1万1千枚で4位初登場です。

6位初登場は3ピースガールズバンドHump Back「AGE OF LOVE」。5曲入りのEP盤。CD販売数11位、PCによるCD読取数は31位に留まりましたが、ダウンロード数で5位を獲得。総合順位でベスト10入りです。オリコンでは初動売上4千枚で12位初登場。直近のフルアルバム「ACHATTER」の9千枚(7位)からダウンしています。

8位にはさユり「酸欠少女」がランクイン。こちらもCD販売数は12位、PCによるCD読取数は76位に留まりましたが、ダウンロード数で4位にランクインし、総合順位でベスト10入りしています。「酸欠少女さユり」をキャッチコピーとするシンガーソングライター。オリコンでは初動売上4千枚で13位初登場。直近は弾き語りアルバム「め」で、同作の初動9千枚(3位)からダウン。オリジナルアルバムとしての前作「ミカヅキの航海」の2万3千枚(3位)からもダウンしています。

9位にはスターダストプロモーション所属の女性アイドルグループB.O.L.T「Weather」がランクイン。CD販売数6位、その他は圏外となり、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上7千枚で7位初登場。前作「Attitude」の2千枚(16位)からアップしています。

最後10位には西川貴教「SINGularityⅡ-過形成のprotoCOL」がランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数12位、PCによるCD読取数63位。ご存じ、T.M.Revolutionとして活躍する西川貴教の、ソロ名義では2枚目となるアルバム。オリコンでは初動売上5千枚で11位初登場。前作「SINGularity」の初動1万4千枚(2位)からダウンしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日!

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2022年8月17日 (水)

Adoが快挙達成!

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot100は、Adoが快挙を達成しました!

今週、なんとベスト3をAdoが独占。1位は先週3位だった「新時代(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が2ランクアップで獲得したほか、2位には「逆光(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が25位から大きくランクアップし、初のベスト10入り。3位にも「私が最強(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が30位から大きくランクアップし、こちらも初のベスト10ヒットとなっています。

いずれもタイトル通り、映画「ONE PIECE FILM RED」で使用されている曲。今週、これらの曲を収録したアルバム「ウタの歌 ONE PIECE FILM RED」がランクインしてきており、その影響で特にストリーミング数が大幅アップ。ストリーミング数が「新時代」1位、「逆光」2位、「私が最強」3位とこちらも1位から3位を独占。You Tube再生回数も「新時代」2位、「逆光」6位、「私が最強」8位とそれぞれ上位にランクインしています。ちなみに「新時代」はこれで10週連続のベスト10ヒット。Ado人気もさることながら「ワンピース」の人気の高さも感じる結果となりました。

さらに4位以下でも「ウタカタララバイ(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が先週の70位から大きくランクアップし5位にランクイン。こちらもストリーミング数及びYou Tube再生回数で4位にランクインし、初のベスト10ヒット。これでベスト10圏内にAdoの曲が4曲同時ランクインという快挙も達成しています。ベスト10以下でも「風のゆくえ(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が12位、「Tot Musica(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が13位、「世界のつづき(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が16位にランクインしており、ベスト20のうち7曲もAdoの曲がランクインするという結果となっています。

そんなAdoが席巻した今週のHot100ですが、初登場曲はあと1曲のみ。9位に「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」から誕生した男性アイドルグループINI「Password」が獲得。ダウンロード数69位、ストリーミング数9位、ラジオオンエア数85位、Twitterつぶやき数1位、You Tube再生回数14位。8月24日リリース予定のシングル「M」の表題曲の先行配信分となります。

続いてロングヒット曲ですが、長らくデッドヒートを繰り広げてきたSEKAI NO OWARI「Habit」Official髭男dism「ミックスナッツ」。長らくヒゲダンがセカオワの後塵を拝する形が続いてきましたが、今週、久々に順位が逆転。「ミックスナッツ」が先週の5位からランクアップし4位、「Habit」が4位から6位にダウンという結果となりました。「ミックスナッツ」はここにきてダウンロード数が7位から4位、You Tube再生回数が13位から12位とアップ。一方「Habit」はストリーミング数が3位から7位、You Tube再生回数も3位から5位とそれぞれダウンしています。ただし、これで「ミックスナッツ」は18週連続、「Habit」は14週連続のベスト10ヒットとなっています。

また他のロングヒット曲は、まずTani Yuuki「W / X / Y」は先週と変わらず7位をキープ。ただし、先週まで3週連続1位をキープしてきたストリーミング数はAdoに押し出される形で5位まで一気にダウンしています。これで19週連続のベスト10ヒット。

Saucy Dog「シンデレラボーイ」は先週からワンランクダウンの10位。これで通算28週目のベスト10ヒット。土俵際の粘りを見せています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2022年8月16日 (火)

挑戦心は強く感じれるベストアルバム

Title:FLASH BACK ~KAI THE BEST 35th~
Musician:甲斐よしひろ

1974年に甲斐バンドを結成。70年代に「HERO(ヒーローになる時、それは今)」「安奈」が大ヒットを記録し、一世を風靡しました。その後もコンスタントに活動を続けてきたものの1986年に解散。その後、甲斐よしひろはソロとして活動を開始。本作は、1987年のソロデビューから35年を記念してリリースされたベストアルバムとなります。いままで、甲斐バンドと甲斐よしひろの作品については、ヒットした楽曲単位では聴いたことあったのですが、今回のソロキャリアのオールタイムベストではじめて彼のソロ作についてまとめて聴いてみました。

今回の2枚組のベストアルバムでは、Disc1では「THE 35th SIDE」として、甲斐よしひろのソロとKAI FIVE時代の代表曲、16曲を収録。Disc2では「COVERS SIDE」として甲斐よしひろが行ったカバー曲16曲と、そのオルタナティヴバージョン2曲の計18曲が収録されています。

まず今回のベストアルバムで強く感じたのは、甲斐よしひろはどちらかというと歌謡曲のミュージシャンというイメージが強かったのですが、様々なジャンルへの挑戦を行っているチャレンジングなミュージシャンなんだということでした。このベストアルバムでも、1曲目「電光石火BABY」「レイン」と、いきなり打ち込みのサウンドでスタートし、少々驚かされます。その後も「嵐の明日」ではピアノでしんみり聴かせる作品に、「WORD」ではホーンセッションが入ってファンキーな作品に仕上がっています。

Disc2でも「『祭りばやしが聞こえる』のテーマ」ではいきなりHIP HOP風のトラックが入ってきて驚かされますし、その後もMr.Childrenの「くるみ」や斉藤和義の「歩いて帰ろう」といった、彼にとってみれば、かなり「若手」のミュージシャンたちの曲も積極的にカバーしています。

また、今回のベスト盤を聴くにあたって、Wikipediaで甲斐よしひろについて読んでいて思い出したのですが、90年代後半にはあの小室哲哉プロデュースでシングルを何枚か出しています。なぜか今回のベストアルバムでは収録されていないのですが、ある意味、彼のイメージとは大きく異なる小室哲哉とあえて手を組むというスタイルにも、彼のチャレンジングな性格を感じることが出来ます。

ただ一方、非常に残念だったのは彼のボーカルについて癖が強すぎて、挑戦した新たな音楽性の向き不向きが大きすぎるということも感じました。彼のボーカルスタイルはこぶしを効かせて力強く聴かせる、歌謡曲や、ともすれば演歌的なスタイルとも言えるスタイル。そのため、打ち込みの曲や、HIP HOP風のトラックが入っている曲に関しては、かなり違和感があり彼のボーカルスタイルに合っていないように感じます。逆に彼のボーカルスタイルに合っていたのは、例えばDisc2の「ダイナマイトが150屯」のような、演歌的なテイストの強い曲。そういう意味では、甲斐よしひろのある種のステレオタイプ通りの曲が彼のボーカルに一番合っている点、せっかくの挑戦がなかなかうまく言っておらず、若干残念に感じました。

このベストアルバムは、甲斐よしひろが挑戦心あふれるミュージシャンということがわかり興味深く感じられた反面、それが必ずしもうまく言っていない点が残念にも感じられた作品でした。ただ、パワフルな彼のボーカルがピッタリとはまった曲も少なくなく、聴き応えも十分にあるベストアルバムだったとは思います。来年にはついに70歳を迎える彼ですが、この挑戦心はまだまだ続いていきそう。そういう意味ではこれからの彼の活躍も楽しみに感じられるベストアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

early summer 2022/小田和正

実に約8年ぶりとなる小田和正のニューアルバム。前作「小田日和」の時に「最後から2番目(のアルバム)という気持ちで」と語っていたのですが、本作がラストアルバムとアナウンスされていないので、安心しました。ただ内容的にはいつもの小田和正といった感じ。良質なポップスという感じは強いものの、良くも悪くも「大いなるマンネリ」といったイメージも強い作品。もっとも、安心して聴けるという面でメリットも大きいのですが。

評価:★★★★

小田和正 過去の作品
自己ベスト2
どーも
小田日和
あの日 あの時

Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios/宇多田ヒカル

今年1月に行われた宇多田ヒカルの配信ライブの模様を収録した、配信限定のライブアルバム。最新アルバム「BADモード」の収録曲のライブパフォーマンスをロンドンの名門レコーディングスタジオであるAir Studiosで収録を敢行した内容。既に「BADモード」の初回限定版にライブパフォーマンスのDVDがついてきていたので、音源自体は今回はじめて聴いた訳ではありません。ライブ音源では、よりそのボーカルが耳をうつ作品。「BADモード」ではサウンド面でも宇多田ヒカルの魅力を感じた作品でしたが、このライブ音源では、宇多田ヒカルのボーカリストとしての魅力を、より堪能できた作品でした。

評価:★★★★★

宇多田ヒカル 過去の作品
HEAT STATION
This Is The One(Utada)
Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2
Fantome
初恋
One Last Kiss
BADモード

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2022年8月15日 (月)

野宮真貴ビフォー・アフター

今日は、主にピチカート・ファイブのボーカリストとして知られる、野宮真貴関連のアルバム2作の紹介です。

Title:New Beautiful
Musician:野宮真貴

まずこちらは、現在の野宮真貴のソロアルバム。純然たるオリジナルアルバムというよりは、企画盤的な要素が強く、ピチカート・ファイブの作品を新進気鋭のシティポップのミュージシャンたちがリアレンジし、カバーした曲3曲、彼女と縁の深いミュージシャンたちが彼女に提供した新曲5曲、そしてライブ音源2曲を収録したアルバムとなっています。

作風としては、いずれもピチカートの延長線上にあるような軽快なラウンジ風のポップチューンがメイン。そういう意味では正直なところ目新しさはありません。ただ、様々なミュージシャンが彼女に提供した新曲については、提供したミュージシャンを含め、なかなか興味深いところ。GLIM SPANKY松尾レミにクレイジーケンバンドの横山剣、カジヒデキ&高浪慶一郎のコンビにピチカート所属前に野宮真貴が所属していたPORTABLE ROCK名義、さらには鈴木慶一とかなり豪華。基本的にピチカートのイメージに沿った楽曲になっているのですが、それでも横山剣作曲の「おないどし」は、本人も参加していることもあるのですが、一発で横山剣の曲とわかる個性的なメロディーラインが彼らしい感じがします。

また今回の音源でなによりも注目なのは本編ラストの「サンキュー」。ライブ音源なのですが、なんと小西康陽が会場に登場。野宮真貴と小西康陽が同じステージに立つという、ピチカートのファンならば感涙モノの貴重音源が収録されています。

ソロとなってもピチカートのイメージを引きずってしまっているというのは、良くも悪くもといった感じはしますが、一方で本作で強く感じるのは、どの曲も非常に野宮真貴が楽しそうに曲を歌っているという点。この人は本当に歌うことが好きなんだなぁ、ということが強く伝わってきます。また、どの曲についても、歌を聴けば一発で野宮真貴だとわかるボーカルも大きな魅力。しっかりとボーカリストとしての個性を確立しているということも改めて感じることが出来ます。そんなボーカリスト野宮真貴の「今」がわかるアルバムでした。

評価:★★★★

野宮真貴 過去の作品
実況録音盤!「野宮真貴、渋谷系を歌う。~Miss Maki Nomiya Sings Shibuya-kei Standards~」
世界は愛を求めてる。-野宮真貴、渋谷系を歌う。-
男と女~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。
野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。~Wonderful Summer~
野宮真貴、ホリディ渋谷系を歌う。
野宮真貴 渋谷系ソングブック

で、上にもチラッと書いたのですが、そんな野宮真貴がピチカート・ファイブ結成前に所属していたのがPORTABLE ROCKというグループ。最初はソロとして活動していた野宮真貴のバックバンドが音楽ユニットという形で1982年に結成。ただ、残念ながら大きなヒットも飛ばせず1986年頃に自然消滅的に活動休止してしまったユニット。その後、何度か再結成を行ったりしたのですが、このたび、結成40周年ということでベストアルバムがリリースされました。

Title:PAST&FUTURE ~My Favorite Portabel Rock
Musician:PORTABLE ROCK

今回、はじめてPORTABLE ROCKの曲を聴いたのですが、楽曲は典型的な80年代っぽいテクノポップという感じ。野宮真貴のボーカルスタイルも、ピチカート以降の彼女とは異なり、完全にアイドル的な歌い方をしているため、軽快なテクノポップの作風と合わせて、アイドルポップ的なイメージが強くなってしまっています。

今回のアルバムにも収録されているシングル曲「春して、恋して、見つめて、キスして」は当時、コーセーのCMソングに起用されるなど、それなりにプッシュされていたようで、確かにそれなりのインパクトのあるポップソングには仕上がっています。ただ、正直なところ、悪くはないけど80年代によくあったであろうポップソング・・・といったイメージ。特に今回、新曲が2曲収録されており、今の野宮真貴が歌っているのですが、この2曲の出来が明らかによい。特にアイドル的な以前のボーカルと比べて、完全に野宮真貴としての個性を確立した彼女のボーカルが楽曲の中で大きなインパクトとなっており、むしろ結成から40年を経て、ようやくPORTABLE ROCKらしさを確立できたのではないか、とすら思ってしまいます。

そういう意味では正直なところ、なんで彼女たちがいまひとつ売れなかったのかはわからなくもないのですが・・・ただ、80年代っぽいテクノポップはそれなりのインパクトもあり、それなりに楽しめるのは間違いありません。野宮真貴のファンや、テクノポップが好きならチェックして損のない1枚だと思います。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

LOST IN TOKYO/SOIL&"PIMP"SESSIONS

約2年半ぶりとなるオリジナルアルバム。向井秀徳をゲストに迎えた「ピンクの女」が、彼のボーカルもあって非常にカッコいい作品になっています。全体的にはソイルらしい怪しげなトーンの曲もあれば、一方でジャズの正統派の楽曲もあり、ソイルの音楽的な幅広さ、ジャズバンドとしてのしっかりとした土台も感じられる作品。

評価:★★★★

SOIL&"PIMP"SESSIONS 過去の作品
PLANET PIMP
SOIL&"PIMP"SESSIONS presents STONED PIRATES RADIO
MAGNETIC SOIL
"X"Chronicle of SOIL&"PIMP"SESSINS
Brothers & Sisters
BLACK TRACK
DAPPER
MAN STEALS THE STARS
THE ESSENCE OF SOIL

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「わかりやすさ」が増えた新作

Title:物語のように
Musician:坂本慎太郎

毎回、アルバムをリリースする毎に、年間ベストクラスの傑作を連発し続ける坂本慎太郎。本作もまた、年間ベストクラスの傑作に仕上がっている、というのは、先日公開した、私的年間ベストアルバムの上半期の部で3位にランクインさせていたからも、既にご承知置きのこととは思います。今回も、また独特な坂本慎太郎の世界が広がる、傑作アルバムに仕上がっていました。

まず基本的な楽曲の方向性は、いつもの彼の作品から大きな違いはありません。打ち込みなどを入れつつ、シンプルに最小限にまとめたサウンドに歌謡曲やハワイアン、トロピカルなムードもまじえたメロディーライン。いままでの坂本慎太郎と同じ方向性の楽曲が並んでいますし、そういう意味では、アルバムを聴く前に抱いていたイメージから大きな変化はありません。

ただ今回のアルバムに関して言えば、歌詞にしてもサウンドにしてもメロディーについても、ともすればゆらゆら帝国の頃から続く、抽象度の高いものから、もっと具体的なものにシフトしてきたように思います。まず、歌詞に関しては、その意図がよりわかりやすくなってきたように思います。今回はコロナ禍の中で書き上げたという作品ということもあって、コロナ禍の中での社会の動きを少々皮肉ったような歌詞も目立ちます。一番わかりやすさを感じたのが「君には時間がある」で、「そうだ今日会おうよ」という歌詞を繰り返す内容は、コロナ禍の中で、いろいろな人と簡単に会えなくなった現状を皮肉っているようにも感じます。

また、社会派といえばアルバムの冒頭を飾る「それは違法でした」もコンプライアンス重視の今の社会をさらっと皮肉っているような歌詞が印象的。彼の作品では「あなたもロボットになれる」のような、社会派な歌詞は以前から聴かせてくれているのですが、今回のアルバムでは、特に歌詞の意図がわかりやすい曲が多かったように思います。

メロディーラインに関しても、以前以上にポップな楽曲が増えたように感じます。そういう意味でも抽象的だった以前の作風から、ポップスという具体的な方向性を感じる作品が目立ちました。タイトル曲の「物語のように」もメランコリックでちょっとフォーキーなメロディーが魅力的ですし、グループサウンド風の「悲しい用事」もインパクトあるメロが魅力的。また終盤も、女性ボーカルをゲストに迎えた「ある日のこと」も非常にポップなメロディーに仕上げています。

サウンドにしても同じく。以前と同様、シンプルで必要最小限なサウンドが目立つものの、ただ音数は以前から増え、抽象的でわかりにくい、空間を聴かせるような表現は少なくなったように感じます。逆にある程度、音を増やして、ポップなメロディーを底支えするようなサウンドが目立つようになった印象を受けます。

そんな訳で、以前よりも、いい意味で「わかりやすさ」が増した今回のアルバム。ただ、もちろん以前から彼の楽曲の持っていた独自性と魅力はそのままで、冒頭にも書いた通り、今回のアルバムも文句なしの年間ベストクラスの傑作アルバムに仕上がっていました。「わかりやすさ」が増したという意味でも、もっと広い層にお勧めできるようになったアルバム。是非ともチェックしてほしい作品です。

評価:★★★★★

坂本慎太郎 過去の作品
幻とのつきあい方
ナマで踊ろう
できれば愛を


ほかに聴いたアルバム

My Story,The Buraku Story(An Original Soundtrack)/MONO

ポストロックバンドMONOの最新アルバムは、ドキュメンタリー映画「私のはなし 部落のはなし」のサントラ盤。映画の方はタイトル通り、「部落差別」をテーマとしたドキュメンタリー映画なのですが、音楽作品は、差別の哀しみを表現したかのような、メランコリックで静かなサウンドがメイン。ただ、楽曲的にはサントラ的な断片のイメージをまとめた作品ではなく、1曲1曲MONOの新作としてしっかり機能する内容となっており、静かなサウンドながらも時折挿入されるサイケなサウンドが大きなインパクトに。MONOらしい奥深い音楽性をしっかりと感じられるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

MONO 過去の作品
Hymn To The Immortal Wind
For My Parents
The Last Dawn
Rays of Darkness

Requiem For Hell
Before The Past・Live From Electrical Audio
Pilgrimage of the Soul

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2022年8月13日 (土)

不穏なビートがカッコいい

Title:NOTHING TO DECLARE
Musician:700 Bliss

アメリカはフィラデルフィアを拠点に活動するDJ Haramと、同じくフィラデルフィアを中心に、ミュージシャンとしてだけではなく詩人としても活躍するMoor Motherによるユニット700 Bliss。もともと2014年に結成されたユニットだそうですが、結成から8年、ようやくリリースに至ったデビューアルバムが本作だそうです。

基本的にエレクトロやハウス、HIP HOPを軸としたユニットで、勝手なイメージかもしれませんが、この手のユニットで女性2人組というのは珍しいという印象があります。また、これも勝手な印象ではあるのですが、女性のユニットというと、どうしてもメロウなボーカルを力強く聴かせる・・・というイメージがあるのですが、このユニットはそういったイメージとは全く異なります。

アルバムが始まるといきなりスタートするのは非常にヘヴィーでアップテンポなエレクトロビート。ここにラップのようなボーカルが加わり、非常に不穏な空気が漂います。この1曲目であり、タイトルチューンである「Nothing To Declare」から、続く「Totally Spies」も同じく不穏な雰囲気の漂う楽曲。ここにゲストのLafawndahによる清涼感のあるボーカルが加わります。

その後も、「Nightflame」ではよりトライバルなビートを展開したり、続く「Anthology」ではトランシーなビートが加わったりと、不穏な空気を漂わせつつ、様々なサウンド、ビートを取り入れてアルバムは展開していきます。その後もノイズが加わる「Candace Parker」や、スペーシーなサウンドが特徴的な「No More Kings」「Capitol」とバラエティーのある構成に。ラストを締めくくる「Lead Level 15」も様々なサウンドをサンプリングし、フリーキーな雰囲気を残しつつ、アルバムを幕を下ろします。

16曲入りながらも、わずか38分弱ですから、1曲平均3分もない構成。次から次へと新たなサウンドが繰り広げられる作風は魅力的で、最後まで飽きることはありません。全編通じて一貫する不穏な雰囲気と強いエレクトロビートも魅力的。尖ったエネルギッシュな作風が強いインパクトとなっています。

今回、前情報なしで完全にはじめて聴いたのですが、その強烈なビートとサウンドに一気に魅了された作品。文句なしにカッコいい傑作アルバムです。カッコいいお姉様の作品を聴きたい方は是非。お勧めです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Hyponos/Ravyn Lenae

故Aaliyahを彷彿とさせるジャケットの「Sticky」でも話題になったR&Bシンガーのフルアルバムとしてはデビュー作。ハイトーンでメロウなウィスパー気味のボーカルに、エレクトロサウンドも入るものの、全体的に暖かい雰囲気を持ったサウンドが魅力的な作品。ミディアムテンポで聴かせる曲がメインなだけに、決して派手さはありませんが、いい意味で安心して聴けるR&Bの良作になっていました。

評価:★★★★★

Crule Country/Wilco

アメリカのインディーロックバンド、Wilcoによる12枚目となるアルバム。楽曲的にはもともとの彼らの原点であるカントリーロック、フォークロックに回帰したような作品が多く、原点回帰という感もある作風に。美しいメロディーラインが耳を惹く楽曲も多く、ポップアルバムとしても十分楽しめる一方で、アコースティックなサウンドを主軸にしつつ、サイケな作風も混ざっており、一筋縄ではいかない点が彼ららしい感じが。毎回、良質な傑作アルバムをリリースし続ける彼らですが、本作もそれに違わない傑作に仕上がっていました。

評価:★★★★★

WILCO 過去の作品
Wilco(This Album)
THE WHOLE LOVE
Star Wars
Schmilco
Ode To Joy

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2022年8月12日 (金)

ネット発シンガーが目立つチャート

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のチャートはネット発シンガーの目立つチャートとなりました。

ただ、そんな中でも1位初登場となったのは秋元康系の女性アイドルグループ櫻坂46「As you know?」。CD販売数1位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数2位。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上12万枚で1位初登場。直近作は欅坂46時代のベストアルバム「永遠より長い一瞬 〜あの頃、確かに存在した私たち〜」で初動売上14万5千枚でしたので本作はそこからはダウン。欅坂46時代のオリジナルアルバムの前作「真っ白なものは汚したくなる」の初動27万9千枚(1位)からも大きくダウンしています。

しかし、2位はネット発シンガー。めいちゃん「Humor」がランクイン。動画投稿サイトへの歌唱動画の投稿で人気を集め、You Tuberとしても活躍する男性シンガー。CD販売数2位、ダウンロード数26位、PCによるCD読取数41位。オリコンでは初動売上4万枚で2位初登場。前作「大迷惑」の初動売上9千枚(7位)よりアップしています。

3位に「Knight A」が初登場したKnight A-騎士 A-も動画投稿サイトへの歌唱動画で人気を博した5人組グループ。CD販売数3位、ダウンロード数31位、PCによるCD読取数95位。同作は初となるフルアルバム。オリコンでは初動売上3万6千枚で3位初登場。前作でミニアルバムだった「The Night」の初動3万3千枚(3位)より微増となっています。

ネット発シンガーはさらに8位にすとぷり「Are You Ready?」がランクイン。主に動画サイトで活躍する6人組グループ。本作は初となる配信限定のEP盤。ダウンロード数で1位を獲得し、総合順位でもベスト10入りとなりました。

その他のベスト10初登場組は、まず5位にポルノグラフィティ「暁」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数4位。約5年ぶりとなるオリジナルアルバム。オリコンでは初動売上2万7千枚で5位初登場。前作「BUTTERFLY EFFECT」の初動3万枚(3位)から若干のダウン。5年というインターバルを考えれば、健闘した結果といったところでしょうか。

6位にはRe:vale「Re:flect In」が初登場。CD販売数6位、ダウンロード数23位、PCによるCD読取数40位。スマートフォンゲーム「アイドリッシュセブン」に登場する架空のアイドルグループ。オリコンでは初動売上2万2千枚で6位初登場。前作「Re:al Axis」の2万7千枚(4位)からダウン。

9位にはクレイジーケンバンド「樹影」がランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数13位、PCによるCD読取数38位。オリコンでは初動売上6千枚で9位初登場。直近作はカバーアルバム「好きなんだよ」で同作の1万1千枚(5位)からダウン。ただ、オリジナルアルバムとしての前作「NOW」(14位)からは横ばいとなっています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評は来週の水曜日に!

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2022年8月11日 (木)

Adoが急上昇!

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

すいません、私的な事情のため、チャート評は1日遅れの更新となります。

まず1位初登場はジャニーズ系。ジャニーズWEST「星の雨」が獲得。テレビ東京系ドラマ「雪女と蟹を食う」主題歌。CD販売数及びPCによるCD読取数1位、ラジオオンエア数30位、Twitterつぶやき数35位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上29万1千枚で1位初登場。前作「黎明」の初動19万5千枚(1位)からアップしています。

2位初登場はGENERATIONS from EXILE TRIBE「チカラノカギリ」。CD販売数3位、ダウンロード数12位、ストリーミング数58位、ラジオオンエア数1位、PCによるCD読取数38位、Twitterつぶやき数5位、You Tube再生回数49位。90年代初頭のバンドブームの頃の作風を彷彿とさせるパンクロック風のナンバーになっています。オリコンでは初動売上6位で3位初登場。前作「GENERATIONS FROM EXILE」の1万4千枚(5位)からダウン。

そして3位にはAdo「新時代(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が先週の7位から大きくランクアップ。ベスト10入り9週目にして、初のベスト3ヒットとなりました。特にダウンロード数が3位から1位に、ストリーミング数も8位から2位に、さらにYou Tube再生回数も13位から6位にアップ。8月10日に同作も収録したアルバム「ウタの歌 ONE PIECE FILM RED」がリリースされており、それに先立つ形での大幅なランクアップとなっています。タイトル通り、人気漫画「ONE PIECE」の映画作品「ONE PIECE FILM RED」の主題歌で、Adoの曲の映画の中での使われ方を含めて、酷評する意見が目立つようですが、それでも楽曲的にはロングヒットを記録しているようです。

続いて4位以下の初登場曲です。まず6位に指原莉乃による声優アイドルグループ≠ME「す、好きじゃない!」が6位にランクイン。CD販売数2位、ラジオオンエア数67位、PCによるCD読取数43位、Twitterつぶやき数15位。オリコンでは初動売上9万2千枚で2位初登場。前作「チョコレートメランコリー」の5万8千枚(1位)からアップしています。

また今週、ベスト10返り咲きが1曲。10位にKing Gnu「雨燦々」が先週の16位からランクアップし、2週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。特にダウンロード数が6位から2位に大幅アップし、ベスト10返り咲きの大きな要因となっています。

続いてロングヒット曲ですが、まずSEKAI NO OWARI「Habit」は3位から4位にダウン。You Tube再生回数は2位から3位にダウン。ただ、ストリーミング数は先週から変わらず3位をキープ。ダウンロード数も10位から9位に若干のアップとなっています。これで13週連続のベスト10ヒットとなりました。

Official髭男dism「ミックスナッツ」は4位から5位にダウン。ただYou Tube再生回数は11位から13位にダウンしたものの、ストリーミング数は4位をキープ。ダウンロード数も8位から7位にアップしています。これで17週連続のベスト10ヒットとなりました。

Tani Yuuki「W / X / Y」は6位から7位にダウン。ただし、こちらもストリーミング数は先週から変わらず1位をキープ。これでベスト10ヒットは18週連続となります。

さらにSaucy Dog「シンデレラボーイ」は先週から変わらず9位をキープ。土俵際の粘りを見せています。これで通算27週目のベスト10ヒットとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2022年8月10日 (水)

リアムのボーカリストとしての魅力を感じる2作

今年6月、oasisが1996年にライブを行い、大きな話題となったネプワースの舞台に、ソロとして再び立つなど、ソロミュージシャンとしても活躍を続ける元oasisのご存じリアム・ギャラガー。oasis解散後は、直後に結成したビーディ・アイの評価も決して高くなく、当初はお兄ちゃんに後れを取っていた感はあったのですが、ここ最近、徐々に人気をあげ、ソロミュージシャンとしても確固たる地位を築きつつあります。

そんな彼が、2020年12月にロンドン・テムズ川で行ったストリーミングライブのライブ音源を収録したライブアルバムがリリースされました。

Title:Down by the River Thames
Musician:Liam Gallagher

このライブアルバムの大きな特徴は、彼のソロ時代の作品もoasis時代の作品も、惜しみなく披露している点。1曲目はいきなり「Hello」からスタートしていますし、前半は「Columbia」「Fade Away」とoasis時代の代表曲を連発しますし、さらに後半は「Morning Glory」「Cigarettes&Alcohol」「Supersonic」「Champagne Spernova」と、これまたoasisの代表曲が連発されます。「Champagne Supernova」では、ギターでしんみり聴かせる原曲と異なり、ピアノを用いたアレンジとなっており、原曲とはまたことなる魅力を感じる作品になっています。

さらに「Headshrinker」なんていう、シングルのB面集「The Masterplan」収録の曲(もともとはシングル「Some Might Say」のカップリング)まで収録。知る人ぞ知る的な曲まで登場してきます。

一方ではそんなoasisの名曲の間にはリアムのソロ曲も登場。序盤の「Hello」に続いて「Wall of Glass」「Halo」など登場。数多くのoasisの代表曲に続けてラストに登場するのは、これまたリアムのソロ曲「All You're Dreaming Of」で締めくくられています。oasisの曲とリアムのソロ曲が並んでいることによって、どうだ、俺の曲もoasis(ノエル)の曲に負けていないだろう、というリアムの主張を感じさせます。

確かにリアムソロ曲も十分魅力的なのは間違いありません。疾走感あるロックチューンである「Halo」にしろ、バラードナンバーにしろ「All You're Dreaming Of」にしろ、十分なインパクトのある楽曲ですし、リアムの魅力もしっかりと出している楽曲に仕上がっています。ただ、それでも思ってしまうことは、やはりoasisの曲はあらためて名曲ばかりだな・・・ということでした。

そして、またあらためて感じるのはボーカリストとしてのリアム・ギャラガーの魅力。リアムソロ曲ももちろんなのですが、彼の、しゃがれ声ながらも力強く、そしてどこか色っぽさを感じさせるがあるからこそ、リアムソロ曲はもちろん、oasis曲も含めて、その魅力が100%発揮されるんだろうなぁ、ということを強く感じました。

評価:★★★★★

そんなライブアルバムと同日リリースとなったのが、リアム・ギャラガーソロ名義で3枚目となるオリジナルアルバムです。

Title:C'MON YOU KNOW
Musician:Liam Gallagher

当然のごとく全英チャートで1位を獲得した本作。子供のコーラスをバックに、荘厳な雰囲気でスタートする1曲目「More Power」からスタートし、2曲目はギターサウンドで軽快に、ちょっとメランコリックなメロも魅力的な「Diamond In The Dark」へと展開。ここ最近の彼の勢いを背景としたようなインパクトある曲が続き、正直、ソロデビュー後、個人的にはいまひとつピンと来なかった彼のソロアルバムの中では、かなり期待できるスタートとはなっていました。

ただ、その後に関しては、残念ながらいまひとつ尻すぼみ気味だった点が否めません。今回のアルバムの大きな特徴として、様々な作風の曲が収録されていたという点でした。ストリングスも入って伸びやかに歌い上げる「Too Good For Giving Up」や、カントリー風の「World's In Need」、ストリングスでゆったりとした雰囲気で聴かせる「Oh Sweet Children」など、バリエーション豊富。ラストの「Wave」はリアムらしいギターリフを入れた力強いロックチューンになっていますが、全体的にはストリングスを入れて分厚くしたサウンドが特徴的の作風に仕上がっています。

ノエルが様々な作風に挑戦した時には、それを揶揄するような発言をしていたのですが、彼自身がこのように様々な作風に挑戦しているという点、やはりお兄ちゃんがうらやましかったんだろうなぁ、と相変わらず素直になれないリアムらしさを感じたのですが(笑)、ただ、残念ながらそれが成功しているかというと、かなり微妙な感じが。特に、いろいろとストリングスを放り込んできて、分厚くしたアレンジは、ある意味、J-POP的な感じすらしますし、そのJ-POPと同様、少々大味という印象も受けてしまいました。

同時リリースのライブ盤とほぼ同時に聴いたということから特に感じてしまうのですが、やはりoasis時代の曲に比べて物足りなさは否めませんでした・・・。決して悪いアルバムではないですし、なによりもリアムのそのボーカルは、ボーカルだけで十分すぎるほど魅力的なのですが、あらためてリアムのボーカル&ノエルの作曲というoasisのタッグは本当に奇跡的だったんだな、ということを感じてしまいます。変なプライドを捨てて、素直にoasisを再結成してほしいと感じてしまうのですが・・・ただ人気面では絶好調なだけに、今はちょっと難しいのかなぁ。

評価:★★★★

Liam Gallagher 過去の作品
AS YOU WERE
Why Me?Why not.
Acoustic Sessions
MTV Unplugged(Live At Hull City Hall)

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2022年8月 9日 (火)

どちらかというと90年代J-POPを彷彿

Title:FREEDOM!
Musician:ベッド・イン

90年代バブルの空気をそのまま現在に再現した、「地下セクシーアイドルユニット」ベッド・イン。ちょっと意外なことに、既に結成10年が経過した中堅ユニットで、本作は結成10周年の記念アルバムだそうです。ちょっと意外なことに、約4年半ぶりとなるちょっと久々のニューアルバム。この間リリースされたのが、ロックをテーマとしたミニアルバム「ROCK」と、カバーアルバムでしたので、純粋なオリジナルとしては久々、ということになるのでしょう。

その直近でリリースされたミニアルバム「ROCK」は、タイトル通り、80年代後半のバンドブームから90年代のJ-POPあたりをモチーフとしたロックな作品となっていました。今回のアルバムは、その影響でしょうか、前作「TOKYO」以上に、ロック路線の強い作風となっています。さらにロックといっても、どちらかというと90年代J-POPをイメージさせるようなサウンド。いきなり1曲目に来るタイトルチューンの「FREEDOM!」に2曲目「女神-GODDESS-」はいずれもハードロックテイストの強い作品で、バブル期のイメージというよりも、どちらかというと90年代J-POPをイメージさせます。「GALAXY POLICE~夜を飛び越えて~」も、最初の打ち込みは小室系(というよりはTWO-MIXあたりを思い出した・・・)。イントロでメランコリックな男性ボーカルが入ってくるのも、完全にglobeのパロディーですね。

後半の「君にこの愛を」なんかも、こちらも爽やかなメロディーラインといい、「Wow Wow」と盛り上げさせるパターンと言い、完全にバンドブームあたりの楽曲のパロディー。個人的にはピンクサファイヤあたりを彷彿とさせました。バブル絶頂期というよりも、むしろバブルが崩壊してきた90年代前半をイメージさせる作風は、個人的にちょうど中高生あたりによく聴いていた楽曲を思い出させてくれます。アラフォーもしくはもっと上のアラフィフ世代にとっては、ノスタルジックなイメージを彷彿とさせるのではないでしょうか。

歌詞にしても「Midnight Taxi」とのような、真夜中にタクシーを走らせるイメージといい、「シャンパンみたいな恋」と、恋をシャンパンに例えているあたり、バブリーな感じを彷彿とはさせるのですが、前作「TOKYO」ほどは、バブルな単語や80年代パロディーをこれでもかというほど並べている感じはありません。

ただラストの「Congratulations!~ウチらハイパー☆バブル~」はバブルを意識した作品で、「ポケベル」「5時から男」みたいな、バブルを彷彿とさせる単語が並びつつ、サウンドもユーロビート。バブルの空気を今に再現したような、彼女たちらしい作品に仕上がっていました(まあ「ポケベル」も最盛期はバブル崩壊後なのですが・・・)。

終始バブル期のパロディーを意図した「TOKYO」に比べると、どちらかというとバブルばかりを意識するのではなく、80年代から90年代のサウンドを再現しようとした作品になっていた本作。40代半ばの私くらいの世代にとっては、非常に懐かしさを感じさせるアルバムだったのではないでしょうか。前作「TOKYO」のようなパロディーという側面に関しては、ちょっとおもしろさが薄れてしまった感も否めないのですが、90年代J-POPに若い頃に慣れ親しんだ層なら、懐かしさを感じつつ楽しめるアルバムではないでしょうか。彼女たちはライブが最高に楽しいのですが、この曲も是非、ライブでも聴いてみたいなぁ。

評価:★★★★

ベッド・イン 過去の作品
TOKYO
Endless Bubble~Cover Songs vol.1~
ROCK


ほかに聴いたアルバム

Break and Cross the Walls II/MAN WITH A MISSION

昨年11月にリリースしたアルバム「Break and Cross the Walls Ⅰ」に続く連作アルバム第2弾。今回もアレンジャーに大島こうすけや、前作に引き続きBoom Boom Satellitesの中野雅之が参加。英語詞の曲と日本語詞の曲がほぼ交互に並ぶ内容となっています。彼らの作品は、前作は間違いなく傑作でしたし、ここ最近、出来のよい作品が続いていたのですが、今回の作品は曲のよってカッコいい作品と平凡な作品の差が大きかったのが、残念ながら以前の彼らに戻ってしまった感も。概して英語詞の曲は疾走感あるロックでかっこよかったのに対して、日本語詞の曲にかんしては平凡なJ-POPという印象が・・・。悪いアルバムではなかったのですが、前作が傑作だっただけに期待していたのですが、ちょっと惜しい感じのする1枚でした。

評価:★★★★

MAN WITH A MISSION 過去の作品
Trick or Treat e.p.
MASH UP THE WORLD
Beef Chicken Pork
Tales of Purefly

5 Years 5 Wolves 5 Souls
The World's on Fire
Out of Control(MAN WITH A MISSION x Zebrahead)
Dead End in Tokyo European Edition
Chasing the Horizon
MAN WITH A "B-SIDES & COVERS" MISSION
MAN WITH A "REMIX" MISSION
MAN WITH A "BEST" MISSION
ONE WISH e.p.
Break and Cross the Walls Ⅰ

あたらしいともだち/GOING UNDER GROUND

現在は事務所を離れ、バンド運営をメンバーのみで行っているというGOING UNDER GROUNDのニューアルバム。そのため本作は、CDは基本的にライブ会場や通販のみでの販売。ただし、サブスク等の配信は行っているので、配信を通じて比較的容易にチェックすることが出来るのはうれしい限り。事務所を離れて本当の意味でのインディーな活動を行っている彼らですが、楽曲の内容はいつも通りのGOING UNDER GROUND。どこかノスタルジックな雰囲気漂うメロディーラインと歌詞に、ほどよく分厚くノイジーなバンドサウンドという、彼ららしいスタイルは以前から全く変わりません。結果として若干「大いなるマンネリ」的になっている部分は否めませんが、それを差し引いても彼ららしい良質なポップアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

GOING UNDER GROUND 過去の作品
おやすみモンスター
COMPLETE SINGLE COLLECTION 1998-2008
LUCKY STAR
稲川くん
Roots&Routes
Out Of Blue
真夏の目撃者
FILM
ALL TIME BEST~20th STORY + LOVE + SONG~

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2022年8月 8日 (月)

内省的なリリックも大きなインパクト

Title:ALONE
Musician:OMSB

HIP HOPユニット、SIMI LABのMCかつトラックメイカーであるOMSBの、ソロ名義では3枚目となるフルアルバム。前作から約7年ぶりとなりますので、ソロアルバムとしては久々のアルバムとなる本作。ハマ・オカモトや小袋成彬といったちょっと意外なミュージシャンがゲストとして参加。ただ一方、ラッパーの参加はなく、基本的に彼1人が淡々とラップするスタイルの作品となっています。

さて、そんな彼のニューアルバムは、以前のアルバムでもいつも同じように感じるのですが、とにかくサウンドがカッコいいというのが第一印象となります。比較的最小限に、シンプルにまとめられたサウンドながらも、楽曲により様々なバリエーションを感じられ、特に独特のグルーヴ感にカッコよさを感じます。シンプルなサウンドの中に独特のグルーヴ感というと「Kingdom(Homeless)」でしょう。重低音のビートにグルーヴ感を覚えます。他にも「Fellowship」などもヘヴィーなサウンドがグルーヴィー。「One Room」などもメロウなサウンドながらも、独特のグルーヴを感じされる作品になっています。

ほかにもアコースティックギターの音を爽やかに奏でる「波の音」やピアノを入れてちょっとジャジーにしんみりと聴かせる「Standalone Stallone」など、最後までバリエーションに富んだサウンドを聴かせてくれており、このトラックを聴くだけでも最後まで耳が離せません。以前、ビートアルバムをリリースしたこともある彼ですが、このトラックだけでも延々と聴き続けられてしまうような魅力を感じます。

そして今回のアルバムはリリックも大きな魅力。特に、自分を見つめなおすスタンスのリリックが多く、内省的な内容が強く印象付けられます。特にアメリカ人と日本人のハーフという、日本の中では特異な目で見られがちな彼の出自からくるリリックも多く、例えば「大衆」は彼の歩んできた人生をあらためて振り返る内容が印象的。自分の生き方を貫く彼のスタンスには、共感できる部分も多く聴いていてグッときます。

また、かなりストレートに恋人との日常を綴るラブソングの「One Room」や、リスナーへのメッセージかと思いきや、実は愛する家族に対するメッセージを込めた「OMSBから君へ」など、非常に心に残ります。歌詞の多くは、彼の出自にからむ、彼の経験をストレートに反映させつつも、そこから導き出されるメッセージは、どこか私たちの共感を呼ぶようなものとなっており、彼の経験に裏打ちされたものなだけに、よりリアリティーをもって訴えかけます。

トラックもリリックも強いインパクトを持って訴えかける傑作アルバム。先日の私的ベストアルバムでも惜しくも次点でピックアップしましたが、内容的には間違いなく年間ベストクラスの作品だと思います。あらためて彼の実力を実感した作品でした。

評価:★★★★★

OMSB 過去の作品
Kitajima "36" SubLaw
Think Good


ほかに聴いたアルバム

ぼちぼち銀河/柴田聡子

デビューアルバム「しばたさとこ島」から、ちょうど10年を迎えたシンガーソングライター柴田聡子のニューアルバム。基本的にいつもの彼女と同様に、アコースティックなサウンドがメインで暖かい雰囲気の楽曲を聴かせてくれるのですが、所々シンセを積極的に取り入れてきたり、ホーンセッションを取り入れたり、ファンキーなサウンドを聴かせたりと、様々に聴かせる作風も大きな魅力。ただ、全体的にはあくまでも暖かいポップソングという路線はいつもと同様で、いい意味で安心して楽しめる作品でした。

評価:★★★★★

柴田聡子 過去の作品
柴田聡子
愛の休日
がんばれ!メロディー

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2022年8月 7日 (日)

ガレージパンクがそのままつまったEP盤

Title:FREAKS IN THE GARAGE - EP
Musician:THE BAWDIES

THE BAWDIESの新作は4曲入りのEP盤。このコロナ禍の中で久々にライブツアーを行った彼らですが、その中であらためて4人で音を鳴らす喜びとそれをファンと共有するすばらしさを感じ、そのような中で新たにリリースされたEP盤、だそうです。今回のアルバムはタイトル通り、ガレージパンクを主軸に置いたアルバム。THE BAWDIESといえば、ご存じの通り、アメリカのガレージパンクバンドTHE SONICSの影響を受けて活動を開始したバンドですが、まさに彼らの原点ともいえるガレージパンクをあらためて演奏した作品に仕上がっています。

そんな彼らにとって原点に戻ったとも言える今回のEPは、まさに会心の一撃という言葉がピッタリくるほど、これほどないほどカッコいい作品に仕上がっています。たった4曲入りとはいえ、その4曲どれもがTHE BAWDIESの魅力をこれでもかというほど伝えてくるような作品。1曲目「ROCKIN'FROM THE GRAVE」はシャウト気味のボーカルが心地よい、アップテンポで軽快なガレージパンクチューン。続く「STAND!」はちょっとレトロな雰囲気を醸し出す軽快なリズムに心がはずみます。

3曲目「PINCH ME」は軽快でリズミカルなダンスチューン。60年代ポップのような、心がワクワクするようなメロディーとリズムが大きな魅力。そしてラストの「BIP BOP BOOM」はMICKEY HAWKS&THE NIGHT RIDERSのカバー。こちらもシャウト気味のボーカルで力強く聴かせる、60年代のサウンドがそのまま再現されたようなガレージパンクの力強い作品に仕上がっています。

全4曲入りわずか11分という内容ながらも・・・というよりも、それだけの「短さ」だからこそ、脳天を直撃されるようなガレージパンクが一気に展開される作品に。いままでのTHE BAWDIESの作品以上に荒々しい演奏が展開されるのですが、だからこそ、彼らの演奏がそのまま直撃してきますし、ガレージパンクの魅力がそのままパッケージされたような内容になっていました。

さらに今回、ミックスダウンも非常に荒々しい感じになっています。おそらく、ちょっと粗いミックスダウンの状態になっているのはわざとではないでしょうか。彼らの演奏、楽曲にもピッタリマッチしており、作品全体として60年代ガレージパンクがそのままつまったような作品になっています。そもそもジャケットもレトロな雰囲気になっていますし、まさにガレージパンクへの原点回帰とリスペクトがつまった作品と言えるのでしょう。

個人的には、この勢いでEP盤ではなく、アルバム1枚を作ってほしい感じもするのですが・・・。とにかく聴いていて終始ワクワクするような、素晴らしいEP。あらためてTHE BAWDIESの魅力を強く感じた傑作でした。

評価:★★★★★

THE BAWDIES 過去の作品
THIS IS MY STORY
THERE'S NO TURNING BACK
LIVE THE LIFE I LOVE
1-2-3
GOING BACK HOME
Boys!
「Boys!」TOUR 2014-2015 –FINAL- at 日本武道館
NEW
THIS IS THE BEST
Thank you for our Rock and Roll Tour 2004-2019 FINAL at 日本武道館
Section#11
BLAST OFF!

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2022年8月 6日 (土)

谷山浩子の2つの側面

Title:谷山浩子ベスト ネコとコバン
Musician:谷山浩子

独自のファンタジックな世界観で根強い人気を誇るシンガーソングライター、谷山浩子。1972年のデビューから、なんと50年という月日が経過している訳ですが、このたび50周年を記念するベスト盤がリリースされました。とはいえ、直近でリリースされた谷山浩子のアルバムといえば、5年前にリリースされた45周年のシングルコレクション。またベスト盤か・・・と思いきや、シングルコレクションである前作と曲かぶりはほとんどなし。どちらかというとコンセプトアルバムに近い本作では、2枚組のアルバムを「DISC-ネコ」と「DISC-コバン」にわけ、「ネコ」ではネコっぽい曲=かわいらしい曲を中心としたセレクト、「コバン」は「暗闇の中、禁断の宝箱を開けるかのような迷宮の谷山ワールド」をイメージした曲を選んだ作品になっていました。ベスト盤を2作続けてリリースしながら、曲かぶりがほとんどなし、という点、キャリア50年を誇る彼女らしい楽曲の充実さを感じさせます。

特にこのアルバムに収録されている曲とシングル曲では大きな違いを感じさせる点も少なくなく、時代によって曲調を変化させ、歌謡曲テイストも強かったシングル曲に比べると、このベスト盤に収録されている作品は、同じ傾向の曲を収録しているから、という理由もあるのでしょうが、谷山浩子らしいサウンドをしっかりと確立しています。特にこのアルバムに収録されている曲は、アコースティック的な暖かさを感じるファンタジックな要素の強い作風の曲ばかり。方向性が若干はっきりしなかったシングル曲よりも、明確に谷山浩子としてのベクトルを感じます。

メロディーラインにしても、ともすればシングル曲以上のインパクトを感じます。特に「DISC-ネコ」ではインパクトのあるかわいらしい曲も目立ちます。「花さかニャンコ」なんて、谷山浩子の曲と認識しないまま、なぜか私、知っていましたし・・・。どこで知ったんだろう?「みんなのうた」で流れていたので、子どもが見ていたのを一緒に見て、いつの間にか聴いていたんでしょうか?「ヤマハ発動機社歌」などもタイトル通り、なんと正式な社歌を谷山浩子がつくっているのですが、インパクトたっぷりで思わず歌いだしたくなります。

そしてシングル曲でも感じた歌詞のインパクトの強さは、もちろんこのベスト盤でも健在。一番印象的だったのは「ピヨの恩返し」で、もともとは声優の岩男潤子に提供した曲のセルフカバー。ほっこりとした夫婦の歌なのですが、読み取り方によって解釈がかわりそうなファンタジックな歌詞が魅力的。あと「フィンランド」もかなりユニークで、うる覚えでフィンランドについて歌っている曲は、フィンランド政府から抗議が来てもおかしくなさそうな感じも(笑)。さらに今回、新曲として「きみがいるから」という曲をあらたに録音しているのですが、こちら、身体の中の臓器な血管などに感謝するという歌詞で、かなり不思議な感じですし、なおかつユーモラスたっぷりな内容になっています。

歌詞の世界観といえばさらにユニークなのは「Disc-コバン」収録曲。ファンタジックな世界観をベースとしつつ、かなり不気味な雰囲気を醸し出している歌詞がインパクト大で、ファンタジックながらも背徳感のある歌詞が印象的な「Elfin」や、ホラーじみた不気味な世界観が特徴的な「手品師の心臓」など、幻想的な彼女の世界観がよりさく裂された作品が並びます。

シングルコレクションの収録曲以上に聴き応えがあり、谷山浩子の世界観がしっかりと感じられるベストアルバム。シングルコレクション以上に彼女を知るためのアルバムとしては最適な作品のようにも感じました。個人的にも彼女の作品をまとめて聴くのはシングルコレクションに続く2作目なのですが、本作はシングルコレクション以上に魅力的に感じました。デビュー50年というキャリアを誇る彼女の実力をあらためて感じさせてくれるベストアルバムでした。

評価:★★★★★

谷山浩子 過去の作品
ひろコーダー☆栗コーダー(谷山浩子と栗コーダーカルテット)
HIROKO TANIYAMA 45th シングルコレクション


ほかに聴いたアルバム

Are U Romantic?/UA

昨年、AJICOとして実に20年ぶり(!)のEPをリリースし、久々にその名前を聴いたUA。現在はなんとカナダに居を構えているのですが、そんな彼女がUA名義としても約8年ぶり、久々のニューアルバムをリリースしました。今回のアルバムはカナダ在住で日本と距離を置いている彼女が、あらためてJ-POPを見つめなおし、彼女が今考えるポップスを表現した作品になっているとか。さらに今回は様々なミュージシャンとコラボ。ハナレグミ、くるり岸田繁、Dragon AshのKjなど、キャリア的に彼女と同世代のミュージシャンや、NulbarichのJQ、中村佳穂、GEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーなど、最近話題のミュージシャンとコラボを実施しています。ある意味、ちょっと音楽シーンから離れていた彼女が、バリバリ音楽シーンの中心で活動を続けていたミュージシャンに手を取ってもらって、今のシーンに復帰した、という形でしょうか。結果、わずか6曲のミニアルバムですが、6曲、それぞれ異なる雰囲気の内容に。多彩なサウンドが楽しめるアルバムになっているのですが、どの曲もポップを志向しつつも、微妙にUAらしい独特のグルーヴ感を加えているのがユニークな作品。久々にシーンに復帰した彼女のリハビリ的な作品と言えるかもしれませんが、しっかりとUAとしての個性を作品に反映させた内容になっています。今後は再び本格的にシーンに復帰するのでしょうか?次のアルバムも非常に楽しみになってくるミニアルバムでした。

評価:★★★★★

UA 過去の作品
ATTA
ハルトライブ
KABA
JaPo

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2022年8月 5日 (金)

新生ボーカルでの第1弾

Title:ネオン
Musician:水曜日のカンパネラ

そのユーモラスな歌詞とクオリティーの高いサウンドメイキングが話題となり、一躍人気となった水曜日のカンパネラ。一時期は、毎年1枚以上のペースでアルバムをリリースするなど積極的な活動が目立ったものの、2019年にリリースされたEP「YAKUSHIMA TREASURE」以降、活動がストップ。どうしたんだろう、と心配していたのですが、昨年9月、衝撃的なニュースが走りました。ボーカル、コムアイの脱退と2代目ボーカリスト詩羽の就任。コムアイといえば文字通り、水曜日のカンパネラの「顔」だっただけに、ボーカルの脱退+変更というのは大きな衝撃が走ると同時に、新ボーカルはあのコムアイの代わりを務まるのだろうか、と心配にもさせられるニュースでした。

そしてリリースされた今回のニューアルバム。配信限定で8曲入りですから、イメージとしてはフルアルバムとミニアルバムの中間を行くようなスタイルといった感じで、新ボーカリスト、詩羽のあいさつ代わりの作品と言ってもいいでしょう。そして聴いてみた結果としては、予想以上に水曜日のカンパネラらしいアルバムに仕上がっており、新ボーカリスト詩羽も、水カンのイメージに思った以上にピッタリとマッチしていました。

楽曲としてはいままでの水曜日のカンパネラの方向性と全く変わりありません。軽快でリズミカル、トランス的な要素も強いエレクトロサウンドに、歴史ネタや昔話ネタなどをコミカルに織り込んだ歌詞を、所々にリズミカルなラップを加えて歌うスタイル。もともと水カンの音楽はケンモチヒデフミが行っていただけに、ボーカルが代わったからといって音楽性が変わらないのは当たり前といえば当たり前なのですが、ただ、この水カンの音楽性に詩羽のボーカルが非常にマッチ。コムアイといえば、ちょっと幼さも感じさせつつも、一方では芯の強さも同時に感じさせるようなボーカルが大きな魅力だったのですが、詩羽の方向性も同じで、ちょっと舌ったらずな部分も感じさせるボーカルのですが、同時に既にボーカリストとしてのスタイルを確立している強さも感じます。この彼女のボーカルスタイルが水カンの音楽性に非常にマッチしており、よく彼女のようなボーカリストを見つけてきたなぁ、という驚きすら感じます。

また今回のアルバムは、詩羽としての最初のアルバムということもあるのでしょう、水曜日のカンパネラとして王道的な作風となっています。いままでの水曜日のカンパネラのスタイルをなぞるような作品も多く、例えば「織姫」などは昔話をコミカルに描いたという意味で水カンの代表曲「桃太郎」を彷彿とさせます。おしとやかな女性だった織姫が1年たったらパリピなラッパーになっていたという設定はかなり笑えます(ただ、「ギャグマンガ日和」に似たようなネタがあったような・・・)。いろいろな単語をリズミカルにラップするというスタイルでは「バッキンガム」も、「シャクシャイン」を彷彿とさせるようなナンバーに。意図したかどうかは不明ですが、コムアイ時代の水カンの代表曲と似たようなタイプの曲をあえて演ることによって、コムアイのイメージの強かった水曜日のカンパネラを、詩羽のイメージに塗り替えようとしたのかもしれません。

そんな水曜日のカンパネラらしい作品が並んでいただけに、目新しさはないかもしれません。ただ、コムアイボーカルとして演れることをやりつくした感のあった以前に比べ、新たなボーカルを入れたことにより新鮮味が復活し、水カンの王道路線とはいえ、全く新しい一歩を同時に感じさせるアルバムになっていました。そしてあらためて、水曜日のカンパネラはやはりケンモチヒデフミのグループであり、なおかつ彼の才能は全く衰えていなかったことを感じます。

個人的に予想以上の傑作アルバムに仕上がったおり、上半期私的ベストアルバムの2位に選んだとおり、文句なしに今年を代表する傑作アルバムに仕上がっていたと思います。ボーカル変更はどちらかというと期待より心配が上回っていたのですが、その心配が杞憂だったと強く感じさせるアルバムになっていました。詩羽がボーカルのこれからの水曜日のカンパネラの活動もすごく楽しみです。ちなみにライブにも行きたいのですが、ライブだと、コムアイボーカルの曲も演ってくれるのかなぁ・・・。

評価:★★★★★

水曜日のカンパネラ 過去の作品
私を鬼ヶ島へ連れてって
ジパング
UMA
SUPERMAN
ガラパゴス
猫は抱くもの(オリジナル・サウンドトラック)
YAKUSHIMA TREASURE(水曜日のカンパネラ&オオルタイチ)


ほかに聴いたアルバム

HOPE/WISH /平井大

デビューから10年を経て、最近、人気急上昇中のシンガーソングライター、平井大。ジャンル的にはこれからの夏のイメージにピッタリなサーフミュージックで、爽やかで軽快なサマーソングを聴かせてくれます。本作は23曲入りというフルボリューム。アコギやピアノで聴かせるオーガニックな雰囲気の曲から、打ち込みを入れてきている曲まであり、全体的には様々なバリエーションが。ただその結果、アルバムとしての統一感に欠けていて、どちらかというと「プレイリスト」という表現がピッタリきそうな内容になっています。個人的にはもうちょっと曲を絞ってアルバムとしての統一感を持たせた方がよかったような印象を受けました。

評価:★★★★

レイジーサンデー/Saucy Dog

現在、「シンデレラボーイ」が大ヒット中の3ピースロックバンドによる、同曲も収録しているミニアルバム。「シンデレラボーイ」を含めて、歌謡曲的な作風の曲が並んでおり、特に歌詞の世界観についてはふとした日常の風景描写と心理描写が非常に秀逸。「シンデレラボーイ」についても確かにあれだけヒットする理由はわかるような気がします。ただ一方で、全曲似たようなタイプの曲なのが気になってしまいます。また、今の若い世代でも、こういう歌謡曲的なウェットな世界観が受けるんだ・・・という印象も。どこか日本人のDNAに埋め込まれた感情なのでしょうか?

評価:★★★★

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2022年8月 4日 (木)

新譜ラッシュ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot Albumsは10曲中9曲までベスト10初登場という新譜ラッシュに。ただ、その中でもアイドル系がまた目立つチャートとなっています。

まず1位初登場は韓国の男性アイドルグループSEVENTEEN「SECTOR17」がランクインです。5月にリリースされたオリジナルアルバム「Face the Sun」に曲を追加し、パッケージを変更して再発されるリパッケージアルバムで、ファンに同じ曲の2度買いを強いる、かなり酷い売り方だと思うのですが、なぜかあまり批判の声は聞こえてきません。熱心な信者以外にあまり知られていないからでしょうか。CD販売数1位、ダウンロード数41位、PCによるCD読取数26位。韓国盤なのになぜかまたCD販売数が加味されています。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上21万5千枚で1位初登場。直近のオリジナルアルバム「Face the Sun」の初動38万4千枚(1位)からダウンしています。

2位は、こちらも韓国の女性アイドルグループTWICE「Celebrate」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数8位。こちらは日本国内盤。オリコンでは初動11万4千枚で2位初登場。直近作はベスト盤「#TWICE4」で、同作の初動6万5千枚(1位)からアップ。国内盤オリジナルアルバムの前作、「Perfect World」の初動6万5千枚(1位)からもアップしています。

3位には、ようやく日本の女性アイドルグループPerfume「PLASMA」が初登場。CD販売数3位、ダウンロード数1位、PCによるCD読取数3位。オリコンでは初動売上4万2千枚で3位初登場。直近作はEP盤「ポリゴンウェイヴEP」で同作の2万7千枚(2位)よりアップ。直近のオリジナルアルバム「Future Pop」の8万枚(1位)からは大きくダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず5位に、バーチャルYou Tuberグループのにじさんじ所属のバーチャルYou Tuber、「flores」がランクイン。本作がデビュー作のミニアルバムとなります。CD販売数4位、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数42位。オリコンでは初動売上2万2千枚で6位に初登場しています。

6位初登場は刀剣男士 formation of パライソ「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~静かの海のパライソ~」。ゲーム「刀剣乱舞」を元としたミュージカルから登場したユニットによる楽曲。オリコンでは初動売上1万7千枚で7位初登場。同シリーズの前作、刀剣男士 formation of 心覚名義による「ミュージカル『刀剣乱舞』-東京心覚-」の初動2万6千枚(2位)からダウンしています。

7位には韓国の男性アイドルグループSUPER JUNIOR「The Road:Keep On Going」が7位にランクインし、ベスト10初登場。CD販売数6位、ダウンロード数87位。韓国盤なのですが、こちらもなぜか本来、輸入盤はカウントされないはずのCD販売数でカウントされています。オリコンは1万枚を売り上げて、先週の18位から8位にランクアップしています。

8位初登場はMidnight Grand Orchestra「Overture」がランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数40位。VTuberの星街すいせいと音楽プロデューサーTAKU INOUEによるユニットのデビューミニアルバムとなります。オリコンでは初動売上9千枚で9位初登場。

9位には「テレビアニメ『パリピ孔明』 VOCAL COLLECTION MEGAMORI!!」が初登場でランクイン。テレビアニメ「パリピ孔明」の挿入歌を集めたアルバム。CD販売数は14位、PCによるCD読取数も30位に留まりましたが、ダウンロード数が2位にランクインし、総合順位ではベスト10入りを果たしました。オリコンでは初動売上6千枚で13位初登場。

最後10位には玉置浩二「THE BEST ALBUM 35th ANNIVERSARY~メロディー~」がランクイン。タイトル通り、彼のソロデビュー35周年を記念してリリースされたベストアルバムで、ファン投票の結果と彼自身によるセレクトによる楽曲が収録されています。CD販売数9位、ダウンロード数15位、PCによるCD読取数45位。オリコンでは初動売上7千枚で12位初登場。ちなみに彼が所属しているバンド、安全地帯のベストアルバム「THE BEST ALBUM 40th ANNIVERSARY~あの頃へ~」も11位にランクインしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2022年8月 3日 (水)

ジャニーズ系を下したのは・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まずオリコン週間シングルランキングの話からとなるのですが、今週、同ランキングでKinki Kids「Amazing Love」でした。作曲に山下達郎を迎えた強力盤で、初動売上23万5千枚と前作「高純度romance」の初動16万5千枚(1位)からアップしましたが、Hot100ではCD販売数及びPCによるCD読取数で1位を獲得したものの、ラジオオンエア数10位、Twitterつぶやき数31位、You Tube再生回数87位、それ以外のチャートは圏外となり、総合順位は2位に留まりました。

そんなジャニーズ系を下したのは同じ男性アイドルグループでBE:FIRST「Scream」。SKY-HIが自費を投じたオーディション「THE FIRST」から生まれたグループ。8月31日リリース予定のアルバム「BE:1」からの先行配信曲。ダウンロード数、Twitterつぶやき数及びYou Tube再生回数で1位、ストリーミング数、ラジオオンエア数で2位を獲得し、総合順位では見事1位獲得となりました。

そんな2曲につけて3位に入ってきたのはSEKAI NO OWARI「Habit」。先週の2位からワンランクダウンながらも今週もベスト3をキープ。ストリーミング数は先週から変わらず3位。You Tube再生回数はBE:FIRSTに押し出される形で2位にダウン。ただ、ダウンロード数は3位から10位にダウンしてしまいました。ただ、これで12週連続のベスト10ヒット&8週連続のベスト3ヒットとなりました。

一方、その「Habit」とデッドヒートを繰り広げているOfficial髭男dism「ミックスナッツ」は3位から4位にダウンしながらも「Habit」の後を今週もピッタリとつけています。ただストリーミング数は3位から4位、ダウンロード数は5位から8位、You Tube再生回数も9位から11位と下落傾向が続いています。これで16週連続のベスト10ヒットとなります。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず5位に22/7「曇り空の向こうは晴れている」がランクイン。CD販売数2位、PCによるCD読取数38位、Twitterつぶやき数17位。秋元康プロデュースの女性声優アイドルグループの新作。曲のタイトルはいかにも秋元康らしいあざとさにあふれています。オリコンでは初動売上5万8千枚で2位初登場。前作「覚醒」の5万9千枚(2位)からほぼ横ばいの結果に。

また10位に韓国の女性アイドルグループTWICE「Celebrate」が先週の12位からランクアップしてベスト10初登場。7月27日にリリースされた同タイトルのアルバムの収録曲。ストリーミング数6位、Twitterつぶやき数7位のほか、ダウンロード数16位、ラジオオンエア数22位にランクインしています。

今週の初登場曲は以上。一方、ロングヒット曲はまずTani Yuuki「W / X / Y」は4位から6位にダウン。ただ、ストリーミング数は先週から続けて1位をキープしています。これで17週連続のベスト10入りとなりました。

Saucy Dog「シンデレラボーイ」は先週から変わらず9位をキープ。ただ、ストリーミング数は5位から7位にダウンしています。これで通算26週目のベスト10ヒットとなりました。

さらに今週、Ado「新時代(ウタ from ONE PIECE FILM)」が7位にランクインし、これで8週連続のベスト10ヒットとなりました。映画「ONE PIECE FILM RED」の主題歌として注目を集めており、今週もストリーミング数で8位にランクインしたほか、ダウンロード数で3位にランクインしています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2022年8月 2日 (火)

2022年上半期 邦楽ベスト5

昨日に引き続き、本日は上半期邦楽ベストアルバムです。

5位 七号線ロストボーイズ/amazarashi

聴いた当時の感想は、こちら

コロナ禍の中で、コロナ禍をテーマとしたアルバムをリリースしてきたamazarashiですが、そんな彼らの最新アルバムは、彼らの出自である青森をテーマとした作品。タイトルの「七号線」は、青森を走る国道7号線から取られたもののようですし、そのほか、青森の具体的な固有名詞が数多く登場しており、あらためて彼らの原点に立ち返ったとも言える作品になっています。そんな中で懸命にその日を暮らす人々に対する視点は相変わらず。特に歌詞については今まで以上にインパクトが強く、文句なしの傑作に仕上がっていました。

4位 Muddy comedy/山中さわお

聴いた当時の感想は、こちら

the pillowsの山中さわおによるソロアルバム。ここ最近はソロ作でもバンドサウンドを前に押し出した作品をリリースしていましたが本作も同様。さらに、ソロ作ではthe pillowsの作品以上に、山中さわおの歌いたいことを前に出した内省的な歌詞が特徴的なのですが、今回の作品もthe pillows以上に山中さわおらしい歌詞が特徴的。the pillowsが好きなら、かなりはまりそうな作品になっています。ちょっとこれをthe pillowsで演ってほしかったなぁ、という感じもしないではないのですが、彼のトータルキャリアの中でも指折りの傑作でした。

3位 物語のように/坂本慎太郎

約6年ぶりとなる坂本慎太郎のニューアルバム。空間を生かすシンプルにまとめたサウンドと、人なつっこさがありつつも、どこか一筋縄ではいかない「ポップ」なメロディーラインが相変わらずの独特の空間を醸し出しています。さらに今回のアルバムはコロナ禍の中で作成されたということもあって、そんな現状を反映された歌詞も特徴的。いままで以上に歌詞は具体性を増したようにも感じられ、より心にストレートに響いてくるような、そんな傑作に仕上がっていました。

2位 ネオン/水曜日のカンパネラ

まさかのコムアイ脱退&詩羽の2代目ボーカリスト就任により、あらたなスタートを切った水曜日のカンパネラ。そんな新生水カンの第1作は、まずは挨拶代わりの配信限定アルバムとなるのですが、あらためて水曜日のカンパネラらしい作品を、新たなボーカルにより提示したような作品。彼女たちの王道路線とも言える作品なのですが、一方、新たなボーカリストを入れることにより、新鮮味も復活しています。なにより、ケンモチヒデフミの作る水カンのサウンドに詩羽のボーカルがピッタリマッチしているところが素晴らしいところ。文句なしの傑作でした。

1位 BADモード/宇多田ヒカル

聴いた当時の感想は、こちら

最近ではシンガーソングライターとして、ある意味「すごみ」すら感じさせる宇多田ヒカル。今回のアルバムでも、独特な歌詞の言い回しや、今時なサウンドを取り入れつつ、ともすれば歌謡曲的とも感じられる日本人の琴線に触れそうなメロディーラインを歌いあげるスタイルは、他を寄せ付けない圧倒的な独自性と実力を感じます。特に今回のアルバムでは、エレクトロサウンドやジャズなどといった最近のサウンドも積極的に取り入れており、海外との同時代性を感じさせる作風も魅力的。デビュー作から天才少女と言われた彼女ですが、それから20年以上を経て、このクオリティーを維持するあたり、とんでもないミュージシャンだということをあらためて感じてしまいました。

ほかのベスト盤候補としては・・・

NIA/中村佳穂
OVERHEAT49/百々和宏
アダプト/サカナクション
レキシチ/レキシ
笑い死に/般若
春火燎原/春ねむり
クモヨ島/幾何学模様
ALONE/OMSB

全体的には上期に関して、かなり豊作だったように感じます。上位では、1位から3位までが、かなり順位を迷うような同レベルの傑作。4位、5位と、OMSBの「ALONE」が、同じくらいのレベルの傑作だったように感じます。他に、事実上、シングルと同水準のEP盤だったのでベストアルバムには選びませんでしたが、イズミカワソラの「Continue」とTHE BAWDIESの「FREAKS IN THE GARAGE -EP」は、この水準でフルアルバムをリリースしてこれば、文句なしに年間1位2位クラスになりそうな傑作でした。

あらためてベスト5を振り返ると・・・

1位 BADモード/宇多田ヒカル
2位 ネオン/水曜日のカンパネラ
3位 物語のように/坂本慎太郎
4位 Muddy comedy/山中さわお
5位 七号線ロストボーイズ/amazarashi

最近、再びひどくなってきたコロナ禍ですが、とはいえ、ライブも普通に開催されるようになったり、少しずつ以前に戻りつつある点、ミュージシャンにとっても音楽活動を活発化させ、それが傑作のリリースにつながっているのでしょうか。下期の動向も楽しみです。

ちなみに過去のベストアルバムは

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期
2016年 年間1  上半期
2017年 年間1  上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  
上半期
2021年 年間1  上半期

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2022年8月 1日 (月)

2022年上半期 洋楽ベスト5

今年も早いもので半年が経過しました。恒例の上半期私的アルバムベスト5、今日は洋楽編です。

5位 sore thum/Oso Oso

聴いた当時の感想は、こちら

ニューヨークに拠点を置く、エモコア系バンドのニューアルバム。前作「Basking In The Glow」も非常に優れた傑作アルバムでしたが、それに続く本作もまた、傑作アルバムをリリースしてきました。なんといってもポップながらメランコリックなメロディーラインが日本人の壺をつきそう。そんなメロディーラインを分厚いバンドサウンドにのせて、曲によってはピアノやアコギの弾き語りなどバラエティーを持たせつつ、最後まで一気に聴かせます。今後、さらに日本でも注目を集めそうなバンドです。

4位 Skinty Fia/Fontaines D.C.

聴いた当時の感想は、こちら

本作で全英チャート1位を獲得するなど、人気上昇中のバンドFontaines D.C.。ヘヴィーでノイジーなバンドサウンドを前に押しつつ、ローファイ気味なサウンドを聴かせるバンドで、本作では特にいままでと比べて、メランコリックなメロディーラインをより前面に押し出したことにより、リスナーとして素直に耳を惹く作品に仕上がっています。また今回の作品は、特に彼らの母国であるアイルランドのアイデンティティを意識的に取り込んだ作品としても注目を集めています。彼らもまた、日本でも今後さらに注目を集めそうです。

3位 Topical Dancer/Charlotte Adigery&Bolis Pupul

聴いた当時の感想は、こちら

マカオ出身のプロデューサー、Bolis Pupulとベルギーのシンガー、Charlotte Adigeryとのユニットによる1stアルバム。シンプルでエッジの効いたエレクトロビートと、メロウさとポップさを兼ね備えた女性ボーカルによる「歌」という組み合わせが耳を惹きます。また、マカオとベルギーのミュージシャンの組み合わせということもあって、無国籍的な要素をどこか感じて、それが大きな魅力に。ある意味、ジャンルにあてはまらない自由さを感じさせる傑作アルバムでした。

2位 Glitch Princess/yeule

聴いた当時の感想は、こちら

シンガポール出身の女性シンガーソングライター、ナット・チミエルのソロプロジェクトyeuleによる2枚目となるアルバム。ドリーミーで第皆ミックなサウンドを用いつつ、メロディーラインは至ってポップでキュートですらある点が魅力的。幻想的なドリームポップが主体となっており、シューゲイザー好きやドリームポップ好きなら間違いなくはまりそうなミュージシャンです。ちなみにこのyeuleという名前はFFXIIIのキャラクターから取られたそうで、そういう意味でも日本人にもなじみがありそう。

1位 Boat Songs/MJ Lenderman

聴いた当時の感想は、こちら

アメリカのシューゲイザー系インディーロックバンドWEDNESDAYでギタリストとして活躍しているJake Lendermanによるソロプロジェクト。80年代のインディーロックと70年代のロックの融合体のようなスタイルが特徴的で、シューゲイザー系や、その後のオルタナ系ロックに軸足を取りつつ、カントリーロックやブルースロックへの憧憬も深いというスタイルが魅力的。80年代インディーロックと70年代ロックを等距離で取り込んだサウンドが、逆に新鮮味を感じさせます。

ちなみにほかのベスト盤候補は・・・

CAPRISONGS/FKA Twigs
LAUREL HILL/Mitski
Dragon New Warm Mountain I Believe in You/Big Thief
MOTOMAMI/ROSALIA
Diaspora Problems/Soul Glo
Fear Of The Dawn/Jack White
WHO CARES?/Rex Orange County
We/Arcade Fire
Mr. Morale & the Big Steppers/Kendrick Lamar
A Light For Attracting Attention/The Smile

上半期、洋楽に関しては結構良作が多かったように感じます。ただ一方、全体的にどんぐりの背比べといった印象は否めず、1枚、これといったアルバムはなかったようにも感じました。全体的に物足りなさを感じた昨年の上期と比べると、比較的豊作だったとは思いますが。

さて、あらためて上半期ベスト5を並べると

1位 Boat Songs/MJ Lenderman
2位 Glitch Princess/yeule
3位 Topical Dancer/Charlotte Adigery&Bolis Pupul
4位 Skinty Fia/Fontaines D.C.
5位 sore thumb/Oso Oso

下期もまた、傑作アルバムに出会えますように!

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期
2016年 年間 上半期
2017年 年間 上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  上半期
2021年 年間1  上半期

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