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2022年7月 8日 (金)

90年代J-POPに大きな影響を与えたバンド

Title:BEAT-UP ~UP-BEAT Complete Singles~
Musician:UP-BEAT

今回紹介するのは80年代後半から90年代前半にかけて活躍したロックバンドUP-BEATが、結成40周年、デビュー35周年を記念してリリースしたコンプリートシングルコレクション。1987年にリリースしたシングル「KISS IN THE MOONLIGHT」がフジテレビ系ドラマ「同級生は13歳」の主題歌となりスマッシュヒットを記録し、一躍注目を集めました。

とはいっても、人気面で言えば、彼らの先輩格にあたるBOOWYや、同じ時代に人気を博したTHE BLUE HEARTSなどと比べると、若干後塵を拝する感は否めません。アルバムは1989年にリリースした「UNDER THE SUN」や、その翌年にリリースしたベストアルバム「HAMMER MUSIC」で最高位4位を記録しているものの、シングルチャートは1988年にリリースした「DEAR VENUS」の18位が最高。私も80年代後半あたりからは、リアルタイムでヒット曲を聴いていた世代ではあるものの、今回彼らのシングル曲を聴いても、正直なところ聴いた覚えがある、という作品はありませんでした。

ただ一方で、今でもPENICILLINのHAKUEIやGLAYのTAKUROをはじめ、数多くのミュージシャンたちがその影響を公言しており、90年代以降のJ-POPシーンにも大きな影響を与えているミュージシャンで、そういう意味で実際のCDの販売数以上に重要なバンドと言えるでしょう。実際、このジャケット写真からしても、どこか90年代以降へのヴィジュアル系バンドへの影響も感じさせます。

実際、楽曲的にもあきらかにその後の90年代J-POPへのつながりを感じさせるスタイルが多く、彼ら自身もおそらくBOOWYに影響を受けているのでしょうが、いわゆるビートロックと呼ばれるような、ハードロックやグラムロックを日本風に解釈したバンドサウンドに、あか抜けた感がありつつも、どこか歌謡曲テイストも残した、転調を多用するメロディーラインというスタイルは、その後のGLAYや、そのほかヴィジュアル系と呼ばれるバンドへの影響を強く感じます。

ただ一方、彼らに影響を受けた90年代以降のJ-POPバンドが、洋楽からの影響を切り離してしまい、悪い意味でドメスティックな路線を突き進んでしまっていたのに対して、彼らに関しては、そのルーツを楽曲の中から強く感じます。ここらへん、同じくロックを歌謡曲的に解釈しつつ、ルーツはしっかり残していたBOOWYと似たような雰囲気を感じさせます。もともと彼らは、出自的にラモーンズのコピーバンドからスタートしたそうですので、それだけ洋楽からの影響も強いのでしょう。例えば「Go-Go Girl」などは完全に60年代のロックンロールの色合いを強く感じますし、「Black&Red」でもしっかりとモータウンビートを取り入れた軽快なロックンロールに仕上げています。

ちょっとベタな、その後のヴィジュアル系っぽさを感じるJ-POP的な曲も少なくなく、その点はちょっと今一つに感じる曲も少なくはないのですが、そこらへんを含めてもポップ的にインパクトある曲も多く、全38曲3時間弱というボリューム感で、そのすべてが今回はじめて聴いた曲なのですが、最後まで飽きることなく一気に聴き切れるアルバムになっていました。BOOWYや90年代J-POPが好きな方なら、ある種の懐かしさを感じつつ、楽しめるアルバムではないでしょうか。もちろん、リアルタイムにUP-BEATを聴いていた方は要チェックと言えるシングルコレクション。80年代後半から90年代前半の時代を感じながら楽しめる作品でした。

評価:★★★★★

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