よりファンクネスが増したライブ音源
Title:Live At Okinawa 2022
Musician:ZAZEN BOYS
最近は、NUMBER GIRLとしての活動も再開させ、さらに多忙となった向井秀徳。もちろん、ZAZEN BOYSとしての活動もコンスタントに行っており、特に昨年は、無観客ライブとはいえ、ZAZEN BOYSとNUMBER GIRLの対バンという夢の共演ライブを実現させてくれたりもしています。ただ一方、ZAZEN BOYSとしての新作は2012年のアルバム「すとーりーず」以来発表されておらず、ファンとしてはちょっと寂しい気持ちも持っていたりします。
そんなファンとしてはZAZEN BOYSの新譜を渇望する中リリースされたのが今回のライブアルバム。タイトル通り、今年4月22日に沖縄で行われたライブの模様を収録した作品で、向井秀徳の公式サイト「向井秀徳情報」にて無料ダウンロードでのリリースとなりました。ライブアルバムも、以前はコンスタントにリリースしていたのですが、2014年に同じく無料ダウンロードでリリースされた「Live At 大牟田ふじ」以来、約8年ぶりの作品となっています。
全20曲入りとなる本作ですが、今回はmp3ファイルを3分割にしてのリリース。約50分のファイルが2本と、12分のファイルが1本の計3本、約2時間弱というかなりのボリュームの作品となっています。
おそらくほぼノーカットでの収録だと思うのですが、ライブの雰囲気をそのまま体験できるのが魅力的。コロナ禍の中、徐々にライブもスタートしているとはいえ、やはり以前に比べると若干、ライブに躊躇してしまう方もいるであろう中、ライブの雰囲気をそのまま、それも無料ダウンロードで味わえるというのはうれしい限りです。
ZAZEN BOYSといえば2017年にベースの吉田一郎が脱退。2018年に新ベーシストとしてMIYAが加入しました。それから約4年が経過したものの、本作がライブアルバムとしてリリースされる初のアルバムとなります。ベースが代わったことにより、バンドとしてどう変化するかも注目のポイントだと思うのですが、バンドとしてメンバーチェンジを全くものともせず。むしろ以前以上にバンドとしての一体感を覚えるようなライブパフォーマンスを感じます。
さらにこのライブアルバムで強く感じるのは、以前に比べてベースラインの厚みが増し、よりリズムのファンキーさが増した感があるという点でした。特に序盤の「Honnoji」のドラミングを主導としたファンキーなリズムがゾクゾク来るほどカッコよく、さらに中盤で(公式サイトのセットリストにはのっていないのですが)「泥沼」を触りだけ聴かせるのですが、ここで聴かせてくれるMIYAのベースプレイのファンキーさにも耳を惹かれます。そしてライブでもおなじみな「ポテトサラダ」でも以前以上にリズムのファンキーさが増していますし、ラストの「Action」も黒さを感じさせるリズムが印象的でした。
ここらへん、ファンクなリズムももちろんのこと、ZAZEN BOYSのサウンドを聴くと、以前よりサウンドに黒さが増してきたように感じます。ひょっとしてですが、ギターノイズで埋め尽くすタイプの疾走感あるサウンドを聴かせるNUMBER GIRLが活動を再開したことにつれて、NUMBER GIRLとの差異をより強調するためにも、よりファンクで、ある意味、空間を聴かせるようなスタイルをより強調してきたようにも感じました。
ただ新ベーシストMIYAとの相性もよく、バンドとしての勢いも感じるZAZEN BOYS。次はそろそろ待望のニューアルバムも期待したいところ。ここらへん、ナンバガもひょっとしたら・・・といった感じもありますし、さて次の向井秀徳の一手はどうくるのでしょうか?これからが非常に楽しみです。
評価:★★★★★
ZAZEN BOYS 過去の作品
ZAZEN BOYS IV
すとーりーず
Live At 大牟田ふじ
ほかに聴いたアルバム
気まぐれサーカス/及川光博
昨年、デビュー25周年を迎えたミッチーこと及川光博の、約2年ぶりとなるニューアルバム。コロナ禍の風潮もいい意味で全く感じさせない、ミッチーらしい明るく楽しいミッチー節が展開されるファンキーなポップチューンが並ぶ本作。いつも通り彼らしいアルバムですし、ミッチーとして求められる点にしっかりと答えている点、稀代のエンターテイナーであるミッチーらしい作品と言えるでしょう。ただ「フライドポテト」は寄る年波をコミカルに描写した作品になっており、ミッチーでも・・・と思っちゃいます(笑)。それはともかく、また久々にミッチーのライブに行きたくなってくるような、そんな楽しいアルバムでした。
評価:★★★★
及川光博 過去の作品
RAINBOW-MAN
美しき僕らの世界
喝采
銀河伝説
ファンタスティック城の怪人
さらば!!青春のファンタスティックス
男心DANCIN'
20 -TWENTY-
パンチドランク・ラヴ
FUNK A LA MODE
BEAT&ROSES
BE MY ONE
XXV
JR SKISKI 30th Anniversary COLLECTION
JR東日本のスキー旅行キャンペーン「JR SKI SKI」。1990年代にCMが放映され、その後一度中断。2006年からCM放送が再開され現在に至ります。毎年、CMソングが流れるのですが、特に90年代にはここで起用されたCMソングが必ずヒットすることでも話題になりました。本作は、その「JR SKI SKI」のCMソングを集めたコンピレーションアルバム。2000年代以降の曲についてはともかく、1990年代の曲については、タイアップ効果も盛んに言われていた、まさに「JR SKI SKI」発のヒット曲で、懐かしく聴くことが出来ました。Zooやglobeといった、名前を出すだけで懐かしく感じるようなミュージシャンたちの曲が並んでおり、アラフォー以上の世代にとっては、懐かしさを感じるコンピレーションだと思います。
評価:★★★★
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