伝説のグループの60周年記念盤
Title:Temptations 60
Musician:The Temptations
60年代のモータウンを代表するコーラスグループ、テンプテーションズ。「60年代のモータウン」という括りに限らず、アメリカのミュージックシーンを代表するコーラスグループといっても間違いないグループと言っていいでしょう。テンプテーションの代表曲といえば1964年に発表された「My Girl」ですが、この曲は今や完全にスタンダードナンバーとなった1曲で、おそらく音楽にさほど詳しくない人でも、この曲は聴いたことがある、という方は多いのではないでしょうか。
そのテンプテーションズがいまだに活動を続けている、と聴いて驚く方も少なくないかもしれません。彼らはオリジナルメンバーを入れ替えつつ、継続的に活動を続けています。今でも活動を続けるテンプテーションは、なんと2021年に結成60周年を迎えたそうで、その60周年を記念してリリースされたのが本作。意外なグループの記念作として話題となっています。もちろん、メンバーのほとんどは後日加入したメンバーばかり。ただし、オリジナルメンバーとしてオーティス・ウィリアムズはいまだに在籍し続けているそうで、その点は逆に驚きとも言えるかもしれません。
そんなテンプテーションの記念すべきアルバムの1曲目「Let It Reign」はいきなりラップからスタートしてしまうので驚いてしまう方も少なくないかもしれません。サウンド的にも重低音を強調した、今どきのサウンドといった印象も強く、そこに流れてくるコーラスラインの美しさには耳を惹かれるものの、いかにも今風にアップデートされたサウンドは、賛否両論といった感じかもしれません。
しかし、この今風なスタイルにアプローチしたのはこの1曲目のみ。その後は、王道とも言えるソウルミュージックを聴かせてくれます。中でも特筆すべきは「Is It Gonna Be Yes Or No」で、同作ではかのスモーキー・ロビンソンが作曲、プロデュース、さらにはボーカルとして参加しています。非常に切なさを感じさせるメロウなメロディーラインが耳に残る作品で、スモーキー・ロビンソンの実力が今なお衰えていないことを感じさせる楽曲になっています。
さらにラストの「Come On」は、テンプテーションズの前身、オーティス・ウィリアムズ&ザ・ディスタンツが1959年に初めてレコーディングした楽曲で、ドゥーワップ的な要素も入った軽快なポップチューン。前半はグループの歴史を語るモノローグが入っており、まさに60年の記念すべきアルバムらしい構成となっています。
全体的には非常に良くできたソウル・コーラスグループのアルバムといった感じで、素直に楽しめる反面、1曲目以外は昔ながらの王道路線であり、目新しさはありません。そういう意味ではテンプテーションズを聴いたことない、という方とっては60年代のアルバムを聴いた方がよく、最初の1枚としてはあまりお勧めは出来ません。ただ、アルバムとしては素直によく出来た作品であり、コーラスラインも魅力的。テンプテーションズがしっかりと現役のグループであることも感じさせます。特に御年80歳となったオリジナルメンバーのオーティス・ウィリアムズには今後も末永く元気に活動を続けてほしいところ。70周年も是非!
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
Un Verano Sin Ti/Bad Bunny
プエルトリコのレゲトンシンガー、Bad Bunnyのニューアルバム。日本では知名度がさほど高くないものの、ラテン文化圏では圧倒的な人気を誇るそうで、このアルバムはSpotifyでは既に2022年にもっとも聴かれたアルバムとなっているそうです。基本的に軽快でリズミカルなラテンミュージックなのですが、メランコリックなメロディーラインはいい意味で聴きやすさがあり、日本人にとっても違和感なく楽しめそうなアルバム。そういう点が、世界中で広く愛されている要因なのでしょう。日本でも今後、知名度が高まっていく、かも。
評価:★★★★
Bad Bunny 過去の作品
YHLQMDLG
So Far So Good/The Chainsmokers
アメリカのダンスポップデゥオ、チェインスモーカーズの約2年半ぶりとなるアルバム。エレクトロサウンドをバックにメランコリックに聴かせつつテンポよい軽快なポップソングはインパクトもありますが、正直、いかにも今どきのヒットソングといったイメージで、これといって特徴がないような印象が・・・。デビューアルバム「Memories...Do Not Open」は大ヒットしたものの、そのあとはいまひとつ芳しい結果を残していない彼らですが、率直に言って、確かにこの内容だと厳しいものが・・・。
評価:★★★
The Chainsmokers 過去の作品
Memories...Do Not Open
World War Joy
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2022年」カテゴリの記事
- 5作同時リリース!その2(2022.12.24)
- 突如、5枚同時リリース!!(2022.12.23)
- 一気に注目度がアップ!(2022.12.20)
- 話題作に続く注目の2作目(2022.12.17)
- 熱狂的な人気(2022.12.09)
コメント