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2022年7月10日 (日)

ベルセバらしさの中に多彩な音楽性が

Title:A Bit of Previous
Muisician:Belle and Sebastian

実に7年ぶりとなるベルセバのニューアルバム。え?そんなに久しぶりだっけ??といった感じもするのですが、確かに昨年はライブアルバムをリリースしていますし、2019年には映画のサントラを兼ねた「Days of the Bagnold Summer」をリリースし、さらにその1年前には、3枚のEP盤を1枚にまとめた「How To Solve Our Human Problems」をリリースしていますし、そういう意味ではオリジナルアルバムこそ7年というインターバルを経てのリリースですが、その間も積極的な活動を続けており、7年ぶりという印象は全く感じさせません。

そんな彼らのニューアルバムですが、もともとはロサンジェルスのスタジオで制作する予定だったのですが、コロナ禍により急遽予定は変更。故郷、グラスゴーのスタジオに通いつつ制作されたそうです。そのような制作環境が影響されたのか・・・どうかはわかりませんが、非常にベルセバらしいアルバムに仕上がっていたように思います。

アルバムの冒頭を飾る「Young and Stupid」は、アコースティックなサウンドにメロディアスで爽快な美メロが心地よいネオアコ直系の彼ららしさを感じさせる曲からスタート。ギターのアルペジオとピアノをバックにしんみりと美しい歌を聴かせるフォーキーな「Do It for Your Century」は、まさに彼らの真骨頂とも言える楽曲になっています。

一方で、そんな実にベルセバらしい楽曲を軸にしつつも、何気に多彩な音楽性を取り込んできているのも特徴的で、例えば「If They're Shooting At You」など、本筋はベルセバらしい美メロを聴かせつつ、ファンク、ゴスペル、ソウルなどの要素を上手く溶け込ませていますし、オリジナルアルバムとしての前作「Girls in Peacetime Want To Dance」で聴かせてくれたエレクトロ路線も「Talk to Me,Talk to Me」「Prophets On Hold」などで健在。軽快なシンセのサウンドを取り込んでいます。

他にも疾走感あるギターロックを聴かせる「Unnecessary Drama」や、ちょっとジャジーなピアノに、シティポップっぽさも感じる「Come On Home」など、バラエティー豊富。ただ、あらためてベルセバのアルバムを聴くと、思った以上にソウルやファンクからの影響の強さも感じます。今回のアルバムは、特にそのような方向性が強かったのではないでしょうか。

ただ、そんな多彩な音楽性を取り込みつつも、全体的にはベルセバらしい美メロの歌を聴かせるネオアコ路線で貫かれており、その点、実にベルセバらしいアルバムになっていたと思いますし、またアルバムとしての統一感のある作品になっていました。オリジナルアルバムとしては、ここ数作の中でベストと言える内容ではないでしょうか。あらためてベルセバの魅力に酔いしれた1枚でした。

評価:★★★★★

Belle and Sebastian 過去の作品
Write About Love(ライト・アバウト・ラヴ~愛の手紙~)
Girls in Peacetime Want To Dance
How To Solve Our Human Problems
Days of The Bagnold Summer
What To Look For In Summer


ほかに聴いたアルバム

It's Time...to Rise From The Grave/Undeath

アメリカのデスメタルバンドによるニューアルバム。デスメタルバンドらしい、デス声にヘヴィーなサウンドを聴かせてくれるバンドで、音楽的な評価も高い模様。確かに、ヘヴィーなバンドサウンドは単純に力業といった感じに留まらない凝ったサウンドを聴かせてくれるだけに、デスメタルなどを普段聴かない私でも最後まで楽しめる作品になっていたのですが、ただ、全体的にはちょっと一本調子だったかな?いいアルバムだとは思うのですが。

評価:★★★★

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