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2022年7月17日 (日)

時代を超えた名曲

Title:花-20周年記念集-
Musician:ASA-CHANG&巡礼

東京スカパラダイスオーケストラのリーダーとしてデビューし、1993年に脱退。その後はパーカッション奏者として活躍するASA-CHANG。その彼が1998年に結成したユニットがASA-CHANG&巡礼で、2000年には現在もタブラ奏者として活躍し、このサイトでもアルバムを何度か紹介したことのあるU-zhaanもユニットに加わりました(2010年に脱退)。そのASA-CHANG&巡礼の代表作と言えるのが2001年に発表した「花」。映画「けものがれ、俺らの猿と」のエンディングテーマとして起用されたほか、2013年にリアレンジした「花-a last flower-」がアニメ「惡の華」のエンディングテーマとして起用されて、話題となりました。

本作は、その「花」の発表から20周年を記念したことによりリリースされた、「花」に関する様々なバージョンの作品をまとめたアルバム。オリジナル版や「花-a last flower-」はもちろん、レイハラカミや長谷川白紙によるリミックスや、現在のASA-CHANG&巡礼のメンバーによるセルフカバー、さらにはリミックスコンテストでの入賞作をまとめた全7曲入りのアルバム。ちなみにジャケットは「惡の華」の原作者、押見修造による作品となっています。

今回、久しぶりに「花」を聴いてみたのですが、やはり今でも聴き継がれている理由が納得できる名曲ということをあらためて感じました。全編、物悲しいストリングスの音色がまずは耳に残りますし、そんな中、声をタブラと同期させて「音」として取り扱っているスタイルが挑戦的。しかし、同時に、声は「音」としてだけではなく、しっかりと歌詞の内容もリスナーに伝わってきます。実験性とある種のポピュラリティーをしっかりと両立させた傑作で、あらためて「花」の魅力を感じることが出来ました。

そんな「花」を様々な形でリアレンジしているのですが、その解釈もユニーク。レイハラカミによるリミックス「あたらしい花」は、いわばストリングスの部分をレイハラカミの独特のサウンドに置き換えている形。「花-a last flowrer-」ではストリングスの代わりにフルートが入り、ちょっと優雅な雰囲気が出てきているのがユニーク。

現在のメンバーによるセルフカバー「花(ヒア☆ナウ☆)」では、ヴァイオリンやフルートを要する現在のメンバーによる新たなアレンジがユニークで、原曲に比べると、ガラッと明るい雰囲気になっている点が面白みを感じますし、長谷川白紙によるリミックスは、逆に思いっきりアバンギャルドさを増したアレンジに。同じ曲でも全く異なる雰囲気になっています。

最後に並ぶリミックスコンテストの入賞作も、ドリーミーなアレンジとなっている「Hana(Double Suicide Remix)」や、フュージョン風のアレンジを入れた「花(辺乃銀一郎Remix)」のどちらも秀逸。それぞれの個性が光るアレンジとなっていました。

全7曲、7通りのアレンジがありながらも、どの1曲として同じ雰囲気の曲調になっていない点が非常にユニークですし、それにも関わらず、どの曲も間違いなく「花」になっていた点も「花」という楽曲自体の持つ強度を感じます。いつもちょっと実験的な要素が強く、違和感を覚える点も多いASA-CHANG&巡礼ですが、「花」のもともと持つポピュラリティー故でしょうか、これらの作品に関しては、実験性と大衆性がしっかりと両立されており、いい意味での聴きやすさも感じました。ASA-CHANG&巡礼のファンはもちろん、参加しているミュージシャンや「惡の華」で「花」を知ったような方にも是非とも聴いてほしい傑作でした。

評価:★★★★★

ASA-CHANG&巡礼 過去の作品
影の無い人
ASA-CHANG&蒐集(ASA-CHANG)
まほう
事件

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