グッドメロディーは今でも
小沢健二 So kakkoii 宇宙 Shows
会場 名古屋国際会議場センチュリーホール 日時 2022年6月20日(月)18:30~
おそらくアラフォー世代以上にとっては、おそらく名前を聞くだけで懐かしく感じる存在ではないでしょうか。小沢健二。ご存じ、伝説のユニット、フリッパーズギターのメンバーとしてデビュー。特に90年代には、そのルックスから王子様キャラがアイドル的人気も博し、紅白歌合戦にも出場するなど、お茶の間レベルで大人気となりました。
その後、人気絶頂期にヒットシーンから遠ざかり、一時期は事実上の引退状態だったのですが、2010年代から徐々に活動を再開。2019年には待望のオリジナルアルバム「So kakkoii 宇宙」をリリースし、今回はそのリリースツアー。ただ、当初のツアーはコロナ禍により延期を余儀なくされ、それから約2年。ようやく行われたツアーのチケットを確保。初めてオザケンのライブに足を運んできました!
ロビーには、彼の歌詞を東京の地図に重ね合わせた展示がされていました。ここらへん、オザケンらしい・・・。
会場はほぼ満員。周りを見ても、やはり90年代に彼にはまった40代50代あたりがほとんど。親子連れの姿もチラホラ。開始予定時間を15分ほど過ぎると、まず小沢健二のアナウンスでバンドメンバーが一人ずつ登場。この日は総勢30名程度の大所帯で、ストリングスが20人程度ズラリとそろった他、ティンパニーやパーカッションなど、かなりの陣容を揃えたステージとなっていました。バンドメンバーは全員、ゆったりとしたポンチョみたいな服装で、それぞれピンクか黄緑色に塗られていました。バンドメンバーが全員揃うと、会場が真っ黒になり、その服がピンクや黄緑色に光り出します。観客席でもライブグッズにピンクや黄緑色の発行体があったようで、会場全体がピンクと黄緑色の光で美しい風景に・・・。やがて会場の照明がつくと、いつのまにかステージの真ん中にオザケンが!会場が沸き上がり、ライブのスタートとなります。
ライブはまず「流動体について」からスタート。続いて「飛行する君と僕のために」と最近の曲が続きます。この日のライブは「So kakkoii 宇宙」からの曲が中心となるのですが、その間に懐かしい彼の90年代の楽曲もはさむようなスタイルに。彼の過去の代表曲も数多く披露されたので、まさに昔からのファンにとっては感涙モノの展開ではなかったでしょうか。
序盤では「大人になれば」に「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」がメドレー形式で続きます。これらの曲に挟まれて、バラードの名曲「いちょう並木のセレナーデ」に!「大人になれば」もそうですが、非常に懐かしいナンバーに思わず聴き入ってしまいます。
曲と曲の間のMCは、彼のエッセイの朗読といったスタイル。理屈っぽい内容が良くも悪くもいかにもオザケンらしいのですが(笑)、印象的だったのが、コロナ禍で声が出せなくなった今、みんなで合唱できなくなったものの、顔の表情などで観客が(心の中で)歌っている声は、ちゃんと自分たちに聴こえてくる、という話。そういう意味でコロナ禍で歌えなくなっても、ミュージシャンにとっては特に何も違いがないという話はちょっと感動しました。
さらに、なんと「今夜はブギーバッグ」へ!まさかこの曲をオザケンボーカルで、それもライブで聴ける日が来るとは・・・個人的にこの日、一番感動した瞬間でした。スチャダラパーのラップの部分は省略されていたのですが、懐かしい名曲をじっくりと味わうことが出来ました。
その後も「フクロウの声が聞こえる」のような最新のナンバーを聴かせてくれたかと思えば「天使たちのシーン」「ローラースケート・パーク」、さらには「東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディー・ブロー」なんていう懐かしい楽曲を惜しみなく聴かせてくれます。中盤から後半にかけては、ほぼMCもなく、途切れないメドレー形式のように次々と曲が展開していきます。そしてなんといっても後半に盛り上がったのは「強い気持ち・強い愛」!これもまた待ってましたといったナンバーでしたが、会場は一気に盛り上がります。
そしてここからステージは一気にラストスパートに。ラストは「高い塔」や「ある光」、そして「彗星」とこれまた新旧まじえたナンバーでとりあえずは幕を下ろします。
もちろん会場からは盛大なアンコールが。比較的早いタイミングで再びメンバーがステージに戻ります。MCでは「昔、僕の小難しい歌詞にはまった方は、既に40代、50代になっているでしょうが・・・」というMCに会場から笑いも沸きます。そうだよなぁ、私ももう、気が付けば40代なんだよなぁ、と思いつつ「取返しがつかない失敗をしてしまった方もいるでしょうが」というMCから「失敗について」へ。取返しがつかない失敗をしたのは、オザケンの元相方だよ!と心の中で突っ込みを入れつつ、曲に聴き入ります。さらに、それに続くMCでは、この日がアルバムのジャケット写真となった彼の長男(りーりーと呼ばれているみたいです)の誕生日だそうで、なんと、その8歳(9歳?)の長男本人が登場!さらに次男も一緒にステージに登場し、会場は大盛り上がり。この日には誕生日プレゼントをもらったそうで、オザケンから「言わなきゃいけないことがあるだろ」とパパらしく(?)注意を受けると、マイク片手に大声で「アジャーシタ!」と子供らしいお礼のメッセージが。いやぁ、かわいらしく、とても微笑ましい瞬間でした。
そしてその後は「ラブリー」がイントロだけ流れ期待を持たせたかと思えば、そのまま大名曲「ぼくらが旅に出る理由」に!個人的にオザケンの曲で一番好きな曲だけに待ってました!という瞬間でした。じっくりと名曲を味わった後、「薫る(労働と学業)」そして再び「彗星」へと続き、ライブは終了。最後はMCで(お約束のようですが)カウントダウンが行われ「生活に帰ろう」の一言でライブは終了。後ろ髪をひかれる気分で「生活」に戻っていきました。
約2時間半のかなりボリューミーなステージでしたが、懐かしの曲の連続で、あっという間に時間が過ぎていきました。アルバムでもそうでしたが、ライブでも最初、オザケンの声が、特に高音部がほとんど出ておらず、(昔からだけど)不安定なボーカルが気になったのですが、ただ曲が進むにつれて、名曲の連続に、徐々に気にならなくなりました。
この日のテーマに「離脱」があったようで、途中、曲の最中にオザケンが「離脱」というと曲が急にゆっくりになり、そのゆっくりの音に自由に身を任せるという趣向に。ここらへんも非常にユーモラスさを感じたステージでした。
また、昔の曲と今の曲が並んで披露されたのですが、あらためて聴くと、今の曲も昔の曲と比べて、決して勝るとも劣らないグッドメロディーの名曲揃いということに気が付かされました。メロディーメイカーとしてのオザケンの才能は衰えていませんね。あらためて彼の才能を強く感じることが出来ました。
まさにそんなグッドメロディーの名曲に酔いしれた2時間半。ちょっと趣向が凝りすぎているのでは?と思う部分もありつつも、しかしオザケンの魅力にどっぷりとはまることの出来た素晴らしいライブでした。また、彼のライブに参加したい!いまひとつ「生活」に戻れない状態で、夢見心地で会場を後にしました。
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