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2022年6月 4日 (土)

「大人」なレッチリ

Title:Unlimited Love
Musician:Red Hot Chili Peppers

日本でも高い人気を誇るアメリカのロックバンド、レッチリことRed Hot Chili Peppersの約6年ぶりとなるニューアルバム。本作ではギタリストにジョン・フルシアンテが復活。「Stadium Arcadium」以来の参加となっています。また、前作「The Getaway」ではプロデューサーにデンジャー・マウスを起用。結果として賛否両論の内容になっていましたが、今回の作品はプロデューサーとして再びリック・ルービンを起用。そういう意味では、いつものレッチリに戻ってきたアルバムといえるかもしれません。

ただ、前作は非常におとなしい雰囲気の大人のアルバムに仕上がったという印象のある彼ら。今回のアルバムに関しては、その印象がさらに強くなった感じがします。彼ららしいファンキーなリズムを全面に押し出したような作品は少なめ。代わりに、メランコリックなメロディーラインを前に押し出して、曲を聴かせるような楽曲が、さらに増えた感もあります。

例えば1曲目を飾る「Black Summer」などは、まさにそんな哀愁感あふれるメロディーラインが前面に出てきて、歌を聴かせる楽曲になっていますし、「Note the One」などもメランコリックなメロディーをしっかりと聴かせてくれます。先行シングルとなっている「These Are the Ways」も落ち着いた雰囲気のギターロックナンバー。終盤も「The Heavy Wing」もメランコリックに聴かせる楽曲ですし、ラストを締めくくる「Tangelo」に至っては、アコギ弾き語りでしんみりと聴かせる楽曲となっています。

もちろん一方では、レッチリらしいファンキーなサウンドはもちろん健在。「Aquatic Mouth Dance」はタイトル通り、ファンキーなリズムを軽快に聴かせてくれる楽曲ですし、先行シングルの「Poster Child」なども、ミディアムテンポで聴かせる楽曲ながらも、レッチリらしいファンキーなグルーヴ感をしっかり聴かせてくれるのはさすがといった感じ。しっかりとファンキーなグルーヴ感を聴かせてくれる曲は、このほかにももちろん多く収録されています。

ただ、全体的には安定感ある内容にはなっているのですが、一方では卒のなさを感じさせる内容に。賛否両論あったとはいえ、新たなチャレンジを感じさせた前作と比べると、全体的には無難な内容になった感はありますし、良くも悪くも「大人のロック」という、誉め言葉がどうなのか微妙な形容詞も頭に浮かんでくる作品になっていました。

また、全17曲1時間13分というちょっと長い収録曲も、6年間というインターバルで作りためた、といった感じなのでしょうが、正直なところ、ちょっと間延びしてしまった印象も・・・。個人的には、いままでの作品のように1時間程度で納めれば、印象的にはグッと良くなったような気もします。まあ、もっとも間違いなく悪いアルバムではないと思いますし、レッチリらしさはしっかりと健在ですし、久々のアルバムとしてファンとしても満足感はある作品だったのではないでしょうか。そういう作品をしっかり出せるあたりにも彼らの実力を感じた、そんな1枚でした。

評価:★★★★

Red Hot Chili Peppers 過去の作品
I'm With You
2012-13 LIVE EP
The Getaway

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