懐かしさを感じるグッドミュージック
Title:Chloe and the Next 20th Century
Musician:Father John Misty
一時期はFleet Foxesにも所属していたアメリカのシンガーソングライター、Father John Mistyの約4年ぶりとなるニューアルバム。デビュー作以来、リリースされるアルバムはいずれも高い評価を受け、それにつれて人気面もアップ。今回のアルバムでは、全英チャートでなんと2位という好セールスを記録。本国アメリカ以上に人気を獲得しているのは、この手のシンガーソングライターが受け入れられやすい素地があるからでしょうか。
今回の作品も前作までの作品と同様、グッドミュージックという表現がピッタリ来るような、美しくポップなメロディーラインをしっかりと聴かせる楽曲が並びます。特に60年代のポップミュージック、ビートルズ直系のような懐かしさを感じるメロディーが魅力的。そんなメロディーラインの魅力がフルに発揮されたのが「Goodbye Mr.Blue」。アコギアルペジオをベースにしんみり聴かせるフォーキーなナンバー。切なく聴きかせるメロディーラインが郷愁感たっぷりで強く印象に残ります。メロディーメイカーとしての彼の才能がフルに発揮された作品と言えるでしょう。
また中盤では「Q4」も魅力的。バンドサウンドをベースにストリングスも取り入れた楽曲で、分厚くキラキラしたサウンドにはフィル・スペクターの要素も感じさせる魅力的なグッドミュージック。ミディアムテンポで盛り上がるメロディーラインは、こちらも暖かくも懐かしさを感じさせるポップチューンに仕上げています。
ただ一方今回のアルバム、全体的にはピアノとストリングスを取り入れた、ジャジーでムーディーな作風の曲がメイン。「Kiss Me(I Loved You)」などは、完全にムードミュージックといった感じの作風ですし、「Funny Girls」も昔の映画音楽も彷彿させるような懐かしい雰囲気も感じさせるムーディーでジャジーなナンバー。ちょっとボッサ風でしんみり聴かせる「Olvidado(Otro Momento)」のような楽曲もあったりと、全体的には、ちょっと陳腐な言い方かもしれませんが「大人な雰囲気」を感じさせるような楽曲が並びます。
前作同様に、60年代や70年代の匂いをふりまきながら暖かいポップミュージックを聴かせるという方向性は変わらないのですが、そんな中でジャズやムードミュージックの要素が強くなり、「大人の音楽」という印象が強くなったアルバムでした。そのため、ちょっと保守的すぎるという印象も抱くかもしれませんし、実際、いままで聴いた前々作、前作の方が出来はよかったかな、という印象も受けます。ただその点を差し引いても美しいメロディーラインが非常に魅力的で、満足度も高いアルバムだったと思います。ポップスリスナーなら間違いなくお勧めしたい作品です。
評価:★★★★★
Father John Misty 過去の作品
Pure Comedy
God's Favorite Customer
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