バリエーションに富んだ心地よいハウスミュージック
Title:LUZ/Quest for Fire
Musician:Axel Boman
スウェーデンのハウスミュージックのDJ、Axel Bomanのニューアルバム。今回のアルバムはLP3枚組となる大作。「LUZ」「Quest for Fire」という2つのアルバムを合わせたような構成になっており、そのため配信サイトでは両者が別のタイトルとして登録されています。もっとも、3枚組の大作、とはいえ「LUZ」は9曲入り全37分、「Quest for Fire」も全9曲入り45分、両者合わせても82分とCD1枚におさまる内容となっています。
・・・といっても、Axel Bomanは音源を聴くのもはじめてながら、その名前も初耳。もちろん、残念ながらLPプレイヤーは所有していないので、配信で聴いてみた作品となりますが、今回、Pitchforkなどでも高い評価を得ていたことが聴いてみたきっかけ。結果として、全編、ポップで心地よいリズムとサウンドが楽しめるハウスミュージックが繰り広げられており、満足度の高いアルバムとなっていました。
もともと「LUZ」「Quest for Fire」という2タイトルの作品としたのは、それぞれコンセプトの異なる作風だからということ。基本的にはどちらもテンポのよいエレクトロなハウスミュージックを軸としてスペーシーなサウンドを聴かせてくれる構成となっているのですが、「Quest for Fire」はよりビート感の強い作風に、「LUZ」はアップテンポながらもより爽やかでメロウさも感じさせる作風になっています。
また、そんな中でもバラエティーに富んだ作風も魅力的で、例えば「Atra」ではラテン風のパーカッションにフリーキーなサックスが加わるサウンドとなっており、生音的な感触が魅力的。ラストとなる「Les Levres Rouges」でもダビーなアレンジを聴かせてくれます。一方、「Quset for Fire」の「Sottopassaggio」や「Regret Lasagna」あたりは80年代っぽい、ちょっとシティポップな色合いと懐かしさを感じさせるサウンドが魅力的な作品となっています。
全体的にはポップなメロディーラインがしっかりと流れている曲ばかりで、特に「LUZ」に収録されている「Out Sailing」や「Hold On」など、メロディアスな歌を聴かせてくれ、そのポップな要素がよりクッキリとあらわれています。そしてなんといっても気持ちよかったのは、疾走感あるサウンドを聴かせるトランシーな楽曲。「Jeremy Irons」はまさにそんな疾走感あふれるサウンドにとても心地よさを感じますし、特に気持ちよかったのは、スペーシーでミニマルテイストなサウンドがトランシーなリズムで展開していく「Edgeware Rd」で、聴いていて軽くトラップできそうな気持よさになっています。
終始、心地よさを感じさせるハウスミュージックの傑作アルバム。LP盤のみリリースということで、いかにもクラブ向けといった感じなのですが、ストリーミングでも普通に聴けるので、広いリスナー層が十分楽しめる、いい意味でポップなアルバムだと思います。ハウス、テクノ、エレクトロ系が好きなら文句なしにお勧めの作品です。
評価:★★★★★
| 固定リンク
« 活動再開! | トップページ | 青森での生活を描く »
「アルバムレビュー(洋楽)2022年」カテゴリの記事
- 5作同時リリース!その2(2022.12.24)
- 突如、5枚同時リリース!!(2022.12.23)
- 一気に注目度がアップ!(2022.12.20)
- 話題作に続く注目の2作目(2022.12.17)
- 熱狂的な人気(2022.12.09)
コメント