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2022年5月20日 (金)

デビュー25周年

Title:SugarlessⅢ
Musician:スガシカオ

今年、デビュー25周年を迎えたシンガーソングライターのスガシカオ。その記念すべき25周年イヤーの第1弾リリースとなるのは、いままで2001年、2011年と10年に1度のサイクルでリリースしてきたコンセプトアルバム「Sugarless」シリーズの第3弾となります。アルバム未収録曲や他のミュージシャンへの提供曲のセルフカバーを収録したコンピレーションアルバム。もっともコンピレーションアルバムといっても、全12曲中4曲が新曲。4曲は配信シングル曲で、事実上のオリジナルアルバムと言ってもいい構成になっています。

さてスガシカオといえば、もともとオフィスオーガスタの中心的なミュージシャンとして人気を博していました。その後、2011年に独立。現在はSPEEDSTAR RECORDSから作品をリリースし、今に至っています。ただ、残念ながら独立後は売上的には下降傾向。本作も残念ながら最高位13位とベスト10入りを逃してしまいました。

しかし、楽曲の出来栄えとしては、むしろ独立後の方がより充実した作品を聴かせてくれています。独立後、初アルバムだった「THE LAST」も、独立後2作目となる「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」も、いずれも彼のキャリアを代表しそうな傑作アルバム。そしてそれに続く本作もまた、今の彼の充実ぶりをあらわす傑作アルバムに仕上がっていました。

独立後の作品が、本作を含めて充実作になっている大きな理由としては、やはり以前に比べると楽曲の自由度がグッと増した点が大きいのではないでしょうか。特に、彼が最も好むファンクミュージックを取り入れて、より「黒さ」を感じさせる作品がオフィスオーガスタ時代よりも増えています。本作でも冒頭「トワイライト★トワイライト」も、いきなりエッジの効いたギターサウンドからスタート。ファンキーなギターのサウンドがまずはカッコよさを感じさせます。「JOKER」もヘヴィーでファンキーなギターリフが怪しげで非常にカッコいいナンバー。「ハッピーストライク」も打ち込みのサウンドが80年代的な雰囲気を醸し出しつつ、ファンキーに聴かせるポップチューンに仕上がっています。

そんな「黒さ」を感じさせる楽曲を軸にしつつ「Music Train~春の魔術師~」のような爽やかなポップチューンや、切ない失恋の歌詞が胸をうつ「心の防弾チョッキ」、また小林武史プロデュースによる「ぼくの街に遊びにきてよ」のようなピアノで伸びやかに聴かせるミディアムチューンなど、バラエティー富んだ楽曲がズラリ。既発表曲のうちアルバム初収録となる曲を並べているのですが、スガシカオらしさがあらわれた曲の連続で、オリジナルアルバムとして聴いても、その流れに違和感がありません。

特に今回のアルバムで印象に強く残るのがラスト2曲。まずKAT-TUNへの提供曲「Real Face」。こちら、スガシカオは作詞のみの提供で作曲はB'zの松本孝弘。また今回、松本がプロデュースを手掛けています。かなりダイナミックなロックアレンジに仕上がっており、スガシカオの他の楽曲とは異なる雰囲気になっているのが逆にアルバムの中で大きなインパクトとなっています。そして最後は彼がKokua名義でリリースした「Progress」のセルフカバー。基本的にオリジナルに忠実なカバーになっているのですが、前向きな歌詞を含めてあらためて名曲だな、と感じさせるインパクトの強い作品に仕上がっています。

売上の傾向とは逆に、ミュージシャンとしての充実ぶりを感じさせる傑作アルバムに仕上がっていた本作。コンピレーションということで忌避しないで、是非とも聴いてほしい傑作だと思います。これだけ充実した作品が続くのなら、また人気的にも上り調子になりそうな感じがするのですが・・・。ちなみに25周年記念リリースはまだ続くのでしょうか?次のオリジナルアルバムも早く聴きたいです!

評価:★★★★★

スガシカオ 過去の作品
ALL LIVE BEST
FUNKAHOLiC
FUNKASTiC
SugarlessII
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-1997~2002-
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-2003~2011-

THE LAST
THE BEST-1997~2011-

フリー・ソウル・スガシカオ
労働なんかしないで 光合成だけで生きたい


ほかに聴いたアルバム

Doping Panda/DOPING PANDA

2005年にメジャーデビュー。ディスコテイストも強いダンサナブルなロックチューンで、特にライブなどで多くのリスナーを惹きつけたロックバンドDOPING PANDA。残念ながら2012年に解散してしまったのですが、なんとこのたび再結成。実に10年ぶりとなるニューアルバムをリリースしてきました。セルフタイトルとなった本作は、かつてのドーパンらしいダンサナブルな曲がメインなのですが、エレクトロサウンドをバリバリに聴かせるというよりは、よりギターロックの色合いが強い作品に。ロックバンドとしての彼らの矜持を感じさせる内容となっています。解散前にリリースされたアルバムは、ちょっとチルアウト気味の地味な作風が目立っただけに、セルフタイトル通り、実にドーパンらしさを感じるとも言えるアルバムに。これはライブも見てみたくなりました。

評価:★★★★★

DOPING PANDA 過去の作品
Dopamaniacs
decadance
anthem
THE BEST OF DOPING PANDA
YELLOW FUNK

余命10年~Original Soundtrack~/RADWIMPS

タイトル通り、映画「余命10年」のサントラ盤。基本的には、ピアノやストリングスでしんみり聴かせる劇伴音楽が収録されている曲。映画を観ていないのでなんとも言えないのですが、タイトルからある程度の方向性は推測できそうな映画なので、なんとなく映画の雰囲気にもマッチしてそう・・・。ラストは主題歌「うるうびと」が収録されているのですが、分厚いストリングスアレンジに、RADWIMPSらしい、情熱的なラブソングの歌詞となっており、ある意味、これでもか、というほどの仰々しさを感じます。ここらへんは良くも悪くもRADWIMPSらしいといった感じがするのですが、個人的にはちょっと暑苦しすぎるかなぁ。

評価:★★★

RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命
×と○と罰と
ME SO SHE LOOSE(味噌汁's)
君の名は。
人間開花
Human Bloom Tour 2017
ANTI ANTI GENERATION
天気の子
天気の子 complete version
夏のせいep
2+0+2+1+3+1+1= 10 years 10 songs
FOREVER DAZE

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