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2022年5月10日 (火)

リズミカルでポップな楽曲が楽しい

Title:Hits To The Head
Musician:Franz Ferdinand

昨年、結成20周年を迎えたイギリスのロックバンド、Franz Ferdinandの初となるベストアルバム。2004年のデビューアルバム「Franz Ferdinand」がいきなり大ヒットを記録。その年のイギリス各種音楽賞の新人賞を総なめにするという快挙を達成。さらに翌年リリースされた「You Could Have It So Much Better」はイギリスのナショナルチャートで1位を輝いたほか、アメリカビルボードでもベスト10入りとブレイク。特に同作に収録された「Do You Want To」は陽気でリズミカル、特にサビは一度聴いたら忘れられないキャッチーさを持った楽曲になっており、「ウォークマン」のCMソングにも採用されるなど日本でもブレイクし、2006年には日本武道館でのワンマンライブも行っています。

ただ、それまでの勢いに比べると、その後に関しては若干低調気味。日本でもいままでほどその名前を聞く機会は少なくなり、アメリカビルボードでも3rdアルバム「Tonight」以降はベスト10ヒットから遠ざかっています。とはいえ、イギリスでは一定の人気を誇っているのは間違いなく、現時点での最新アルバムとなる2018年の「Always Ascending」も最高位6位とヒットを記録。本作も最高位7位にランクインし、イギリスでは間違いなく人気バンドの一組と言えるでしょう。

さて、このベストアルバムですが、曲順はきれいにアルバム順となっています。1stアルバムから5曲、2ndからは4曲、3rdからは3曲、4thからは4曲、そして5thから3曲が収録されており、ラスト1曲は新曲となります。比較的、どのアルバムからも満遍なく収録されているのですが、ただデビューアルバムからは全11曲中5曲も収録されており、良くありがちではあるのですが、やはりデビューアルバムというのは、そこまでのバンドの活動のベストな曲がつまった、よく出来たアルバムだった、ということでしょう。

そんな彼らの曲を発表順に聴くと、初期の作品については、エッジの効いたギターサウンドを前に押し出したガレージロックの色合いが強い作品が目立ちます。1曲目に収録された「Darts Of Pleasure」はまさにガレージなギターサウンドが軽快な作品ですし、「The Fire」も同じくガレージロック色を押し出したダンサナブルな楽曲となっています。

このガレージロックというスタイルにダンサナブルなリズムという彼らの軸足は、後半の曲にも少なくなく、例えば「Love Illumination」などは、ガレージロック風なギターサウンドにダンサナブルなリズムが楽しい楽曲になっています。ただ、後半になると、「Love Illumination」もそうですし、「Ulyssees」のようなシンセを取り入れたニューウェーヴ風の作品も目立つようになり、初期のようなゴリゴリのギターサウンドを聴かせるような曲は少なくなってしまいます。後半の作品ももちろん魅力的な作品は少なくないのですが、楽曲の勢いという点で言うと、やはりゴリゴリのギターサウンドを聴かせてくれる前半の作品に軍配が上がるのかなぁ、という印象を受けました。

そんな中でもやはり大ヒットした「Do You Want To」はメロディーのインパクトといい、聴いていてワクワクするようなそのサウンドといい、やはり彼らの楽曲の中では頭ひとつ出ているかな、という印象を受けます。とはいえ、それ以降の楽曲でも「Right Action」のようなディスコ風のリズムを取り入れつつ、インパクトのある楽曲も少なくありませんし、最後まで文句なしに楽しむことが出来るベストアルバムになっていました。

最後に収録されている新曲「Billy Goodbye」も、ガレージギターを鳴らしつつ、ホーンセッションを陽気に聴かせるダンサナブルなナンバーは、初期から変わらぬ彼らの魅力を伝える楽曲に仕上がっています。おそらく「Do You Want To」が好きなら気に入りそうな楽曲。「Do You Want To」やその後のアルバムで彼らをチェックしつつ、その後は聴かなくなってしまった方も少なくないかもしれません。そういう方も含めて、あらためて聴いてほしいベストアルバム。改めて彼らがポップで楽しいバンドだということを再認識したアルバムでした。

評価:★★★★★

FRANZ FERDINAND 過去の作品
TONIGHT
Right Thoughts,Right Words,Right Action
FFS(FFS)
Always Ascending


ほかに聴いたアルバム

GREATEST HITS-Japanese Single Collection-/Paul Young

ここで何度か紹介している洋楽ミュージシャンの日本でのシングルを集めた「Japanese Single Colleciton」シリーズ。今回は80年代後半から90年代初頭に特に人気を博した、イギリスのシンガーソングライターPaul Youngのベスト盤。打ち込みを入れつつ伸びやかに聴かせるブルーアイドソウルのナンバーはいかにも80年代的、というか90年代のJ-POPシーンにもこういうタイプのミュージシャンが多かったなぁ、と懐かしく感じつつ聴くことが出来ました。

評価:★★★★

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