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2022年5月23日 (月)

セルフカバー3部作、完結!

Title:ズ盤
Musician:ウルフルズ

2022年にメジャーデビュー30周年を迎えたウルフルズ。昨年から、30年30曲のセルフカバーアルバムのリリースが続きましたが、本作は「ウル盤」「フル盤」に続く第3弾。予想通り「ズ盤」となったのですが、今回は「ズっと聴きたいウルフルズ不朽の名曲選」というコンセプトに選曲したカバーアルバム。聴かせるナンバーがメインだった「ウル盤」、力強いファンキーな作品がメインだった「フル盤」に対して、その二つのコンセプトからちょっとはずれた、いわばメロディアスなポップチューンがメインとなった選曲だったように思います。

まず本作は、まさに待ちに待ったといった感じ、ようやく収録された大ヒット曲「ガッツだぜ!!」からスタート。彼らを代表するコミカルな「借金大王」「あそぼう」「ええねん」などといった代表曲が並んでいます。確かに、「ウル盤」に収録されているような感情込めて思いっきり聴かせるような曲でもありませんし、「フル盤」のように、思いっきり力強く歌い上げるというタイプでもない、でも実にウルフルズらしさを感じさせる曲が並びます。ちなみに「明日があるさ」はカバー曲であり企画的要素も強いためか、今回のセルフカバーでは選曲されませんでした。

さて今回セルフカバーアルバムということで、デビュー30年、彼らの成長ぶりが感じられるカバーが並んでいます。特に過去の2枚のセルフカバーでは、彼らのルーツであるブラックミュージックの要素の強い、より「黒い」カバーになっていましたが、本作も同様、基本的に原曲のアレンジを重視しつつも、ソウルやファンクの要素をより強めたカバーに仕上がっています。

例えば大ヒット曲でウルフルズの名前を世間に知らしめた「ガッツだぜ!!」も、基本的に原曲同様なのですが、よりファンクなリズムが強調され、トータス松本のボーカルもよりソウルフルに。「借金大王」もブギウギの要素がより強く、「年齢不詳の妙な女」にしても、原曲がもともと持っていたモータウンサウンド的な要素をより表に出してきたアレンジになっています。

原曲のアレンジをそのままに、少しだけ黒くリメイクしたアレンジにすることによって、原曲がもともと持っていた、彼らのルーツ志向の要素をより強く感じることが出来るカバーに仕上がっていました。そういう意味では、原曲のイメージを求めていたようなファンにとっても抵抗なく聴くことができ、かつ、ウルフルズの実力、30年の成長を感じさせる、とてもよいバランスのセルフカバーになっていたように感じます。

また、特に本作で注目したいのが、本作では唯一のオリジナル作となる「タタカエエブリディ」。コロナによる最初の非常事態宣言の最中に同作のデモ音源がウルフルズの公式You Tubeチャンネルにアップされた同作が、アルバム初収録となります。文字通り、コロナ禍が続く中、日常の中で「闘う」人たちへのエール。残念ながらあれから2年、ようやく今年のGWは行動制限なしとなったもののコロナ禍は終わっておらず、苦しい状況は続いていきます。それだけに今でも強いメッセージ性を感じる本作。早く、こういう苦しい時もあったね、と言えるようになればよいのですが・・・。

本作でとりあえずカバーアルバム3部作は終了。いずれもウルフルズの実力、魅力を感じることが出来る良作になっていました。30周年を迎えて、すっかりベテランバンドとなった彼ら。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

ウルフルズ 過去の作品
KEEP ON,MOVING ON
ONE MIND
赤盤だぜ!
ボンツビワイワイ
人生
ウ!!!
ウル盤
フル盤


ほかに聴いたアルバム

ニューマニア/ハルカミライ

人気上昇中のロックバンド、ハルカミライのメジャー3枚目となるアルバム。良くも悪くもいかにもパンクロック然とした風貌に、いかにも青春パンク志向のようなバンド名といい、微妙な雰囲気も漂う反面、楽曲の方は、いかにも青春パンクといった路線もありつつ、ビートロックや、もっと正統派パンク、さらにはオルタナ系のギターロック路線など幅広く聴かせてくれます。何気に結成10周年という既に中堅というキャリアのバンドで、それだけに、いい意味での卒のなさも感じられます。ただ、逆に、悪い意味でも「卒のなさ」も感じてしまうアルバムで、そろそろ次の一歩を聴きたい感じもするのですが。

評価:★★★★

ハルカミライ 過去の作品
THE BAND STAR

10-feat/10-FEET

バンド結成25周年を迎える彼らが、25周年を記念してリリースされたアルバムの第1弾。本作はコラボレーションアルバム「6-feat」シリーズの第3弾。本作もWANIMA、クリープハイプ、Dragon Ash、岡﨑体育、ヤバイTシャツ屋さん、氣志團など豪華なメンバーとのコラボレーションとなっています。そんなコラボ作は、コラボ相手の個性もそれなりに出しつつも、基本的には分厚いバンドサウンドで聴かせる10-FEETらしいパンクロック路線が基本。そういう意味では10-FEETの良い意味での強い個性も感じられるコラボ作となっていました。

評価:★★★★

10-FEET 過去の作品
VANDALIZE
Life is sweet
thread
Re:6-feat
6-feat 2

10-FEET入り口の10曲
Fin

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