分厚いバンドサウンドがキュートなメロにマッチ
Title:Continue
Musician:イズミカワソラ
以前も、当サイトでベストアルバムを紹介したことのあるシンガーソングライター、イズミカワソラ。デビュー当初から注目していたミュージシャンではあるのですが、インディーズでの活動がメインということもあって、なかなかその活動を追い切れていない部分がありました。ただ、約2年半前にリリースされたベストアルバムで最近の彼女の楽曲を聴き、その魅力を再認識。そしてリリースされた、実に5年ぶりとなるニューアルバムも、もちろんチェックしました。そして、その作品は、とびぬけてポップでキュートな楽曲の詰まった、彼女の魅力あふれる作品に仕上がっていました。
久しぶりの新作となるのですが、参加メンバーはなかなか豪華。三浦大知や[Alexandros]、SKY-HIといったミュージシャンを手掛けるエンジニアのニラジ・カジャンチが参加。さらにベースにAwesome City Clubのサポートもつとめる雲丹亀卓人、ドラムスにaikoやポルノグラフィティなどの作品にも参加している野崎マスケ、そしてギターはあのThe Birthdayの藤井謙二という、豪華なメンバーが顔を揃えています。
さて、そんなメンバーが参加したニューアルバムは、4曲入りのミニアルバム。まず1曲目「ボクとキミのみちしるべ」は、リズミカルなドラムと、陽気なピアノが楽しい、彼女らしいアップテンポで明るいナンバー。ブギウギのリズムも入ったダンサナブルなサウンドが楽しく、また、その陽気なテンポにマッチした前向きな歌詞に元気づれられるイズミカワソラらしさが出たナンバーになっています。
2曲目「日常的存在証明」は、ちょっとジャジーなピアノとドラムで疾走感を持って展開されるマイナーコード主体のナンバー。楽曲タイトルはちょっと椎名林檎っぽい感じも(笑)。そして3曲目「あなたの近くにいっていいかな」はピアノの弾き語りで聴かせるバラードナンバー。切ない雰囲気でしっかりと聴かせる、ある意味、王道とも言えるラブバラードとなっています。
そしてラストはタイトルチューンであり、また先行配信曲ともなっていた「Continue」。今回参加した豪華なバンドメンバーを余すとこなく利用した、分厚いサウンドを聴かせ、スケール感も覚えるミディアムチューン。「続く」というタイトルの通り、明日へのメッセージ性も感じさせるこの曲は、明るさと切なさを同居させたようなメロディーラインが秀逸。メロディーメイカーとしての彼女の才を存分に感じさせる名曲に仕上がっています。
全4曲13分という、正直短くも感じられるミニアルバムで、もっともっと聴いていたいなぁ、とそういう点で物足りなさも感じてしまいました。久々のアルバムということで、小手調べみたいな感じでしょうか。次は、近いうちにフルアルバムを聴いてみたいのですが・・・。
また、今回のアルバムの特徴としては、豪華なメンバーが参加した影響でしょうか、全体的に音が分厚く、バンドサウンドも聴かせる構成になっていた点。分厚いサウンドがイズミカワソラの書くキュートなメロディーラインにも何気にピッタリとマッチし、相性の良さも感じます。是非、この方向性で、次の作品も聴いてみたいです。
そんな訳で、とにかく楽しい、キュートでポップな楽曲の並ぶ傑作アルバム。この充実した内容でたった4曲は物足りない!!次は是非、フルアルバムで!あらためてイズミカワソラの魅力を体感できた作品でした。
評価:★★★★★
イズミカワソラ 過去の作品
ソラベスト2
ほかに聴いたアルバム
New Spring Harvest/OAU
昨年、ベスト盤をリリースしたOAUが、ベスト盤リリース後、はじめてリリースしたのがこの5曲入りのEP盤。とはいえ、ジャケット写真はいつものOAUといった感じならば、アルバムの内容自体も、いい意味でいつものOAU。アコースティックなサウンドでメランコリックに聴かせるスタイルは以前と変わりなく、いつもの彼ららしい作品になっており、ある種の安心感はあります。ベスト盤リリース後もいい意味で変わらない一歩を踏み出した彼ら。これからの活躍も楽しみです。
評価:★★★★
OAU(OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND) 過去の作品
New Acoustic Tale
夢の跡
FOLLOW THE DREAM
OAU
Re:New Acoustic Life
Sparkle/miwa
シンガーソングライターmiwaによる約6年ぶりのニューアルバム。この6年の間に結婚・出産という一大イベントを経た彼女。その結果、前作「SPLASH☆WORLD」では最高位5位だったチャートが同作では15位に大幅ダウン・・・よくありがちとはいえ、うわぁ、と思ってしまいます。とはいえ、楽曲自体は、以前の彼女と同様、軽快なポップス、ギターサウンドを入れたロック的なナンバー、ストリングスを取り入れてスケール感を出した楽曲などバラエティー豊富な爽快なポップチューンが並びます。まあ「アイドル的」なものを求める人たちから決別した今からが、ミュージシャンとしての本当の勝負、と言えるのかもしれませんが。
評価:★★★★
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