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2022年4月16日 (土)

多彩なミュージシャンが参加した多彩なアルバム

Title:BIG WORLD
Musician:MONDO GROSSO

昨年はベスト盤をリリースした大沢伸一のソロプロジェクト、MONDO GROSSOの、オリジナルアルバムとしては約4年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムは「変わってしまった世界、さらに変わっていく世界の中で、心の在処を探し続ける音楽の旅」をコンセプトに、様々なミュージシャンとのコラボ作がつまったアルバムになっています。ちなみにMONDO GROSSOとはイタリア語で「大きな世界」という意味だそうですので、ある種の「セルフタイトル」のアルバムと言えるかもしれません。

MONDO GROSSOについては昨年リリースしたベストアルバムを含め、基本的にはアルバム毎に聴いています。ただ、クラブ系の良質なポップソングというイメージはあるのですが、サウンドについては正直、決して先端を行くようなものではありませんし、良くも悪くも「無難」という印象を受けてしまっている、というのが率直な感想。それだけに今回のアルバムについても、それなりに良質なポップソングは聴けるものの、多大な期待はしていませんでした。

しかし今回のアルバムに関しては、そんな事前の印象を覆すような傑作に仕上がっていました。まずその最大の要因としては、様々なミュージシャンとのコラボによって、様々なユニークな音楽性を聴かせてくれていたという点。オープニングに続く「IN THIS WORLD」では満島ひかりがボーカルで、坂本龍一がピアノで参加。幻想的なボーカルとピアノの音色が耳に残るハウスチューンに仕上がっていますし、どんぐりずが参加した「B.S.M.F.」はファンキーなリズムをバックに軽快なラップが展開されるHIP HOP風のナンバー。さらに前半で耳を惹いたのはCHAIが参加した「OH NO!」でしょう。CHAIらしさを感じるエッジの効いたサウンドも魅力的。CHAIっぽさと大沢伸一っぽさが見事に同居させた、理想的なコラボになっています。

意外性といえば、なんといっても乃木坂46の齊藤飛鳥が参加した「STRANGER」でしょう。ノイジーなギターが鳴り響くシューゲイザーロックになっており、MONDO GROSSOのイメージからすると、かなり意外な感のある方向性の楽曲になっています。「迷い人」も、EGO-WRAPPIN'の中納良恵の感情たっぷりのボーカルが大きな魅力に。ラストのタイトルチューン「BIG WORLD」はちょっと気だるいボーカルでメロウに聴かせるAORな楽曲で締めくくられています。

サウンドの先駆性という意味では今回の作品についても決して先駆的というイメージはありません。むしろちょっとひと昔前のサウンドというイメージもあり、「B.S.M.F.」で展開しているHIP HOPなんかについても、スタイル的にはむしろ90年代的です。そういう意味では、いままでのMONDO GROSSOの延長と言えるでしょう。

ただ、多彩なボーカリストと、それによって生み出された多彩な音楽性は非常に魅力的。シューゲイザーサウンドのようなMONDO GROSSOの意外な音楽性も垣間見れたりもして、最後まで全く飽きることなく楽しめたアルバムでした。いままでの彼のイメージが大きく変わった・・・という感じではないものの、彼のミュージシャンとしての魅力を存分に感じることの出来た傑作アルバム。参加しているミュージシャンのファンの方も楽しめるのではないでしょうか。とても楽しい作品でした。

評価:★★★★★

MONDO GROSSO 過去の作品
何度でも新しく生まれる
Attune/Detune
MONDO GROSSO OFFICIAL BEST


ほかに聴いたアルバム

Actor/緑黄色社会

4人組ロックバンドによる約1年4か月ぶりとなるニューアルバム。バンドサウンドを軸に、ピアノやストリングス、ホーンセッションを入れて分厚くしたものの、ルーツレスな感のあるサウンドにインパクトあるポップなメロという意味で、前作同様、J-POPの王道を行くようなサウンドを奏でています。メンバー全員が作曲に関与するスタイルなのですが、それぞれの個性までは感じられず、ここらへん、作曲メンバーによる方向性の違いが顕著になれば、バンドとして非常におもしろくなる感じもします(もちろん、その分、バンド存続が難しくなるリスクもありますが)。前作「SINGALONG」で初のチャートベスト10入りを記録し、本作ではビルボード、オリコン共に最高位4位を記録するなど人気上昇中の彼女たち。メロディーラインのインパクトも前作よりも増し、出来栄えとしては前作を上回った感もあります。今後の成長に期待。

評価:★★★★

緑黄色社会 過去の作品
SINGALONG

Humanity/Koji Nakamura+食品まつりa.k.a foodman+沼澤尚

ご存じ、ナカコーことKoji Nakamuraと、名古屋在住のエレクトロミュージシャン食品まつり、様々なミュージシャンと共演しているドラマーの沼澤尚(そういえば、先日、OKI DUB AINU BANDで目撃したばかり・・・)のコラボ作。アンビエントテキストのエレクロトサウンドをしっかり聴かせるナンバー。時にはドリーミーに、時には不気味に、サイケな要素やメタリックなサウンドなど、繰り広げられます。全体的には軽快さもありつつ、どこかコミカルさも感じられる点がユニークな作品に仕上がっていました。

評価:★★★★

Koji Nakamura 過去の作品
Masterpeace
Epitaph
Texture Web

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