目新しさはないかもしれませんが・・・
Title:LIFE ON EARTH
Musician:Hurray for The Riff Raff
ここ最近、ポップなメロディーを聴かせる女性シンガーソングライターの傑作が続いているように思います。先日紹介したMitskiやCate Le Bon、yeuleといった傑作アルバムが続いていますが、このアルバムもそんな作品に名前を連ねそう。アメリカはニューオリンズを拠点として活動を続ける女性シンガーソングライターAlynda Segarraによるソロプロジェクト、Hurray for The Riff Raffの新作。活動時代は2007年から続けており、既にキャリア15年を誇る中堅ミュージシャンですが、今回、はじめてアルバムを聴いてみました。
彼女が活動する拠点がニューオリンズという、アメリカ発祥のポピュラーミュージックのふるさととも言うべき町。さらに彼女自体、このHurray for The Riff Raffはアメリカーナ(=アメリカのルーツ音楽)のプロジェクトと位置付けているようで、そういう意味ではイメージとしては、ニューオリンズらしいジャズ、ブルース、あるいはカントリー志向の音楽を奏でている・・・というイメージを受けそうです。
しかし、実際に聴いてみると、彼女の奏でる音楽は、そういった予想からは少々異なる音楽を聴かせてくれます。ルーツ志向の音楽というよりは、今時の正統派なポップミュージックといったイメージ。1曲目「WOLVES」はいきなりシンセのサウンドでスケール感を持って聴かせるミディアムチューンになっていますし、続く「PIERCED ARROWS」は強いビートに乗せて聴かせるロック色も強い作品。さらに「POINTED AT THE SUN」はノイジーなギターを前面に押し出したバンドサウンドを主導としたオルタナ系ロックの色合いが強い作品に仕上がっています。
そんな感じで前半はロック色の強い楽曲が並んだ一方、後半は伸びやかな歌を聴かせるミディアムテンポのナンバーが並びます。シンセのサウンドを取り入れつつ、ゆっくりと歌いあげる「nightqueen」やメランコリックに聴かせる「ROSEMARY TEARS」などを聴かせつつ、事実上、ラストとなる「SAGA」はまたバンドサウンドをバックに軽快に聴かせるポップチューン。バックに楽しげなホーンのサウンドも流れており、この点はニューオリンズっぽさを感じる点でしょうか?
正直言うと、メロディー的にもサウンド的にも決して目新しさはないのですが、ほどよくバラエティーのあるサウンドとポップなメロディーラインが心地よく、素直に楽しめるポップアルバムと言えるでしょう。彼女の奏でるジャンルはアメリカーナ、といっても「古き良きアメリカ」というよりは、ちょっと前のアメリカのポップミュージックを体現化したイメージなのでしょうか?難しいこと抜きに、素直なポップアルバムとして楽しめた傑作でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Heaux Tales, Mo'Tales: The Deluxe/Jazmine Sullivan
昨年1月にリリースされ、2021年の各種メディアの年間チャートで軒並み上位にランクインしたフィラデルフィア出身の女性ソウルシンガーによる4枚目のオリジナルアルバム「Heaux Tales」。この作品に「Mo'Tales」として、10曲が追加(とはいえ、半分は短いトークであるため、実質的には5曲)されて、デラックスバージョンとして早くも再リリースとなりました。
追加の曲も含めて、基本的には正統派なソウルミュージック。比較的シンプルなサウンドに、彼女の迫力あるボーカルが魅力的。追加の曲に関しても、基本的にはオリジナルの延長線のような曲で、オリジナルが気に入った方なら、まずはチェックすべき作品です。前作から、約1年程度のスパンで追加曲を収録し、再リリースという、最近よくありがちな手法は正直、どうかと思う点もありつつ、ストリーミングが主流の現在においては、追加曲だけ別途聴くというやり方もできるため、オリジナルアルバムを聴いている方は、追加曲だけ別途聴くというのがよいかと。
評価:★★★★★
Jazmine Sullivan 過去の作品
Heaux Tales
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