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2022年4月 8日 (金)

アイスランドの大自然をバックに

Title:AE-30
Musician:Sam Gendel

Ae30

ロサンジェルスを拠点に活動を続ける新進気鋭のマルチインストゥルメンタル奏者、Sam Gendelのニューアルバム。今回のアルバムは非常にコンセプチュアルなアルバムで、アイスランドにおいて映像作家Marcella Cytrynowiczによるドキュメンタリーフィルム作品を制作。アイスランドの壮大な自然をバックに、Sam Gendelがインスパイアされるがままに、電子管楽器のAE-30をプレイする模様を撮影したフィルムを同時にリリース。その映像作品はYou Tubeでも閲覧可能です。

映像作品は、文字通り、アイスランドの大自然の中で、Sam Gendelが淡々と演奏する模様をおさめたもの。Sam Gendelの演奏自体よりも、手つかずのアイスランドの大自然に目を惹かれる内容になっています。そんな大自然の中で、電子楽器を淡々とプレイする彼の姿は、若干シュールに感じたりするような部分もあったりします・・・。

そんな彼の作品も、決して単純に「アイスランドの自然をサウンドとして織り込んだ」といった感じではありません。確かに「VIKTOR'S BLUES」では、自然の風の音を織り込んだような音色になっていますし、続く「SOME MEADOW」では水の流れる音を取り込んでいたりと、アイスランドの自然を彷彿とさせるような部分は少なくありません。

ただ一方では、「BLKSND」「PORSMORK」などトライバルなビートを織り込んだような曲もあったり、どこかエキゾチックさを感じさせる部分も少なくありません。アイスランドという彼にとって遠い異国でインスパイアされたサウンドだからでしょうか、それともアイスランドの自然のエネルギーが、彼にそのようなサウンドを彷彿とさせるのでしょうか。

さらに今回のアルバムで、ちょっと和風な要素も感じられました。例えば「1% BATTERY」の管楽器の音はどこか尺八みたいですし、「PIPA1」もストリングスの音色が、どこか和風な雰囲気が漂います。そんな「和」っぽい雰囲気も含めてエキゾチックさを感じさせるのが今回の作品なのですが、そもそも今回のアルバム、日本とのつながりが明確な部分があり、それが、今回のアルバムで全体的にフューチャーされ、アルバムのタイトルにもなっている電子管楽器AE-30は、日本のメーカー、ローランド製ものも。日本メーカーの楽器がこのように活躍するあたり、うれしくなってきます。ローランドといえば、「やおや」の愛称で知られるリズムマシーンTR-808も、海外のポップスシーンに大きな影響を与えています。規模的には同じ浜松に本社を置くヤマハの後塵を拝している印象も強いローランドですが、ポピュラーミュージックに与える影響はヤマハをしのぐ感じすらします。

アルバムからのサウンド自体は、決してアイスランドの自然が・・・といった感じではないのですが、映像作品とあわせることにより、アイスランドの自然と、そこからインスパイアされたSam Gendelのサウンドを楽しみたい、そんなアルバム。エキゾチックなサウンドが魅力的な1枚でした。

評価:★★★★★

Sam Gendel 過去の作品
Satin Doll

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