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2022年4月29日 (金)

シティポップの代表格として

Title:Flowers bloom, Birds tweet, Wind blows & Moon shining
Musician:Original Love

2021年にデビュー30周年を迎えるOriginal Loveのオールタイムベストアルバム。デビュー30周年となった2021年には、7月に配信シングル「Dreams」がリリースされたのをはじめ、9月には様々なミュージシャンたちによるカバーアルバムがリリース。さらに12月には、このオールタイムベストアルバムがリリース。通常盤で3枚組となるこのアルバムでは、Disc1で「接吻」「プライマル」をはじめとする彼のシングル曲を中心とした選曲に、さらにDisc2、3ではアルバム曲を中心に、彼の代表曲が収録。初回限定盤では彼がカバーした曲や他のミュージシャンとのコラボ曲などの貴重な音源を収録したCDにPVを収録したBlu-rayもついた豪華内容になっています。今回は、通常盤のレビューとなります。

さて、Original Loveといえば、最近、世界的にも話題となって、一種のブームとなっているシティポップの代表的なミュージシャンとしてその名前があがることは少なくありません。先日、当サイトでも紹介した日本のシティポップの代表的なアルバムを紹介したディスクガイド「『シティポップの基本』がこの100枚でわかる」においても、Original Loveのメジャー2枚目の作品「結晶-SOUL LIBERATION-」が紹介されていました。

ただ、このシティポップという言葉の指す音楽が非常にあいまいなものであるというのは、同書の紹介の時も書いた通り。同書でもシティポップについては「メロウでアーバンでグルーヴを感じられる」という非常にあいまいなものにとどめています。ただ、Original Loveの音楽についてあらためて考えると、「メロウでアーバンでグルーヴを感じられる」という表現に非常にピッタリとマッチしています。ソウルミュージックの影響を多分に受けたOriginal Loveの音楽性は非常にメロウであり、かつロックの影響が加わることによりグルーヴ感があります。一方、Original Loveの奏でる音楽は、非常に都会的であか抜けたもの。アーバンという単語もOriginal Loveの音楽性にピッタリとはまります。

その上で、シティポップというジャンルの定義があいまいになる理由はOriginal Loveの楽曲を通じてもよくわかります。Original Loveの音楽は、確かに「シティポップ」という曖昧な言葉で一括りにできる一方で、その音楽性が非常に多岐に及んでいる点はこのベスト盤を通じてよくわかります。ご存じの大ヒット曲「接吻」や「プライマル」はジャパニーズソウルといっていい作品になっている一方で、「ムーンストーン」はボッサ風、「The Best Day Of My Life」はラテン、「Bird」にはレゲエの要素も感じられますし、「R&R」のようなタイトル通りのヘヴィーなロックナンバーも登場します。Original Loveといえばジャパニーズソウル、というイメージも強いのですが、決してそんな一言ではくくれないような音楽性をこのベストアルバムからは感じます。

しかし一方で、どの曲も間違いなく「メロウでアーバンでグルーヴィー」。そういう意味では、まさにシティポップという括りのふさわしいミュージシャンとも言えるのかもしれません。今回の3枚組のベストアルバムからは、そんなOriginal Loveの特徴を非常に強く感じることが出来ました。デビューから30年、すっかりベテランミュージシャンとなったOriginal Love田島貴男ですが、今後も「メロウでアーバンでグルーヴィー」な作品を作り続けてくれそう。今後の活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

ORIGINAL LOVE 過去の作品
白熱
エレクトリックセクシー
ラヴァーマン
プラチナムベスト ORIGINAL LOVE~CANYON YEARS SINGLES&MORE
blesss you!


ほかに聴いたアルバム

Mellow Party -LIVE in TOKYO-/浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS

2021年10月17日にBillboard Live TOKYOで行われたACOUSTIC & ELECTRICツアー 「MELLOW PARTY」ファイナル公演を収めたライブアルバム。この日のライブの選曲は、浅井健一の全キャリアを通じたベスト的なセレクトとなっており、ブランキ―解散後の曲はもちろんのこと、Blankey Jet Cityの曲も披露。タイトル通り、ギター片手にメロウなアレンジで聴かせるライブで、どうしても良くも悪くも浅井健一としての手癖のつよい曲が多いため、似たようなタイプの曲が多いのですが、それでもベスト的な選曲となると、浅井健一の魅力を存分に感じられるアルバムに。個人的にはソロ名義になってから、ベストの出来ではないか?とすら感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★★

浅井健一 過去の作品
Sphinx Rose
PIL
Nancy
METRO(浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS)
Sugar(浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS)
BLOOD SHIFT
Caramel Guerrilla

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