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2022年4月25日 (月)

圧巻のドリームポップが心地よい

Title:Glitch Princess
Musician:yeule

今回紹介するのはシンガポール出身の女性シンガーソングライター、ナット・チミエルのソロプロジェクトyeuleによる2枚目となるアルバム。現在はロンドンを拠点に活動を続けているようで、新進気鋭のミュージシャンながらも徐々に注目を集めているようで、このアルバムもピッチフォークはじめ、各種メディアで高い評価を得ているようです。

確かに本作は、ドリーミーでダイナミックなサウンドを用いつつも、ポップでキュートともいえるメロが印象に残る作品。まずアルバムの前半「Electric」「Flowers are Dead」はこれでもかというほど分厚くダイナミックなエレクトロノイズがバックを埋め尽くしつつ、ただ、ゆっくりと歌い上げる彼女の歌声は、清涼感がありつつ非常にキュート。ピアノの音色が荘厳さをかもし出す「Eyes」やダウナーなエレクトロポップ「Perfect Blue」ともども、幻想的なドリームポップが心地よい作品が並びます。

ちょっと雰囲気が変わるのは中盤の「Don't Be So Hard on Your Own Beauty」で、こちらはギターサウンドを前に押し出しつつポップにまとめたギターロックチューン。さらに「Fragments」はヘヴィーなギターノイズで埋め尽くした、シューゲイザーの影響を色濃く受けたナンバー。ここらへんは個人的にはかなり壺をつかれたような楽曲。ロックテイストの強い作風を心地よく楽しむことができました。

後半も、軽快で疾走感ある打ち込みでリズミカルにポップに聴かせる「Bites on My Neck」、ヘヴィーなエレクトロノイズが埋め尽くす「1<3U」、サイケなエレクトロサウンドが展開される「Friendly Machine」と最後までエレクトロサウンド主体のドリームポップが楽しめる作品に。かなり強烈なエレクトロノイズを繰り広げつつも、メロディーラインは至ってポップでキュートにまとめあげており、最後まで心地よく楽しむことが出来ます。シューゲイザー系やドリームポップ系が好きなら、間違いなく壺にはまり傑作に仕上がっていました。

ちなみに最後を飾る「The Things They Did for Me Out of Love」は約4時間40分という長さの、超長尺曲。全体的にドローン的な作品で、一種独特な実験的な作品。CDでは収録されておらず、配信オンリーの収録曲という点、長さに囚われない配信ならでは、といった感じもします。さすがに一気に聴き切るのは難しい作品ですが・・・。

なお、「Perfect Blue」では日本人ラッパーのTohjiが参加しているほか、このyeuleという名前もFFXIIIのキャラクターから取られているそうで、そういう意味でも日本ともなじみの深いミュージシャンと言えるでしょう。今後は日本でもさらに注目度が高まりそう。いまのうちに要チェックです。

評価:★★★★★

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