細野晴臣関連作品が2作
今回紹介するのは、昨年末にリリースされた細野晴臣関連の作品2作。
Title:Swing Slow(2021 mix)
Musician:Swing Slow
まずは細野晴臣が、女性シンガーソングライターのコシミハルと組んだユニットSwing Slowのアルバムです。もともと1996年にリリースされたアルバムなのですが、それがこのユニットにとって唯一のアルバムとなってしまいました。リリースから約25年という月日が経過し、「伝説のユニット」となってしまったSwing Slowですが、今回、あらたにミックスされた「2021 mix」としてリリースされました。
このSwing Slowについてはリアルタイムではノーチェックになっており、今回はじめてアルバムを聴いてみました。このジャケットの雰囲気に加えて、1曲目「Western Bolero」からして、コシミハルのハイトーンのフランス語ボーカルでちょっとジャジーに聴かせる楽曲だったということもあり、正直、バタ臭い、あか抜けた感じのおしゃれさんのポップソング、ではないか、と予想しつつアルバムを聴き進めていました。
確かに実際、ジャズやボッサなど、いかにも洒落た都会的な楽曲が多い印象を受けるアルバムなのは間違いありません。ただ一方でバラエティー富んだ作風も印象的であり、細野晴臣らしいアイディアにあふれた作品にもなっていました。様々なサウンドをサンプリングした「Time Scan 2021」からハワイアンテイストの「I'm Leaving It All Up To You」、細野晴臣がメインボーカルを取りジャジーにちょっとファンタスティックな感じの「Good Morning, Mr.Echo」にラテンテイストのリズムが加わる「Capybara」などなど。全体的には洒落たポップソングというイメージは一貫していますが、その一方で様々な音楽的要素も感じられる作品でした。
特に全体的に薄くですがワールドミュージック的な要素が共通項として感じられるのも印象的で、この点も細野晴臣らしい感じがあります。ハイトーンのコシミハルのボーカルと細野晴臣の渋みのあるボーカルを上手く組み合わせているのも印象的。25年も前のアルバムながら、現在聴いても全く古さを感じさせません。
ちなみにオリジナルとの聴き比べはしていないのですが、アレンジも若干、変更が加わっているとか。今なお輝く傑作の1枚。さすがに再結成とかはない・・・とは思うのですが、これ1枚で終わってしまったのを残念に感じてしまいました。
評価:★★★★★
Title:Music for Film 2020-2021
Musician:細野晴臣
そしてこちらが、細野晴臣の最近の映画音楽作品を網羅したアルバム。昨年公開されたライブドキュメンタリー映画「サヨナラ アメリカ」のために書き下ろされた「Sayonara America,Sayonara Nippon」からスタート。2019年に公開された、細野晴臣のドキュメンタリー映画「NO SMOKING」のほか、映画「Malu 夢路」、Netflix映画「彼女」、短編映画「+81FILM (Gravity)」で使用された楽曲を収録しています。
その1曲目「Sayonara America,Sayonara Nippon」以外はインストの楽曲が並んでいる本作。基本的には、いかにも映画音楽らしい、映像を背景として必要以上に目立たせないBGMが並びます。ただ、ワンアイディアの短い「音の羅列」で終わっているような曲はなく、どれもしっかり1つの曲として成立し、メロディアスでどこか暖かみも感じさせる細野晴臣らしい曲が並んでいます。
映画のサントラ集というと、それだけ単体で聴くとちょっと辛いな、というパターンも少なくないのですが、本作に関しては、しっかりと曲として成立しており、映画を観ていない人でも十分楽しめる内容だったと思います。細野晴臣の世界を楽しめるサントラ集でした。
評価:★★★★
細野晴臣 過去の作品
細野晴臣アーカイヴスvol.1
HoSoNoVa
Heavenly Music
Vu Ja De
HOCHONO HOUSE
HOSONO HARUOMI Compiled by HOSHINO GEN
HOSONO HARUOMI Compiled by OYAMADA KEIGO
あめりか/Hosono Haruomi Live in US 2019
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