中国と西洋の融合
Title:Birdy Island
Musician:Howie Lee
今回もまた、2021年のベストアルバムとして取り上げられたアルバムを後追いで聴いた1枚。今回もまたMusic Magazine誌の、今回はエレクトロ・ミュージック部門で1位を獲得したアルバムです。今回紹介するミュージシャン、Howie Leeは中国・北京出身の電子音楽家で、「アジアを代表する電子音楽家」として高い評価を受けているそうです。
彼の音楽の大きな特徴は、中国の伝統的な楽器と西洋的なエレクトロサウンドを融合させ、独特な音楽性を醸し出しているという点。揚琴や管子といった、中国の伝統楽器を用いているそうです。確かに、彼の奏でるサウンドは非常に独特。このアルバムでも1曲目「Time to the Sun」でもいきなり弦楽器でエキゾチックな音色からスタートしています。エレクトロサウンドといっても、中国の伝統音楽の音色を取り入れたサウンドは、エキゾチックながらも暖かみのある音色が特徴的となっており、ちょっとジャジーな要素も加わったサウンドが耳を惹く構成となっています。
ただ一方で、エキゾチックな雰囲気を醸し出しつつも、決してベタな「中国風」に陥っていない点も彼の音楽の大きな魅力に感じました。上にも書いた中国の伝統楽器である揚琴や管子というと、名前だけでは想像できないかもしれませんが、いかにも「中国」的な音を鳴らす楽器。イメージとしては中華街や、テレビなどでベタな「中華風」を表現する時に流れるような音、といっていいでしょうか。確かに、彼の楽曲の中では、これらの楽器の音が使われています。しかし、エレクトロサウンドと上手く融合させることによって、伝統楽器からエキゾチックという部分だけを上手く抽出し、ベタな中国風に陥ることを防いでいます。
特に印象的だったのが「Feather Signifier」で、終始、中国楽器の音色が鳴っているのですが、それに重なるようにジャジーなピアノとエレクトロサウンドが流れています。結果として、エキゾチックな雰囲気を醸し出しつつ、やわらかい印象を受けるジャジーな楽曲にまとまっていました。まさに中国の音楽と西洋音楽が見事に融合された1曲、といった印象を受ける作品でした。
その後もタイトルチューンである「Birdy Island」では、タイトル通り、鳥たちの住む島のような、どこか幻想的かつ自然な雰囲気を、女性コーラスを入れることにより再現。ここでも、幻想的なイメージを作り出すために中国の楽器と思われる音色が上手く組み込まれています。
独特なサウンドが終始惹きつけられるアルバム。確かに、アジアを代表する電子音楽家として高い評価を受けるのも納得のアルバムだったと思います。今後も、ますますその注目が高まりそうな予感もする1枚。日本でも、その名前を聞く機会が徐々に増えてきそうです。
評価:★★★★★
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