2021年年間ベストアルバム(洋楽編)その2
火曜日に引き続き、私的年間ベストアルバム洋楽編。本日は上位1位から5位の紹介です。
5位 GLOW ON/Turnstile
聴いた当時の感想は、こちら
アメリカボルチモア出身の5人組ハードコアバンドの3枚目となる新作。ヘヴィーなハードコア路線を軸にしつつ、メロディーラインはかなりポップでキュートという印象すら受けます。サウンド的にもハードコア路線からメロコア、パンク、インディー系ギターロックなどバラエティー豊富。Pixies的な要素からTHE OFFSPRINGのようなキャッチーなポップ路線まで垣間見れる音楽性の幅も大きな魅力となっています。幅広いリスナー層にアピールできそうな魅力的な傑作アルバムでした。
4位 Seek Shelter/Iceage
聴いた当時の感想は、こちら
既にデビューから13年目を迎え、中堅の域に入るデンマークのポストロックバンドによる新作。アルバムをリリースする毎に高い評価を受けているそうですが、不勉強ながら彼らの音源を聴くのは本作が初。ただ、マンチェスタームーブメントやブリットポップからの影響を感じさせる前半のグルーヴィーでサイケなサウンドで一気にはまりました。後半はフォーキーだったりグラムロックの影響を感じさせる曲もあったりとバラエティー豊富な構成に。アルバム全体を流れるグルーヴ感も非常にカッコよく、個人的にはかなり壺にはまった1枚でした。
3位 NINE/SAULT
聴いた当時の感想は、こちら
2020年にリリースされた2枚のアルバム「Untitled(Black is)」「Untitiled(Rise)」が2枚同時に2020年の私的ベストアルバムベスト10にランクインするなど、すっかりその魅力にはまった、イギリスの「謎」のユニット、SAULTの新作。配信期間が99日ということで、年間ベストの時は既に聴けなくなっている・・・と危惧していたのですが、無事その後、CDやLPがリリースされています。大傑作だった前作同様、ループするサウンドやサンプリング、HIP HOPなどの今どきな要素を取り入れ、かつファンク、エレクトロ、ポップ、ソウル、ゴスペルなど多彩な音楽性を上手く楽曲の中に取り入れている文句なしにカッコいい傑作に仕上がっていました。
2位 An Evening With Silk Sonic/Bruno Mars, Anderson .Paak, Silk Sonic
聴いた当時の感想は、こちら
日本でも高い人気を誇るシンガーソングライターのBruno Marsが、ラッパーのAnderson.Paakと組んでリリースしたアルバム。古き良きソウルミュージックへのオマージュとも言える作品となっており、昔ながらのソウルミュージックを現在によみがえらせたような、そんなアルバムに仕上がっています。ただ一方ではラップを取り入れたり、今風のエレクトロジャズの要素を入れたりと、決して懐古趣味に留まらない現在ならではの解釈も加わっているのが魅力的な作品に。ノスタルジックでありながらも、どこか新しさも感じさせる傑作でした。
そして・・・
1位 ULTRAPOP/The Armed
聴いた当時の感想は、こちら
上半期の1位獲得作が、結局年間でも1位を獲得です。アメリカはデトロイト出身のハードコアバンドThe Armedのニューアルバム。今年のベストアルバム、10枚中5枚がロックバンドの作品となるように、ロックというジャンルが勢いを取り戻した感がありますが、彼らもそんな勢いのあるバンドの一組。ヘヴィーでノイジーなハードコアサウンドにエレクトロのサウンドを加えてくるというカオスなサウンドが耳を惹くのですが、ところどころ、狂おしいほどポップなメロディーを入れてきている点が大きな魅力。聴き終わった後、意外に「ポップ」という印象を受けてしまうのが大きな特徴となっている傑作で、文句なしの年間1位でした。
あらためてベスト10を振り返ると・・・
1位 ULTRAPOP/The Armed
2位 An Evening With Silk Sonic/Bruno Mars, Anderson .Paak, Silk Sonic
3位 NINE/SAULT
4位 Seek Shelter/Iceage
5位 GLOW ON/Turnstile
6位 ENTERTAINMENT,DEATH/SPIRIT OF THE BEEHIVE
7位 Vulture Prince/Arooj Aftab
8位 Any Shape You Take/Indigo De Souza
9位 Jubilee/Japanese Breakfast
10位 CRAWLER/IDLES
まず前述の通り、昨年に続いてロックバンドの活躍が目立つ1年でした。一方、ベスト10圏内ではJapanse Breakfastしかランクインしていませんが、シーン全体的にはポップミュージシャンの活躍も目立つ1年になったようにも思います。
ほかのベスト盤候補は・・・
Chemtrails Over The Country Club/Lana Del Rey
Deacon/serpentiwithfeet
Menneskekollektivet/Lost Girls
New Long Leg/Dry Cleaning
ENDLESS ARCADE/TEENAGE FANCLUB
Afrique Victime/Mdou Moctar
Cavalcade/black midi
HEY WHAT/LOW
Teatro d'ira - Vol.1/Maneskin
Shade/Grouper
im hole/aya
Valentine/Snail Mail
KICKii,KicKiii,kickiiii,kiCKiiiii/Arca
Collapsed In Sunbeams/Arlo Parks
Na Kozonga/Jupiter&Okwess
まず昨年に引き続き、非常に豊作だった1年のように感じます。特に上記のベスト盤候補の中でもLost Girls、LOW、Grouper、Arcaあたりは、上位10枚とどのアルバムをランクインさせようか、かなり迷った結果となりました。コロナ禍でミュージシャンの活動もままならない状況が続いていますが、そんな中でもしっかりと傑作をリリースし続けてくれるのはうれしい限りです。ただ一方では1年を象徴するようなずば抜けた傑作はなかったようにも感じます。あえて言えば、1位と2位は最後まで、どちらを上位に持ってくるのか悩んだ程度かな。とはいえ、良作揃いの1年で、10枚を選ぶのが大変だった今年のベストアルバムでした。
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