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2022年2月11日 (金)

筒美京平の「アナザーベスト」

おととし10月に惜しまれつつこの世を去った作曲家、筒美京平。1960年代から2010年代に至るまで数多くのヒット曲を世に送り出した、日本歌謡史を代表する作曲家ですが、その逝去後、彼の偉業を振り返る、様々な作品が企画されました。彼のベスト10ヒットを集めた4作同時リリースとなる「筒美京平 TOP 10 HITS」シリーズはまさにその集大成的な企画でしたが、その「アナザーベスト」的な作品がリリースとなりました。今回は、歌謡曲に造詣の深い4人が、筒美京平の「知られざる名曲」を発掘した企画となります。

Title:筒美京平 マイ・コレクション 選曲:タブレット純

いわゆる「ムード歌謡漫談」なるジャンルを確立させた歌手でありお笑いタレントであるタブレット純が選曲した作品。ムード歌謡曲に造詣の深い彼らしく、全編、ムード歌謡曲のセレクションとなっています。知る人ぞ知るB級グループサウンズバンド、ザ・ガリバーズの唯一のシングル曲「赤毛のメリー」や、今やほとんど語られることのないTHE ALFEEが4人組だった時代のリリースされたシングル「青春の記憶」など、かなりマニアックで貴重な楽曲も収録されています。

Title:筒美京平 マイ・コレクション 選曲:クリス松村

こちらは歌謡曲に造詣も深いタレントのクリス松村によるセレクション。「筒美歌謡ディスコ」を中心としたセレクションということで、浅野ゆう子の「ムーンライト・タクシー」や平山三紀の「真夜中のエンジェル・ベイビー」などといったファンキーな作品も目立ちます。また、岩崎宏美の「素敵な気持ち」のようなシティポップ風の作品や、Cindyの「Touch The Sky」のような完全に90年代J-POPといった作品もあり、筒美京平の幅広い音楽性もうかがえるセレクションに。ちなみに桑原一郎の「谷間の百合」は今回初CD化らしいのですが、かなりマイナーなセレクションで、ネットで調べても詳しい情報がわかりません・・・。よく知っていましたね、さすがです・・・。

Title:筒美京平 マイ・コレクション 選曲:半田健人

で、こちらは俳優・タレントで、こちらも歌謡曲に造詣が深い半田健人によるセレクション。全体的にはいかにも歌謡曲といった作品が多く、半田健人の好みの反映がうかがえます。メロディーではないのですが、心中をテーマとした北原ミレイの「何も死ぬことはないだろうに」がかなり怖い・・・。こういう歌詞の曲は、今だとリリースできないだろうなぁ。ちなみにGoogleでこの曲を調べると、自殺防止電話相談の電話番号が提示されるのみ微妙に怖い・・・。

Title:筒美京平 マイ・コレクション 選曲:スージー鈴木

そしてラストは音楽評論家スージー鈴木による選曲。音楽評論家による選曲だからでしょうか、全4作の中で最もバラエティー豊富な選曲になっており、ジャンル問わず60年代から2000年代まで、その時代に応じた曲を生み出してきた筒美京平という作曲家を最も適切に表現したセレクションと言えるかもしれません。楽曲的にも知られざる曲、ばかりではなく、少年隊の「デカメロン伝説」や小泉今日子「夜明けのMEW」など、「筒美京平 TOP 10 HITS」の選曲から漏れたヒット曲も収録されており、正しい「アナザーベスト」と言えるかもしれません。歌謡曲からアイドルポップ、さらには90年代J-POPまで幅広い作風の曲が収録されており、いかにも筒美京平というミュージシャンの音楽性の広さを感じいさせる選曲となっており、彼の偉大さをあらためて感じさせる選曲となっています。

そんな訳で、4人4様のセレクションとなっているこの企画。特に、それぞれの選曲者の趣味趣向に沿ったセレクションになっているのがユニークなところ。タブレット純と半田健人は、ある意味、筒美京平=歌謡曲という、若干見方としては狭いのではないか?と感じさせるようなセレクションになっているのが気にかかりましたが、もっとも、個人の趣味によるセレクションなので、それはそれ、といったところで・・・。逆にクリス松村とスージー鈴木のセレクションは筒美京平の音楽性の幅広さを反映させたセレクションになっていたように感じます。

以前紹介した「筒美京平 TOP 10 HITS」のセレクトと合わせて、あらためて筒美京平という作曲家の偉大性を感じさせるセレクション。なによりも、60年代や70年代のムード歌謡、80年代のアイドル歌謡、さらには90年代のJ-POPまで、それぞれの時代をしっかり反映させた曲を、自然に作ってしまっている点に、あらためて彼の音楽性の幅広さを感じて、ある種の驚きさえありました。彼の逝去を残念に感じてしまいます。筒美京平という音楽家の偉大さをあらためて実感したアナザーベストでした。

評価:
タブレット純 ★★★★
クリス松村 ★★★★★
半田健人 ★★★★
スージー鈴木 ★★★★★

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