2021年年間ベストアルバム(邦楽編)その2
昨日から引き続き、邦楽の私的ベストアルバム。本日は5位から1位の紹介です。
5位 NOISE CANCEL/ANARCHY
聴いた当時の感想は、こちら
ここ最近はavexからの作品リリースが続き、微妙に「売り」を意識したような作品が続いていたANARCHY。それらのアルバムも決して悪くはなかったものの、以前の彼の作品からすると少々物足りなさを感じる作品が続いていました。しかし、今回、avexを離れ、配信オンリーでリリースしたのが本作ですが、かつてのANARCHYが戻ってきたと思われるような作品になっていました。彼の身の回りのリアルをストレートに表現したラップが魅力的な作品に。かなり胸に突き刺さるようなリリックが連続するような傑作アルバムに。あらためて彼のすごみを感じる作品でした。
4位 We Are The Times/Buffalo Daughter
聴いた当時の感想は、こちら
なんと前作から約7年ぶり。久しぶりとなったBuffalo Daughterの新作は全9曲39分という長さのミニアルバム。久々の作品の割にはちょっと短いのでは?と思いつつも、しかし内容の方はギッシリと傑作のつまったアルバムとなっていました。基本的な路線はいままでの彼女たちと同様なのですが、必要最小限の音だけで構成されたエッジの効いたサウンドは実に魅力的。ひとつひとつの音が必要な場所に配されているように感じられる作品で、緊張感のある作風がスリリングな作品に仕上がっていました。
3位 よすが/カネコアヤノ
聴いた当時の感想は、こちら
個人的にも注目していますし、世間的な注目度もどんどん増している感のある女性シンガーソングライター、カネコアヤノのニューアルバム。彼女らしい暖かさと郷愁感を覚えるフォーキーなメロを聴かせつつ、一方ではサイケやロック、カントリー、ハワイアン、トラッドとバラエティー富んだ作品になっており、いままでのアルバムの比べるとグッと音楽性が増し、またミュージシャンとしての幅の広さを感じさせる傑作に仕上がっていました。カネコアヤノというミュージシャンの奥の深さをあらためて感じさせる作品でした。
2位 MOOD/本日休演
聴いた当時の感想は、こちら
本作ではじめてアルバムを聴いた京都在住のロックバンド、本日休演のニューアルバム。彼らの作風のイメージを一言で言えばアングラ系フォークロックバンド。フォーキーな雰囲気を感じさせるサウンドとヘヴィーなバンドサウンドのアンバランスさがユニークで、どこかゆらゆら帝国やORGE YOU ASSHOLEと同じ方向性を感じさせる空間を生かしたサウンドメイキングも大きな魅力でした。一方でメロディーラインは意外とポップという印象を受けるのが非常におもしろい感も。いろいろな意味での「やばさ」を感じさせる傑作アルバム。今後、さらに注目を集めそうなバンドです。
そして・・・
1位 心理/折坂悠太
聴いた当時の感想は、こちら
文句なしの年間1位!正直なところ、今年のベスト10のうち、この1位はさらに頭ひとつ出ていた感もあります。前作「平成」も傑作でしたが、それを易々と飛び越える傑作をリリースしてきました。ジャズをベースとした洋楽的な要素を軸としつつも、日本的な民謡の要素も取り入れたり、さらには韓国のシンガーソングライター、イ・ランがゲストで参加するなど、無国籍な作風で独自のグルーヴ感を醸し出しているアルバムに仕上がっていました。シンガーソングライターとしてさらなる高みに到達した1枚。これからの活躍が本当に楽しみになってくるような傑作アルバムでした。
そんな訳でベスト10をあらてめて振り返ってみると・・・
1位 心理/折坂悠太
2位 MOOD/本日休演
3位 よすが/カネコアヤノ
4位 We Are The Times/Buffalo Daughter
5位 NOISE CANCEL/ANARCHY
6位 FRUITFUL/堀込泰行
7位 crepuscular/KIRINJI
8位 天才の愛/くるり
9位 FREAK/ネクライトーキー
10位 僕のスピな☆ムン太郎/マハラージャン
また、他のベスト盤候補としては・・・
THE MILLENNIUM PARADE/millennium parade
朝顔/折坂悠太
接続/AJICO
新しい果実/GRAPEVINE
無限のHAKU/ROTH BART BARON
う・・・かなり少ない・・・。年末の暫定版の時にも書いたのですが、正直なところ今年は邦楽はかなり不作気味だったように感じます。ミュージシャンがコロナ禍で思ったように活動できなかったから・・・ということはあるのかなぁ?日本より制約の大きそうな洋楽勢は、むしろ豊作だったし・・・。もっともベスト10に入ってきたアルバムは文句なしの傑作揃い。さらにその中でも1位の折坂悠太は、向こう10年間を見渡しても、間違いなく5本の指に入りそうな傑作アルバムで、今年のベスト盤の中で頭ひとつ出た作品になっていました。とんでもない才能で、これからの活躍も楽しみです。
そんな訳で、コロナ禍がまだ続き、微妙に暗い雰囲気の世の中が続いていますが、コロナに負けず、今年も多くの傑作が聴けるように、期待したいところです!このサイトでもそんな傑作を1枚でも多く紹介していきますので、引き続き、よろしくお願いします。
ちなみに過去のベストアルバムは
2007年 年間1 2
2008年 年間1 2 上半期
2009年 年間1 2 上半期
2010年 年間1 2 上半期
2011年 年間1 2 上半期
2012年 年間1 2 上半期
2013年 年間1 2 上半期
2014年 年間1 2 上半期
2015年 年間1 2 上半期
2016年 年間1 2 上半期
2017年 年間1 2 上半期
2018年 年間1 2 上半期
2019年 年間1 2 上半期
2020年 年間1 2 上半期
2021年 上半期
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コメント
ゆういちさん、こんばんは。
年間ベストの発表お疲れ様でした!確かに去年のアルバムは例年に比べてどうも不作気味でしたよね。ちなみに僕の2021年のベスト3は・・・
1位 心理/折坂悠太
2位 DAILY BOP/Lucky Kilimanjaro
3位 Break and Cross the Walls Ⅰ/MAN WITH A MISSION
です。久々にゆういちさんと年間1位がかぶりました。ほんと大傑作でしたよね!2位のラッキリは“1日の流れ”というコンセプトアルバムになっているのですが、聴いていて心地よい傑作に仕上がってました。あとマンウィズはゆういちさんのレビューを見たときは年間ベストいけるかなって思ったんですが・・・今年は去年の反動でたくさん傑作がリリースされるといいですよね!
投稿: 通りすがりの読者 | 2022年2月 7日 (月) 01時54分
>通りすがりの読者さん
ご感想ありがとうございます。いや、しかし本当に折坂悠太の「心理」は他を圧倒するアルバムでした。Lucky Kilimanjaroは聴いたことがないので、機会があればチェックしてみたいです。マンウィズは傑作でしたが、残念ながら年間ベストとはなりませんでした。ただ、次回作以降、期待したいところです!
投稿: ゆういち | 2022年2月10日 (木) 00時24分